数学B / 統計的な推測
2つの一様乱数の和(面積で確率を測る)
問題
と は独立で、それぞれ区間 上の一様分布に従うとする(すなわち のとき )。 とする。
点 は単位正方形 、 の上に一様に散らばるので、事象の確率は対応する領域の面積に等しい。
(1) のとき を求めよ。
(2) のとき を求めよ。
(3) を求めよ。
(4) と を求めよ。
ヒントを見る
と を平面上の点の座標だと思ってみよ。 はどんな領域か。
(2) 五角形の面積を直接求めるのは面倒だ。補集合はどんな形か。
解答・解説
方針
を単位正方形上の点と見れば、確率は面積そのもの。 は直線 の左下側で、 が を超えると領域の形が変わる(三角形から五角形へ)。だから場合分けが要る。(4)は和の期待値・分散の公式で一発。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 2つの乱数の和はどう散らばるか。直感的には「真ん中が出やすい」はずだ。和が に近くなるのは「2つとも小さい」ときだけで、めったに起きない。
これを厳密に扱う道具が「面積 確率」である。 を平面上の点と見ると、この点は単位正方形の中に一様に散らばる。だから、ある事象の確率は、対応する領域の面積そのものになる。
という条件は、直線 の左下側という領域を表す。その面積を計算すればよい。
が を超えるかどうかで、領域の形が三角形から五角形に変わる。ここが場合分けの理由である。
① (1) 三角形の面積。 のとき、()の領域は、原点を直角の頂点とし、脚の長さが の直角二等辺三角形である。よって
② (2) 補集合を使う。 のとき、 の領域は五角形になって面倒だ。そこで補集合を見る。
の領域は、正方形の右上隅にある直角二等辺三角形で、脚の長さは 。よって
③ (3) 帯の面積。 は のこと。除かれるのは左下と右上の2つの三角形で、脚はどちらも だから、面積はそれぞれ
よって
④ (4) 期待値と分散。 和の期待値は、独立でなくても足せる。
分散は、 と が独立だから足せる。
( 上の一様分布では 、 だから 。)
まとめ: 連続確率は「面積で測る」。領域の形が変わるところが場合分けの境目になる。和の期待値・分散は、分布の形を知らなくても公式で出る。
発展 — 一歩先へ。 (1)(2)から、 の分布の様子が分かる。累積確率を で微分すると、密度は ()と ()で、 を頂点とする三角形になる。真ん中が出やすい、という直感どおりだ。
さらに一様乱数を3つ、4つと足していくと、山はどんどん滑らかになり、やがて正規分布の釣鐘型に近づいていく。これが中心極限定理である。 つでもう三角形の山ができている — その最初の一歩が、この問題なのだ。
コンピュータで正規分布に従う乱数を作るとき、昔は「一様乱数を12個足して を引く」という手軽な方法が使われた。 となって、平均 ・分散 のほぼ正規分布が得られるからである。足すだけで釣鐘型が現れる、という事実の実用版だ。
(1) (直角二等辺三角形) (2) (補集合が三角形) (3) (4) 、
別解
サイコロで実感してから、連続に移る(苦手な人向け)。 サイコロを2個振ったときの和を思い出そう。
和が になるのは の1通り、 は2通り、…、 は の6通り。そこから減っていき、 は1通り。確率は を頂点とする三角形の形になる。真ん中の目が出やすいのだ。
本問はその連続版である。 マスの表が単位正方形に、マスの個数が面積に置き換わっただけだ。 の領域が三角形になるのも、サイコロの表で「和が小さい」マスが左下の三角形にかたまるのと同じ理由である。
数え上げの世界(離散)と面積の世界(連続)は、同じ絵を違う言葉で語っている。連続確率で迷ったら、サイコロの表に戻る — これは強力な足場になる。
(3)の「和が真ん中あたりに来る確率が もある」という結果も、サイコロで「和が 以上 以下」になる確率が と高いことと同じ現象だ。両端は出にくく、真ん中に集まる。足し合わせるという操作には、そういう性質があるのである。
ポイント
- は単位正方形に一様。確率 面積。
- は直線 の左下。 で形が変わる。
- 、(独立だから分散は足せる)。
よくある間違い
- も一様分布に従うと思ってしまう。和は真ん中が出やすくなり、三角形の分布になる。「一様 一様 一様」ではない。
- (2)で の五角形の面積を直接求めようとして計算を複雑にする。補集合(右上の三角形)を見れば一発である。
- (4)で を使うのに、独立性を確認しない。独立でなければ共分散の項が加わる。本問は独立と与えられているので使える。