数学B / 統計的な推測

仮説検定(コインの公正さ)

実戦編統計的な推測仮説検定正規近似棄却域単元横断

問題

あるコインを 回投げたところ表が 回出た。「このコインは公正である(表の出る確率が )」という仮説を、有意水準 の両側検定で検討せよ。標準正規分布で とする。

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仮説のもとで を計算。両側 の棄却域は は入るか?

解答・解説

方針

仮説(公正)のもとでの分布 を正規近似し、観測値 を標準化する。両側 の棄却域 に入るかで判定する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 仮説検定は「もし公正なら、この結果はどれくらい珍しいか」を測る。

まず仮説(公正 )を正しいと仮定した世界での分布を作る。 を正規近似すると

観測値 を標準化して 。両側 の棄却域 に入るかどうかで、仮説を捨てるか判定する。

重要両側有意水準 の棄却域は 。仮説のもとで標準化

① 仮説のもとでの分布。 公正()なら

② 標準化。 観測値 を標準化して ③ 判定。 両側 の棄却域は なので棄却域に入る。よって仮説「公正である」は棄却され、このコインは公正とはいえない。

1.96Z=2
両側5%の棄却域 |Z|>1.96(両すその斜線部)。観測の Z=2 は棄却域に入る。

まとめ 公正なら 。棄却域 に入るので仮説を棄却(公正とはいえない)。仮説検定(正規近似)と標準化・棄却域の融合。

発展 — 一歩先へ。 この検定の 値(仮説のもとで観測以上に極端な結果が出る確率)は約 で、 をわずかに下回る。つまり「ぎりぎり棄却」だ。有意水準を にすれば棄却されない。境界近くの結果は、水準の取り方しだいで結論が変わる — だから 値そのものを報告する習慣が重視される。

仮説のもとで表の回数 。標準化 。両側 の棄却域は なので棄却域に入り、仮説は棄却される(公正とはいえない)。

別解

別解 — 「棄却域」を回数のことばで描く(苦手な人向け)。 標準化した で判定する代わりに、「表が何回なら公正を疑うか」を回数のまま出す。

公正なら で平均 。両側 の“ありふれた範囲”は、平均から の内側:

つまり表が 回〜 回なら「公正でもよくあること」、 回以下または 回以上なら「珍しすぎる=公正を疑う」(棄却域)。

観測された 回はちょうど棄却域 に入る。だから有意水準 で「公正」は棄却される。

の計算(本解)と同じ結論だが、「 回以上は珍しい」と回数で言われる方が、検定が何をしているか直感的に分かる。ちなみに珍しさ( 値)は約 で、ぎりぎり棄却される水準だ。

ポイント

  • 仮説のもとで
  • 標準化
  • 棄却域 に入り、仮説を棄却。

よくある間違い

  • 両側検定の棄却域を (片側)だけにする(両側は は片側 )。
  • 「棄却された=対立仮説が正しいと証明された」と誤解する(検定は仮説を捨てるだけで、真偽を断定しない)。
  • などと誤る()。