数学B / 統計的な推測
正規分布の標準化
問題
確率変数 が正規分布 に従うとき、 を標準化した値 を求めよ。
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標準化とは『平均からのずれを、標準偏差を単位にして測り直す』こと。この言葉どおりに式を作れば、公式を忘れていても出せる。
解答・解説
方針
標準化は「平均を引いて標準偏差で割る」。。、、 を入れる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 正規分布は、平均 と標準偏差 の組み合わせだけ、無数に存在する。
、、 すべて形は同じ釣鐘だが、位置と幅が違う。
確率の表を、無数の分布ぶん用意するわけにはいかない。
そこで、全部を つに揃える。
段階の操作だ。
- : 平均を引いて、中心を に移す
- : 標準偏差で割って、幅を に揃える
こうして、どんな正規分布も (標準正規分布)に変換できる。
の意味は「平均から標準偏差いくつ分ズレているか」。 なら「 分、上」ということだ。
は平均 、標準偏差 。 を標準化する。
まとめ:標準化は「平均からどれだけ離れているかを、標準偏差を単位にして測る」。 は「平均より標準偏差 個ぶん上」を意味する。どんな正規分布も標準化すれば で扱える。
発展 — 一歩先へ。 標準化して得た は、平均 、分散 になる。これを確かめておこう。
期待値の性質から。
分散の性質から。
( は分散を 倍にし、 は分散に効かない。)
きっちり になった。
ここで、注意すべき落とし穴がある。
標準化は、どんな分布にもできる。 平均を引いて で割るだけだから、二項分布でも一様分布でも、いびつな分布でもできる。
だが、「標準化したから正規分布になる」わけではない。
標準化がするのは「位置と幅を揃える」ことだけ。形は変わらない。
いびつな分布を標準化しても、いびつなまま平均 、分散 になるだけだ。
だから、正規分布表を引けるのは、もとが正規分布のときだけ。
この区別を、混同してはいけない。
ただし — 救いがある。
中心極限定理により、「たくさんのデータの平均」や「たくさんの試行の和」は、もとがどんな分布でも正規分布に近づく。
だから実務では、標本平均を標準化して正規分布表を引く、という手順が正当化される。
二項分布 を標準化して正規分布表を引けるのも、 が十分大きいからだ( が小さければ、この近似は使えない)。
「標準化」と「正規化」は違う。 前者は座標変換、後者は形そのものの話。この つを区別できると、統計の議論が正確になる。
別解
標準化の正体は、じつは「偏差値」である。
模試で誰もが見ている、あの偏差値だ。
偏差値の定義は、こうだ。
(標準化した値)を 倍して、 を足しただけ。
この問題に当てはめる。 平均 点、標準偏差 点のテストで、 点をとった。
偏差値 である。
なぜ と を使うのか。
の値は から くらいの小数になる。「あなたの は 」と言われても、ピンとこない。
そこで、平均を 、標準偏差を に置き直す。 見慣れた 桁の数になり、直感的に扱える。
偏差値の分布を、読んでみよう。
- 偏差値 ちょうど平均
- 偏差値 上位 約
- 偏差値 上位 約
- 偏差値 下位 約
偏差値 は 人に 人ちょっと — なるほど、と思える。
大事なのは「点数では比べられないものが、比べられる」ことだ。
数学 点(平均 、)と、国語 点(平均 、)。どちらがよくできたか。
点数だけ見れば、国語の 点が上に見える。
標準化する。
数学のほうが、圧倒的によくできている。(偏差値 対 偏差値 )
難しいテストと簡単なテスト、 点満点と 点満点 — 標準化すれば、すべて同じ土俵に乗る。
は「単位のない世界」の言葉なのだ。
同じ発想は、あちこちで使われている。
- IQ: 平均 、標準偏差 に揃えた スコア
- 株の評価: 業種の違う会社を、平均からのズレで比べる
- 異常検知: なら「異常値」と判定する
「そのままでは比べられないものを、比べられるようにする」 — 標準化は、その普遍的な技術である。
ポイント
- 。
- は「平均から標準偏差何個ぶん離れているか」。
よくある間違い
- の を標準偏差だと思い、 としてしまう。 の第 引数は分散なので、 は
- 引き算と割り算の順序を逆にして とする。まず平均を引いて中心を にし、それから で割る
- が負になったとき「計算ミス」と思ってしまう。平均より小さい値は必ず になる