数学B / 統計的な推測

分散と標準偏差

★ 基礎分散標準偏差

問題

確率変数 が次の分布に従い、期待値は である。分散 と標準偏差 を求めよ。

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分散には『 乗の平均から、平均の 乗を引く』という計算しやすい形があった。まず の期待値を表から作るところから。標準偏差は分散のルート。

解答・解説

方針

分散は が計算しやすい。まず (値の 乗 × 確率 の合計)を求め、 を引く。標準偏差は分散の平方根。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 期待値は「どこに落ち着くか」を語る。分散は「どれくらい散らばるか」を語る。

散らばりとは、平均からのズレの大きさだ。

ズレをそのまま平均すると、 になってしまう(プラスとマイナスが打ち消し合う)。だから 乗してから平均する。

定義どおりに計算してもよいが、実務ではこちらが速い。

乗の平均 平均の 乗」 — データの分析(数I)で出てきた公式と、まったく同じ形だ。

を出して、 を引く。 それだけである。

公式分散 、標準偏差

を求める。 値の 乗に確率をかけて足す。

② 分散を計算する。

③ 標準偏差を求める。

0123平均
分散は平均 3/2 のまわりの散らばり。V=3/4

まとめ:分散は「」で出すのが速い(定義 より計算が楽)。標準偏差は分散のルート。分散はバラつきの大きさを表す。

発展 — 一歩先へ。 なぜ、ズレを するのか。絶対値ではダメなのか。

素朴には、絶対値のほうが自然に見える。

これも散らばりの指標として、ちゃんと使える。 それでも 乗が主役なのには、理由がある。

理由 : 微分できる。

絶対値 で折れていて、微分できない。 乗はなめらかだ。「散らばりが最小になる点を求める」ような問題では、微分できることが決定的に効く。

実際、 を最小にする を求めると、ちょうど期待値 になる。つまり平均とは、 乗のズレを最小にする点なのだ。

理由 : 足し算ができる。

独立な について

分散は、独立なら足せる。 絶対値ではこうはいかない。

この加法性のおかげで、 個のデータの平均の分散が と計算でき、統計学が成立する。

理由 : 三平方の定理と同じ形。

この形は、多次元空間の"距離"そのものだ。 分散を 乗で定義すると、統計が幾何(距離と直交)の言葉で語れるようになる。

独立 直角。 分散の加法性は、三平方の定理の統計版である。

乗するという素朴な選択が、統計学を「幾何学」に変えた。

便利だから 乗するのではない。 乗したから、統計学は美しくなったのだ。

別解

定義どおり、「ズレの 乗の平均」で計算する。

公式を忘れても、定義に戻れば必ず解ける。

平均は 各値のズレを出す。

ズレを 乗する。

確率で重みをつけて足す。

本解と同じ ✓

なぜ つの計算が一致するのか。 定義を展開すれば分かる。

だから

乗の平均 平均の 乗」は、定義を展開しただけだった。

もっと速い道もある。

前問で見たとおり、この 二項分布 だ。二項分布の分散は

一瞬で出る。

つの道が、同じ にたどり着いた。

  • 定義(ズレの 乗の平均)— 意味が見える。忘れても再現できる
  • 公式 — 手計算が速い
  • 二項分布の — 正体が分かっていれば最速

標準偏差 の意味。

だいたい平均から くらいズレる、ということ。表の枚数は 枚を中心に、 枚ほど揺れる。

分散()は 乗した世界の数なので、そのままでは大きさの実感がわかない。 をとって元の単位に戻したものが標準偏差である。だから散らばりを語るときは、標準偏差を使う。

ポイント

よくある間違い

  • と混同する。 は「 乗してから平均」、 は「平均してから 乗」で、まったく別物
  • の引く順を逆にして負の値を出す。分散は必ず 以上なので、負が出たら計算ミス
  • 標準偏差を求め忘れて分散だけで終える。 まで出して、はじめて元の単位に戻る