数学B / 統計的な推測
分散と標準偏差
問題
確率変数 が次の分布に従い、期待値は である。分散 と標準偏差 を求めよ。
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分散には『 乗の平均から、平均の 乗を引く』という計算しやすい形があった。まず の期待値を表から作るところから。標準偏差は分散のルート。
解答・解説
方針
分散は が計算しやすい。まず (値の 乗 × 確率 の合計)を求め、 を引く。標準偏差は分散の平方根。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 期待値は「どこに落ち着くか」を語る。分散は「どれくらい散らばるか」を語る。
散らばりとは、平均からのズレの大きさだ。
ズレをそのまま平均すると、 になってしまう(プラスとマイナスが打ち消し合う)。だから 乗してから平均する。
定義どおりに計算してもよいが、実務ではこちらが速い。
「 乗の平均 平均の 乗」 — データの分析(数I)で出てきた公式と、まったく同じ形だ。
を出して、 を引く。 それだけである。
① を求める。 値の 乗に確率をかけて足す。
② 分散を計算する。
③ 標準偏差を求める。
まとめ:分散は「」で出すのが速い(定義 より計算が楽)。標準偏差は分散のルート。分散はバラつきの大きさを表す。
発展 — 一歩先へ。 なぜ、ズレを 乗するのか。絶対値ではダメなのか。
素朴には、絶対値のほうが自然に見える。
これも散らばりの指標として、ちゃんと使える。 それでも 乗が主役なのには、理由がある。
理由 : 微分できる。
絶対値 は で折れていて、微分できない。 乗はなめらかだ。「散らばりが最小になる点を求める」ような問題では、微分できることが決定的に効く。
実際、 を最小にする を求めると、ちょうど期待値 になる。つまり平均とは、 乗のズレを最小にする点なのだ。
理由 : 足し算ができる。
独立な 、 について
分散は、独立なら足せる。 絶対値ではこうはいかない。
この加法性のおかげで、 個のデータの平均の分散が と計算でき、統計学が成立する。
理由 : 三平方の定理と同じ形。
この形は、多次元空間の"距離"そのものだ。 分散を 乗で定義すると、統計が幾何(距離と直交)の言葉で語れるようになる。
独立 直角。 分散の加法性は、三平方の定理の統計版である。
乗するという素朴な選択が、統計学を「幾何学」に変えた。
便利だから 乗するのではない。 乗したから、統計学は美しくなったのだ。
、
別解
定義どおり、「ズレの 乗の平均」で計算する。
公式を忘れても、定義に戻れば必ず解ける。
平均は 。 各値のズレを出す。
ズレを 乗する。
確率で重みをつけて足す。
本解と同じ ✓
なぜ つの計算が一致するのか。 定義を展開すれば分かる。
だから
「 乗の平均 平均の 乗」は、定義を展開しただけだった。
もっと速い道もある。
前問で見たとおり、この は二項分布 だ。二項分布の分散は
一瞬で出る。
つの道が、同じ にたどり着いた。
- 定義(ズレの 乗の平均)— 意味が見える。忘れても再現できる
- 公式 — 手計算が速い
- 二項分布の — 正体が分かっていれば最速
標準偏差 の意味。
だいたい平均から くらいズレる、ということ。表の枚数は 枚を中心に、 枚ほど揺れる。
分散()は 乗した世界の数なので、そのままでは大きさの実感がわかない。 をとって元の単位に戻したものが標準偏差である。だから散らばりを語るときは、標準偏差を使う。
ポイント
- 。
- 。
よくある間違い
- を と混同する。 は「 乗してから平均」、 は「平均してから 乗」で、まったく別物
- の引く順を逆にして負の値を出す。分散は必ず 以上なので、負が出たら計算ミス
- 標準偏差を求め忘れて分散だけで終える。 まで出して、はじめて元の単位に戻る