数学B / 統計的な推測
確率変数の期待値
問題
確率変数 が次の分布に従う。 の期待値 を求めよ。
ヒントを見る
期待値は『値 × その確率』を全部足したもの。表の各列で積を作って合計しよう。
解答・解説
方針
期待値は「値 × その確率」をすべて足したもの。。各 の値に対応する確率をかけて合計する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 期待値とは、平均すると、だいたいどのあたりに落ち着くかを表す つの数だ。
単純な平均ではない。 出やすい値は重く、出にくい値は軽く数える。
だから「値 確率」を足し上げる。
イメージは、シーソーの釣り合う点だ。 数直線の の位置に、それぞれ確率の重さ()のおもりを乗せる。ちょうど釣り合う支点が、期待値である。
この分布は左右対称()。だから支点は真ん中に来そうだ、と見当がつく。
計算する前に「だいたいここ」と予想しておく。 検算になる。
各値に確率をかけて足す。
まとめ:期待値は「平均的にどのくらいの値になるか」。各値にその起こりやすさ(確率)で重みをつけて足す。分母をそろえて分子を足すと計算しやすい。
発展 — 一歩先へ。 期待値 は、 が決してとらない値である。表の枚数が 枚になることはない。
それでも、この には意味がある。
期待値は「重心」だ。
数直線の の位置に、 の重さのおもりを置く。棒を支えて釣り合う点が 。
釣り合いの条件を式で書くと
「期待値からのズレ 重み」の総和が 。 これが重心の定義そのものだ。物理の重心と、確率の期待値は、まったく同じ計算をしている。
そして期待値は、現実の意思決定を支えている。
宝くじの期待値。
枚 円の宝くじの期待値は、およそ 円といわれる(還元率 前後)。
枚買うごとに、平均 円損する。 これは運の問題ではなく、設計上そうなっている。
保険は、その逆だ。
保険料の期待値も、支払われる保険金の期待値より高い(でなければ保険会社は潰れる)。にもかかわらず、人は保険に入る。
なぜか。 期待値は「平均」しか語らないからだ。「 億円の損失が の確率」と「 万円の確実な損失」は期待値が同じだが、前者は人生が終わる。
期待値がすべてではない。 だからこそ、次に学ぶ分散(散らばりの大きさ)が要る。
平均と、散らばり。 この つを両手に持って、初めて確率変数を語れる。
別解
この分布の"正体"を見抜けば、計算せずに答えが出る。
確率を並べてみよう。
分子は — パスカルの三角形の 行だ。 分母は 。
思い出してほしい。 硬貨を 枚投げたとき、表の枚数 の確率は
この問題の分布と、完全に一致する。
つまり は、二項分布 にほかならない。
二項分布なら、期待値は公式一発だ。
本解と同じ答え ✓
さらに素朴な見方もできる。
硬貨 枚のうち、表は平均して何枚か。 枚あたり表が出る確率は 。 枚あるから
枚ずつの期待値を足すだけ。 計算らしい計算はしていない。
そして、対称性からも読める。
この分布は を軸に、左右対称だ。
対称な分布の期待値は、対称の中心に来る。
計算ゼロで答えが出た。
分布表を見たら、まず「この形に見覚えはないか」と問う。 正体が分かれば、公式が使える。分布表は、ただの数字の羅列ではない。
ポイント
- (値 × 確率 の合計)。
- 確率の合計は (検算に使える)。
よくある間違い
- 確率で重みづけせず、値の単純平均 で答えを出す。たまたま値は合うが、対称でない分布では必ず外れる
- 確率の総和が になっているかを確かめない。分布表が与えられたら、まず を検算する
- の項は「」だからと、確率 を総和から除いてしまう。値が でも、確率は分布の一部として残る