数学B / 数列

等差中項・等比中項

★ 基礎等差数列等比数列

問題

(1) がこの順に等差数列であるとき、 を求めよ。

(2) がこの順に等比数列であり のとき、 を求めよ。

ヒントを見る

真ん中の項は、両どなりとどんな関係になるのだったか。定義(差が等しい・比が等しい)から式を立てれば、公式を忘れていても出せる。

解答・解説

方針

等差数列では、まん中の項は両どなりの平均( 後)。等比数列では、まん中の項の 乗が両どなりの積(前 × 後)。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 数が等差(等比)」— 真ん中の項が主役だ。

(1) 等差数列

等差なら、隣どうしの"差"が等しい。

相加平均である。

(2) 等比数列

等比なら、隣どうしの"比"が等しい。

という条件から

相乗平均()である。

「等差の真ん中は相加平均、等比の真ん中は相乗平均」 — これが中項の正体だ。

公式等差中項 (まん中は平均)、等比中項 (まん中の 乗は積)

(1) が等差数列。まん中 は両どなりの平均。

(2) が等比数列。まん中 乗は両どなりの積。

なので

まとめ: 項が並ぶとき、等差なら「まん中 = 平均」、等比なら「まん中の 乗 = 積」。等比中項は が出るので、符号の条件を必ず確認する。

発展 — 一歩先へ。 平均は、相加平均と相乗平均だけではない。 の平均がある。

調和平均。

「逆数の相加平均の、逆数」 — ややこしいが、意味は明確だ。

の調和平均。

つの平均を比べる。

美しい階層!(等号は のときのみ。)

調和平均は、いつ使うのか。

「速さ」の平均だ。

「行きは時速 km、帰りは時速 km で、同じ道を往復した。平均の速さは?」

相加平均( km/h)?違う!

距離を km として計算しよう。

  • 行き: 時間
  • 帰り: 時間
  • 合計: 往復 km を、 時間

調和平均と一致した!

「同じ距離を、違う速さで移動したときの平均速度」は、調和平均になる。

なぜか。 遅いほうに、より多くの時間を費やすからだ — 遅い側に引っ張られる。

つの平均の使い分け。

平均 使う場面
相加平均 足し算的な量(点数、身長、気温)
相乗平均 掛け算的な量(成長率、倍率)
調和平均 「単位あたり」の量の平均(速さ、燃費、密度)

「平均」という言葉は つでも、中身は つある。

そして、どれを使うかで、答えがまったく変わる。

統計やデータを扱うとき、「その平均は正しい平均か?」と問う習慣を持ちたい。 相加平均を機械的に使うと、しばしば現実を見誤る。

という素朴な等差数列の問題。 その先には、「平均とは何か」という、意外に深い問いが待っている。

(1) (2)

別解

この つの答えを比べると、有名な不等式が姿を現す。 数列と不等式が、 つの構造で結ばれる瞬間だ。

同じ 数()で、両方の中項を計算してみよう。

等差中項(相加平均)。

等比中項(相乗平均)。

比べる。

相加平均のほうが大きい!

これは偶然ではない。

相加平均・相乗平均の関係(数IIで学んだ)。

等号が成り立つのは のときだけ。 なので、この場合は

「等差中項 等比中項」 — 数列の言葉で言い換えると、こうなる。

証明も、 行だ。

平方の非負性 — 数IIの不等式の証明で学んだ、あの技だ。

さて、 つの平均には、どんな意味の違いがあるのか。

具体例で考えよう。

「株価が、 年目に 倍、 年目に 倍になった。平均すると、年何倍か?」

相加平均だと

「毎年 倍」と考えると、 年で 倍。

しかし、実際は 倍にしかなっていない!

相乗平均なら

「毎年 倍」なら、 年で 実際と一致する!

足し算的な量(身長、点数、気温)は相加平均。 掛け算的な量(成長率、利率、倍率)は相乗平均。

この使い分けを間違えると、投資の話で騙される。

年目 年目 。平均すると だから、元本は変わらない?」

違う!

相乗平均で計算すると

「平均 」は嘘で、実際は年 ずつ減っている。

相加平均() 相乗平均()不等式が、そのまま"損失"を表している。

この差を「ボラティリティ・ドラッグ」と呼び、金融工学の重要な概念になっている。

等差中項と等比中項の違い。 それは、教科書の中の話ではなく、あなたの資産を守る知識なのである。

ポイント

  • 等差中項:。等比中項:
  • 等比中項は 。条件で符号を決める。

よくある間違い

  • 等比中項で の負のほうを除外し忘れる( の条件を使う)
  • 等差中項と等比中項を取り違える(等差は和の半分、等比は積の平方根)
  • (2)で と計算してしまう(等比なので相乗平均 )