数学B / 数列
奇数の和
問題
(初項から数えて 個の奇数の和)を求めよ。
ヒントを見る
等差数列の和として計算できる。あるいは、奇数を小さい順に足した和には美しい規則がある — 、、 と試して見つけてみよう。
解答・解説
方針
奇数の列は初項 、公差 の等差数列。第 項は 。 個の和は等差数列の和、または「奇数 個の和 」を使う。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 — 奇数を 個足す。
これは等差数列の和(初項 、公差 、項数 、末項 )。
答えは 。
ここで、 という数に注目してほしい。
項数()の 乗になっている!
偶然だろうか。 — 偶然ではない。
「最初の 個の奇数を足すと、 になる」 — 数学で最も美しい事実のひとつだ(別解で、その理由を絵で見る)。
① 何個の和か確かめる。 は 個。第 項は 。
② 公式で計算する。 奇数 個の和は 。
(等差数列の和でも同じ:。)
まとめ:奇数を順に足すと と平方数になる。 個の和が という美しい関係。等差の和の公式でもすぐ確かめられる。
発展 — 一歩先へ。 「奇数の和が平方数」という事実は、物理学の重要な発見にもつながっている。
ガリレオの落体の法則( 年頃)。
斜面を転がる球の、 秒ごとの移動距離を測ると:
そして、累積距離は
「落下距離は、時間の 乗に比例する。」
ガリレオは、この関係を「奇数の和」として発見した。
なぜ奇数になるのか。 等加速度運動では、速度が一定の割合で増える(等差数列)。そして距離は速度の和(等差数列の和)。
「等差数列を足すと、平方数が出る」 — この数学的事実が、落下運動の法則として現れた。
望遠鏡も微積分もない時代に、ガリレオは斜面と水時計だけで、この法則を見抜いた。
そして、この法則が、ニュートン力学の出発点になった。
同じ構造は、他にもある。
「 秒後、 秒後、 秒後 の落下距離の比が 」
これは、加速度が一定であることの、直接的な証拠だ。
もし空気抵抗があれば、この比は崩れる(奇数の等差から外れる)。ガリレオは、理想化された運動(真空中の落下)を数学的に捉えることで、法則を発見した。
「現実を理想化し、数学で捉える」 — これが近代科学の方法である。
という単純な足し算。 それは、 年前に「物体はどう落ちるか」を人類に教えた、最初の数式だった。
数学が、世界を記述する言語である — その最初の証拠が、ここにある。
別解
「奇数の和が平方数になる」理由は、 枚の絵で分かる。 計算も証明もいらない — 見れば分かるのだ。
正方形を、L字型に育てていく。
個の点から始める。
の正方形。 点は 個()。
これを に拡張するには、何個の点を足すか?
が新しく足した点。 個だ!(右に 個、下に 個、角に 個。)
次は に拡張。何個足すか?
右の列( 個)+ 下の行( 個)+ 角( 個)= 個。
にするには?
右の列()+ 下の行()+ 角()= 個。
気づいただろうか。
なぜ奇数か。 「右の列 個」+「下の行 個」+「角 個」 — 必ず奇数だ。
この L 字型の追加部分を「グノモン」という(古代ギリシャの日時計の部品にちなむ)。
そして、 回目まで足した点の総数は、 の正方形の点の数。
証明終わり。
絵を見るだけで、定理が証明された。 これを「証明なしの証明」(proof without words)という。
この問題では 。
の正方形の点の数 — 個 ✓
この事実は、 年前のピタゴラス学派が知っていた。 彼らは点を並べて数を研究し、「数は形を持つ」と考えた。
三角数、平方数、五角数 — 図形に対応する数の族を、彼らは体系的に調べた。
そして、この事実には実用的な応用もある。
「 を計算するのに、掛け算を使わない方法」
足し算だけで、 乗が計算できる。 初期のコンピュータ(掛け算器を持たない)は、この方法で 乗を計算していた。
逆に、平方根も求められる。 から と順に引いていき、 になるまでに何回引けたかを数える — 回で になるから 。
足し算と引き算だけで、 乗と平方根が計算できる — 奇数の和という単純な事実が、計算機の設計に使われていた。
ポイント
- 奇数 個の和 。
- 等差数列(初項 、公差 )の和と一致。
よくある間違い
- 項数を数え間違える( から までの奇数は6個)
- 末項 を項数と混同する
- を、 から までの奇数の和と誤解する(足すのは 個の奇数で、最後は )