数学B / 数列

等比数列の和

★ 基礎等比数列

問題

初項 、公比 の等比数列の、初項から第 項までの和 を求めよ。

ヒントを見る

等比数列の和の公式を思い出そう。公比と項数を確認して当てはめる。分母の形と累乗の計算だけ丁寧に。

解答・解説

方針

等比数列の和は公式 ()。 を代入する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 等比数列の和には、専用の公式がある。

代入する。 初項 、公比 、項数

指数は、項数 そのもの( ではない!)。一般項では だったが、和の公式では — ここが紛らわしい。

検算しよう。実際に 項を足してみる。

公式と一致した。

のときは、この公式が使えない(分母が になる)。そのときは、全部同じ数なので である。

公式等比数列の和 ()

① 公式に代入する。

② 計算する。

まとめ:等比数列の和は ならこの形、 なら と符号をそろえると計算しやすい。 のときは別扱い(和 )。

発展 — 一歩先へ。 等比数列の和で、項数を無限にすると、どうなるか。

公比 の大きさによって、運命が分かれる。

のとき(この問題の など): 無限大に発散する。 和は存在しない。

のとき: 有限の値に収束する!

無限個の数を足したのに、答えが有限。

例:

無限個の分数を足すと、ちょうど

この事実が、ゼノンのパラドックスを解決する。

「アキレスと亀」( 年前、ゼノンの提出した難問)

アキレス(俊足)が、 m 先の亀を追いかける。アキレスが m 進むと、亀は m 進んでいる。アキレスがその m を進むと、亀は m 進んでいる

「追いつくには無限回の"追いかけ"が必要だから、永遠に追いつけない!」

しかし、実際には追いつく。なぜか。

各段階の"時間"を足してみよう(アキレスの速さを m/秒、亀を m/秒とする)。

これは公比 の無限等比級数!

無限回の"追いかけ"の合計時間は、たった 秒。

「無限回の操作」が、「無限の時間」を意味するわけではない。 — これがパラドックスの解決だ。

無限個の数を足しても、有限になることがある。

この事実を人類が厳密に理解するのに、 年以上かかった。 極限の概念が確立したのは 世紀である。

あなたが という公式を使うとき、 年の哲学的難問が、 行の計算で解けている。

別解

この公式は、「ずらして引く」という美しいトリックで導かれる。 等差数列で「逆順に足した」のと、対をなす発想だ。

公式の導出: を引き算する。

を書く。

倍する()。

縦にそろえて、引き算する。

真ん中の項が、ごっそり消えた!

「ずらして引くと、中身が打ち消し合う」 — これが等比数列の和の秘密だ。

一般に

引くと

公式が導けた。

この「ずらして引く」技は、望遠鏡のように途中が畳まれるので、望遠鏡和(telescoping)とも呼ばれる。

等差と等比の、和の導出を比べてみよう。

等差数列 等比数列
逆順に足す 倍してずらし、引く
効果 すべてのペアが同じ和に 中間項が打ち消し合う
発想 対称性 望遠鏡和

どちらも「 つの工夫で、 個の足し算が消える」。

そして、この「ずらして引く」技は、応用範囲が広い。

(等差)(等比)の形の和

この和も、 を作ってずらして引けば求まる(数Bの標準問題)。

の和

部分分数に分けると、隣どうしが打ち消し合う — これも望遠鏡和だ。

「打ち消し合う形を作る」 — 数列の和を求める、最も強力な戦略である。

公式を暗記するより、この"導出の技"を身につけるほうが、はるかに応用が利く。

ポイント

  • ()。
  • のときは和

よくある間違い

  • 和の公式の指数を としてしまう(和の公式では )
  • 分母 としてしまう
  • のときも公式を使おうとする(分母が0。そのときは )