数学A / 図形の性質
中点連結定理
問題
で、辺 、 の中点をそれぞれ 、 とする。
(1) のとき、 の長さを求めよ。
(2) のとき、 を求めよ。
ヒントを見る
、 はどちらも「まん中」の点だ。まん中どうしを結んだ線は、向かいの辺 とどんな関係になっているか、図でよく見てみよう。長さと向きの2つに注目。
解答・解説
方針
2辺の「中点どうし」を結んだ線 が主役だ。この線には、いつも決まった性質がある。まず図で、 と の位置を見くらべよう。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「 辺の中点を結ぶ」と聞いたら、中点連結定理を思い出す。
結論は つある。 「平行になる」と「長さが半分になる」— どちらも使うので、セットで覚えたい。
(1)は長さの話。 なら 。同じ長さにしないこと。
(2)は角の話で、ここで平行のほうが効いてくる。 なので、直線 が 本の平行線を横切る形になる。同位角は等しいから
平行が見えたら、同位角・錯角を探す。
、 は辺の中点なので、この定理がそのまま使える。
(1) は の半分。だから
(2) だった。平行な2直線に が斜めに交わっているので、同じ位置にできる角(同位角)は等しい。
と は同位角だから
発展 — 一歩先へ。 中点連結定理には、意外な応用がある。
どんな四角形でも、 辺の中点を結ぶと平行四辺形になる。(ヴァリニヨンの定理)
証明は中点連結定理だけでできる。四角形 の対角線 を引くと、 の中点連結から「 の中点と の中点を結んだ線分は に平行で長さは半分」。 でも同じことが言えるので、向かい合う 辺が平行で長さも等しい — 平行四辺形の条件そのものだ。
元の四角形がどんなにいびつでも(へこんでいても、ねじれた四角形でも!)中点を結べば必ず平行四辺形になる。この普遍性は、ちょっと感動的である。
中点は、図形を"ならす"働きを持つ。 ばらばらな四角形から、整った平行四辺形が現れる。 つの定理が、思わぬ美しさを生む — 幾何学の醍醐味だ。
(1) (2)
別解
中点連結定理を「相似」から作り直してみよう。 定理を丸暗記せずに済むし、なぜ「半分」になるのかが腑に落ちる。
と を比べる。
- は共通
- は の中点だから
- は の中点だから
辺の比が等しく、そのあいだの角が共通 — これは相似条件そのものだ。
相似が言えれば、あとは全部ついてくる。
- 対応する辺の比が → 、つまり ✓
- 対応する角が等しい → ✓(平行を経由しなくても、直接出る)
- ついでに も、同位角が等しいことから言える
中点連結定理は、相似比 の相似の言いかえだったのだ。
ベクトルで見ると、さらに一瞬で終わる。
— この 本の式が、「平行(向きが同じ)」と「長さが半分」の両方を同時に言っている。
ベクトルの威力がここにある。 図形の つの結論(平行と長さ)が、 つの等式に圧縮された。数Cで学ぶベクトルは、こういう「まとめて言う」力を持っている。
逆も成り立つ、というのも大事だ。 「 が の中点で、 なら、 は の中点」— 平行から中点が言える。台形の面積を求めるとき、この逆向きの使い方が効く。定理は、逆も使えるかどうかを必ず確かめておく。
ポイント
- 中点どうしを結んだ線は、向かいの辺と「平行 + 長さ半分」の2点セット。
- 平行が言えると、同位角・錯角で角度の問題にもつながる。
よくある間違い
- を と同じ長さにしてしまう間違いが多い。半分になる
- (2)で と が「同位角」であることを確認せず、 から引いてしまう
- 中点連結定理を「平行」だけ、または「長さ半分」だけで覚える(結論は2つセット)