数学A / 確率
2個のサイコロの確率
問題
大小2個のサイコロを同時に投げる。
(1) 出た目の和が 7 になる確率を求めよ。
(2) 出た目の積が偶数になる確率を求めよ。
ヒントを見る
全体は 通り(大小を区別)。(1)和が になる目の組を数える。(2)『積が偶数』は数えにくいので、反対の『積が奇数』(=両方奇数)を数えて全体から引くと速い。
解答・解説
方針
確率は「(あてはまる場合の数)÷(全部の場合の数)」で求める。
まず確かめたいのは、全部の出方が同じくらい起こるか(同様に確からしいか)。2個のサイコロは、大小を区別すると 通りが同じくらい起こる。
(2)の『積が偶数』は正面から数えると多いので、反対の『積が奇数』を数えて1から引くとラクだ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 確率の第一歩は、「同じくらい起こりそうなもの」で全体を数えることだ。
大小 個のサイコロなら、 の組が 通り。この 通りはどれも同じ確率で起こる。
ここで「大小を区別しない」と 通りになるが、それはまずい。 と では起こりやすさが違う(前者は大小の入れかわりで 通りぶんある)からだ。確率では、区別できるものは全部区別して数える。
(1)は和が になる組を数えるだけ。
(2)の「積が偶数」は数えにくい。反対の「積が奇数( 両方とも奇数)」のほうが数えやすい — こういうときは余事象を使う。
大小を区別すると、目の出方は 通り。これらは同じくらい起こる。
(1) 和が7になるのは の6通り(図のななめ一列のマス)。
(2) 積が偶数になる場合を直接数えると多い。そこで反対の『積が奇数』を考える。積が奇数になるのは、2個とも奇数の目()のときで、 通り。だから
まとめ:『積が偶数』は『少なくとも一方が偶数』と同じこと。「少なくとも」が出てきたら、反対を数えて1から引く、と考えるとうまくいくことが多い。正面から「偶数×奇数、奇数×偶数、偶数×偶数」と分けても 通りで同じ答えになるが、反対を数えるほうが手間が少ない。
発展 — 一歩先へ。 個のサイコロの和の分布を、表から読み取ってみよう。斜めの線の長さを数えるだけだ。
| 和 | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通り |
合計は ✓。 を頂点とする、きれいな山型になる。 個のサイコロなら つの目が平らに並ぶのに、 個足しただけで山ができるのだ。
サイコロを 個、 個 と増やすと、この山はどんどんなめらかな釣鐘型に近づいていく。これが中心極限定理という、統計学で最も重要な定理の姿である(数Bの正規分布につながる)。
「たくさん足すと、釣鐘型になる」 — 身長の分布も、測定誤差も、テストの点も釣鐘型になりやすいのは、たくさんの小さな要因が足し合わさっているからだ。 個のサイコロの三角形の山は、その最初の一歩なのである。
(1) (2)
別解
個のサイコロの問題は、 の表(マス目)を描くと、ほぼすべてが目で見て解ける。表を 枚描く手間を惜しまないこと。
縦に大サイコロの目(〜)、横に小サイコロの目(〜)をとる。 個のマスができ、マス つが 通り。どのマスも確率 で、面積の割合がそのまま確率になる。
(1) 和が のマスは、。表の上では右上がりの対角線にきれいに並ぶ。
同じ和のマスが斜めの線に並ぶのがこの表の見どころだ。和 は マス( 通り)、和 は マス、和 は マス。和 がいちばん長い対角線 — だから 個のサイコロでは が最も出やすい。すごろくの盤面設計にも効いてくる事実である。
(2) 積が偶数のマスを直接数えるのは大変だ。そこで反対を見る。
積が奇数になるのは、大も小も奇数()のときだけ。表の上では、奇数の行と奇数の列が交わる部分 — マスの小さな正方形がぽつんと浮かんで見える。
残りが全部「積が偶数」だから
「奇数 奇数 奇数」以外は全部偶数 — この一点に気づけば、 個のマスを数える必要はない。
なぜ直接数えると危ないのか。 「大が偶数」( マス)と「小が偶数」( マス)を足して とやると、両方偶数の マスを二重に数えてしまう。正しくは 。「または」を足すときは重なりに注意 — 個数定理と同じ罠が、確率でも待っている。
大小を区別しない 通りで計算するとどうなるか。 和が になるのは の 通りだから — 正しい と違ってしまう。 通りの中に、起こりやすさが 倍のもの( 型)と等倍のもの( 型)が混ざっているからだ。確率の分母は、必ず「同じ確率で起こるもの」で揃える。
ポイント
- 確率 = (あてはまる場合の数) ÷ (全部の場合の数)
- 2個のサイコロは大小を区別して 通り(同じくらい起こる)
- 「少なくとも」「〜が偶数」は、反対を数えて がラク
よくある間違い
- 大小を区別せず、全体を 通りとしてしまう(同じくらい起こらない)
- (2)を『偶数の目 × 何か』と数えて、同じものを重複させる
- (2)で「積が偶数」の反対を「積が偶数でない」でなく「両方偶数でない」と取り違える(反対は『両方とも奇数』)