数学A / 場合の数
集合の要素の個数(個数定理)
問題
あるクラス40人に、犬と猫を飼っているかを尋ねた。犬を飼っている生徒は22人、猫を飼っている生徒は15人、犬も猫も飼っている生徒は8人であった。
(1) 犬または猫を飼っている生徒は何人か。
(2) 犬も猫も飼っていない生徒は何人か。
ヒントを見る
『または』は2つの輪を合わせた全体、『どちらも』は重なり。まず図(ベン図)に、犬だけ・猫だけ・両方・どちらもなし、の4区画の人数を書き込むと迷わない。重なりを二重に数えていないか注意。
解答・解説
方針
この問題は、図をかくと一気にわかりやすくなる。
犬を飼う人の輪と、猫を飼う人の輪を、少し重ねてかいてみよう。重なった部分が「犬も猫も飼っている人」だ。
いちばん間違えやすいのは、22人と15人をそのまま足してしまうこと。それだと、重なっている8人を2回数えることになる。だから、足したあとに8人を1回だけ引く。やることはこれだけだ。難しい名前(個数定理)は覚えなくてよい。「重なりは1回引く」とだけ覚えよう。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 犬 人と猫 人を単純に足すと 人。しかしクラスは 人で、犬も猫も飼う 人はどちらにも入っている。
足すと、両方飼っている 人を 回数えてしまう。だから 回ぶん引く。
これが個数定理だ。「足しすぎたぶんを引く」、それだけの話である。
(2)は「犬または猫」の反対だから、全体から引く。 人から 人を引いて 人。困ったらベン図を描いて、 つの部屋の人数を書き込む — それが一番確実な道だ。
まず図をかいて、重なりの部分に「8人」と書き込もう。
(1) 犬または猫を飼っている人
「または」は、2つの輪を合わせた全体のことだ。
そのまま足すと 人。でも、これでは多すぎる。重なっている8人を、犬のほうでも猫のほうでも数えていて、2回分になっているからだ。だから8人を1回だけ引く。
( は犬を飼う人、 は猫を飼う人。 は「どちらか一方でも飼っている人の数」を表す記号だと思えばよい。)
(2) どちらも飼っていない人
クラスは全部で40人。そのうち「犬か猫を飼っている人」が(1)で求めた29人だった。残りが「どちらも飼っていない人」になる。
まとめ:最後に図で確かめよう。犬だけの人は 人、猫だけの人は 人、両方が8人、どちらも飼わない人が11人。全部足すと 人。ちゃんと40人になった。合っている。
発展 — 一歩先へ。 集合が つになると、公式はこうなる。
足す → 引く → また足すと符号が交互に入れかわる。これを包除原理という。
理由はベン図の真ん中の部屋を追えば分かる。 つ全部に属する人は、最初の 項で 回数えられ、次の 項で 回引かれて 回になってしまう。だから最後に 回足し戻す — 数えすぎと引きすぎを、交互に修正していくわけだ。
この「足しては引く」という発想は、確率(少なくとも つ起こる確率)や整数(倍数の個数の数え上げ)でも主役になる。数え上げの土台にある原理であり、 個の集合まで一般化される。 つの場合の は、その最初の一歩なのだ。
(1) 29人 (2) 11人
別解
公式を使わず、 つの部屋の人数を全部埋めるやり方を身につけよう。ベン図を描くと、クラスは必ず次の 種類に分かれる。
- 犬だけ飼っている人
- 猫だけ飼っている人
- 両方飼っている人
- どちらも飼っていない人
両方から埋めるのがコツ。 分かっているのは「両方 人」。ここが交わりだ。
犬だけは、犬 人から両方の 人を除いて
猫だけは、猫 人から両方の 人を除いて
ここまでで、何かを飼っている人は 人。これが(1)の答えである。
残りのどちらも飼っていない人は
これが(2)の答え。 つの部屋は で、合計は — クラスの人数とぴったり合う。この検算ができるのが、この方法の強みだ。
表にすると、さらに見通しがよい。
| 猫を飼う | 猫を飼わない | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 犬を飼う | |||
| 犬を飼わない | |||
| 合計 |
縦・横のどの合計も、ちゃんと辻褄が合う。 のマスのうち つと、周りの合計が分かれば、残りは引き算だけで全部決まるのだ。
この表は分割表と呼ばれ、アンケート集計の現場でそのまま使われている。公式 は、この表の「 を二重に数えた」という事実を式にしただけ。式を忘れても、表を描けば必ず解ける。
ポイント
- 「または」「両方」「どちらもいない」が出たら、まずベン図をかく
- そのまま足すと重なりを2回数えるので、重なりを1回引く
- 「どちらもいない」は、全体から「どちらか一方でも」を引く
よくある間違い
- 重なりを引かず、 としてしまう(8人を二重に数えている)
- (2)で全体の40から引くのを忘れ、29のまま答えてしまう
- 「犬を飼っている22人」を「犬だけを飼っている22人」と読んでしまう(22人には両方飼う8人が含まれている)