数学III / 積分法の応用

絶対値つき積分の最小化

最難関編絶対値の積分最小化

問題

を満たす実数とする。

を最小にする の値と、そのときの最小値を求めよ。

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絶対値の積分は、中身が0になる点で区間を分けてから。 の式になったら、あとは1変数の最小化 — 最小を与える条件を言葉に直すと、交点はどこに来ているか。

解答・解説

方針

絶対値は中身の符号が変わる交点 x=log a で分割して S(a) を a の式にする。微分すると S'(a)=2log a−1 — 交点が積分区間のちょうど中央 (log a=1/2) に来るとき最小、という「中央値」の構造が現れる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は増加だから、水平線 ()とは1点 で交わる。絶対値の積分はこの交点で分割して の式にするのが鉄則だ。左では 、右では

を計算して微分すると 。最小の条件は 、つまり交点が積分区間 のちょうど真ん中に来るとき

絶対偏差の和は「中央」で最小になる。統計で学ぶ中央値の原理の、積分版が顔を出す。

重要 の積分は交点で分割。最小の条件は「 が中身の中央の値」— 交点が区間の中点に来る

① 分割して計算する。

前半は 、後半は 。よって

② 微分して最小点を探す。

で負、 で正だから、()で最小。交点は — たしかに区間の中点だ。

xyOa=√e0.51
y=eˣ と最適な高さ a=√e(破線)。交点 x=1/2 がちょうど区間 [0,1] の中点 — 左右の「ずれの面積」が釣り合う位置で S(a) が最小になる

③ 最小値。

まとめ: 「交点で分割 → の関数化 → 微分」の直進で解けるが、最小の条件が「交点=区間の中点」と読めると景色が変わる — の総和を最小にする の“時間の中央値” 。最小値が と平方の形に畳まれるのも見事な着地だ。

発展 — 一歩先へ。 を最小にする の中央値(上下の測度が釣り合う値)、 を最小にする は平均値 」— データの分析で学ぶ「絶対偏差は中央値・平方偏差は平均」と同じ対がここにもある。本問の なら、平方版の最適値は で、中央値版の とずれるのも統計と同じ現象だ。

のとき最小値

別解

微分を「長さの差」で読む(釣り合いの一撃)。 をわずかに だけ持ち上げると、 はどう変わるか。図で考える。

  • 交点より( の区間、長さ ): 帯 厚くなる → 面積は
  • 交点より(長さ ): 帯が薄くなる → 面積は

よって

微分の計算(本解の①②)をせずに、 が図から直接読めた。最小の条件 左右の区間の長さが釣り合うとき、つまり交点が中点に来るときだ。

「絶対値の積分の 微分=(下側の測度)−(上側の測度)」という読み方は、この型の最小化すべてに通じる。最小値の計算だけは本解の式に任せればよい。

ポイント

  • 交点 で分割し
  • (交点が区間の中点)。
  • 最小値

よくある間違い

  • 絶対値を外さずに をそのまま計算する(交点 での分割が先)。
  • 端の場合()の検分を忘れる(本問は の符号で内部最小が確定するので結論は変わらないが、分割の妥当性の確認として要る)。
  • 最小値 と畳めず、検算の機会を逃す。