数学III / 積分法の応用
直交する2つの円柱の共通部分
問題
半径1の2つの直円柱があり、その中心軸は直交している。2つの円柱の共通部分の体積を求めよ。
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体積の一般原理は「断面積を積む」。どの向きで切れば断面が簡単になるか — 2本の軸の両方に垂直な向きで切ると、それぞれの円柱の条件は何を制限する形になるか。
解答・解説
方針
回転体ではないので断面積の積分 V=∫S(z)dz に戻る。急所は切る向き: 2本の軸のどちらとも垂直な方向 z で切ると、各円柱の条件が「|x|≤√(1−z²)」「|y|≤√(1−z²)」という独立な帯になり、断面は正方形 S(z)=4(1−z²) になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 回転体ではないから は使えない。原点に戻って断面積の積分 だ。勝負は「切る向きの設計」にある。
軸を 軸()と 軸()にとり、どちらの軸とも垂直な 方向で切る。 を止めると、1本目の条件は 、2本目は 。 と が独立に制限され、断面は正方形になる。
円柱を円柱らしく(軸方向に)切ると円が出て絡まるのに、直角に切ると正方形が現れる。この逆転が急所だ。
① 断面を求める。 円柱を (軸は 軸)、(軸は 軸)とする。高さ ()の断面は
すなわち1辺 の正方形で、面積は
② 積分する。
③ 答えの吟味。 円柱2本の交わりなのに、体積 に円周率が現れない — 断面がすべて正方形だから。この立体に内接する球(半径1、体積 )と比べると で、たしかに球を包んでいる。
まとめ: 非回転体の体積は「切る向きの設計」が9割。2つの条件が独立の帯になる方向を探すと、断面が初等図形(正方形)に落ちる。円柱の交差でπが消える意外性ごと、断面積分の代表例として胸に置きたい。
発展 — 一歩先へ。 この立体はシュタインメッツの立体と呼ばれ、古代中国では「牟合方蓋」の名で研究された(祖沖之父子が体積を求めている)。円柱を3本直交させた共通部分は — これも断面の設計で高校の積分で届く。断面が初等図形になる向きを探す、という本問の設計思想はそのまま通用する。
(円周率が現れない)
別解
球と断面を比べる(カヴァリエリの原理で積分が消える)。 この立体には、半径1の球がぴったり内接する。高さ で両方を切ってみよう。
- 本問の立体の断面: 1辺 の正方形、面積
- 内接球の断面: 半径 の円、面積
つまり、どの高さで切っても、断面は円とその外接正方形の関係にあり、面積比はつねに
断面積の比がすべての高さで一定なら、体積の比も同じ(カヴァリエリの原理 — 体積は断面積の積分だから)。よって
積分を1本も書かずに答えへ着いた。 が消える理由も「球の と比の が約分される」と、この見方がいちばん雄弁に語ってくれる。
ポイント
- 両軸に垂直な で切ると条件が独立の帯になる。
- 断面は1辺 の正方形、。
- (πが消える)。
よくある間違い
- 回転体の公式 を使おうとする(この立体は回転体ではない)。
- 断面の正方形の1辺を (半分)として体積が になる。
- を の2倍にするときの処理を混乱する(偶関数なので2倍でよいが、どちらか一方に統一)。