数学III / 積分法の応用
tanⁿx の積分漸化式と漸近
問題
()とおく。
(1) のとき を示せ。
(2) を示せ。
(3) を求めよ。
ヒントを見る
と割って、 を積分しやすい形に書き替えると何が起きるか。(3)は の大小と漸化式を組み合わせて、 をはさめないか。
解答・解説
方針
tan²x=1/cos²x−1 の恒等式で tanⁿ を分解すると、tanⁿ⁻²x/cos²x の部分が (tanⁿ⁻¹x)/(n−1) の微分形になり2つ飛びの漸化式が出る。(2)は漸化式と正値性から I_n<1/(n+1)。(3)は単調減少と漸化式で 2I_n を両側からはさむ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 の積分は、単独では求まらない。恒等式 で
と分解すると、第1項は そのもの。恒等式が2つ飛びの漸化式を生む。
値は求まらないのに、(2)(3)のように漸近だけは正確に取り出せるのがこの型の醍醐味だ。鍵は「漸化式+単調性ではさむ」ことにある。
① 漸化式((1))。
(、。)
② ((2))。 で だから 。(1)で を に替えると で、 より
はさみうちで 。
③ のはさみうち((3))。 より だから (単調減少)。よって
すなわち 。両端とも に収束するから
まとめ: 「恒等式 → 漸化式 → 単調性ではさむ」の3段。積分の値は1つも求めていないのに、 が の速さで消えることまで分かる — 積分漸化式の型の完成形で、どの関数( でも でも)でも同じ設計思想が通る。
発展 — 一歩先へ。 漸化式を から逆向きにほどくと、 となり、 — 円周率のライプニッツ級数が漸化式から転がり出る( が級数の収束を保証)。「積分漸化式は、値の分からない積分と美しい級数をつなぐ橋」の代表例だ。
(1)(2) 証明 (3)
別解
置換 で有理関数にする((1)(2)が2行になる)。 (、)と置換すると
三角関数が消えて、ただの有理関数の積分になる。すると:
(1) — 分母が約分で消える。
(2) から — 一撃。
(3)は本解と同じく、単調性 と漸化式で をはさむ。
三角の恒等式(本解)と置換(本ルート)は同じ内容の2つの言語だが、有理関数の顔になると「なぜ なのか」( の積分だから)が一目になる。 の積分漸化式は で書き直すと見通しが晴れる — 覚えておきたい翻訳だ。
ポイント
- の分解で 。
- 。
- → 。
よくある間違い
- (3)で単調性 を言わずに ではさむ(はさみの片側が立たない)。
- 漸化式の計算で の分母を とする。
- (2)で の根拠(区間内で )を書かずに「明らか」で流す。