数学III / 積分法の応用

面積(e^{-x} と x 軸)

★ 基礎面積

問題

曲線 軸、および 直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

の原始関数は符号に注意(微分して戻るかで検算)。区間全体で正なので、面積はそのまま定積分。

解答・解説

方針

なので面積は定積分 の原始関数は

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 まず符号を確認する。

指数関数は、肩が負でも、値は必ず正だ。

曲線は 軸の上。面積 定積分。

原始関数で、符号のミスが起きやすい。

を微分すると?

マイナスが出る。

だから、積分では逆にマイナスをつけて打ち消す。

検算しよう。

「合成関数の積分では、内側の微分()で割る」 — その結果が、このマイナスだ。

公式。面積 定積分()

なので面積はそのまま定積分。

xyO1
y=e^{−x} と x軸、x=0〜1 で囲む面積

まとめ: の積分は (マイナスがつく。 を微分すると なので)。面積 。符号の処理()を丁寧に。

発展 — 一歩先へ。 数学IIIの積分は、ここまでで一通りの道具がそろった。全体を振り返っておこう。

積分が計算できるもの。

  • 面積(曲線と 軸、 曲線のあいだ)
  • 体積(回転体、断面積が分かる立体)
  • 道のり・変位(速度の積分)
  • 曲線の長さ()
  • 和の極限(区分求積法)

驚くべき多様さだ。

面積、体積、長さ、距離、和の極限。 見た目はまるで違う。

それでも、すべて つの操作 — 積分 — で計算できる。

なぜか。

すべてが「細かく刻んで、足し上げる」という構造をもっているからだ。

形は違えど、「微小な量を、無限に足し上げる」という骨格は同じ。

その骨格に、 という記号を与えたのが、ライプニッツだった。

( という記号は、「和」を意味するラテン語 summa の頭文字 を、縦に引き伸ばしたものだ。)

そして、この「足し上げ」を実際に計算する方法が — 微分の逆をたどることだった。

微積分学の基本定理。

無限個の足し算が、 つの値の引き算になる。

この 行が、人類の計算能力を、桁違いに引き上げた。

アルキメデスが何十ページも費やした計算が、いま我々は 分で解く。

それは、我々が賢いからではない。

年前の巨人たちが、この道具を作ってくれたからだ。

微分は「変化を捉える」。積分は「変化を積み上げる」。

この つを手にした人類は、惑星の軌道を計算し、橋を架け、飛行機を飛ばし、宇宙へ出た。

そして、いまあなたの手にも、その道具がある。

この 行を計算できるということは、 年分の人類の知恵を、自分のものにしたということだ。

その道具で、次は何を測るだろうか。

別解

この面積を、 の面積と対応づける。

のグラフは、 軸で折り返した形だ。

に置き換えているので、左右反転になる。

すると、面積についてこんな関係が成り立つ。

から での の面積」は、「 から での の面積」に等しい。

鏡に映しただけだから、面積は同じ。

右辺を計算してみよう。

同じ答え ✓

数値では

この という数、工学では極めて有名だ。

コンデンサの充電、モーターの立ち上がり、温度の変化時定数のあいだに まで達する、という法則がある。

その が、まさに なのだ。

さて、この面積を、 を無限まで伸ばしたらどうなるか。

を大きくすると

無限に広がる領域なのに、面積はぴったり !

指数関数の減衰が、あまりに速いからだ。 すそが薄すぎて、面積を稼げない。

そして、この「面積 」という性質が、確率論で決定的な役割を果たす。

確率密度関数は、全体の面積が でなければならない(全事象の確率が だから)。

これは、そのまま確率密度関数になる。 指数分布と呼ばれる。

何を表すのか。

「ランダムに起こる出来事の、次の発生までの待ち時間」

  • 電球が切れるまでの時間
  • 地震が起こるまでの間隔
  • 窓口に次の客が来るまでの時間
  • 放射性原子が崩壊するまでの時間

すべて指数分布に従う。

そして、この分布には奇妙な性質がある。

無記憶性。

年使った電球が、あと 年もつ確率。新品の電球が 年もつ確率。この つが、まったく同じなのだ。

電球は、自分が何年使われたかを"覚えていない"。

この不思議な性質をもつ確率分布は、指数分布しかない。

という、素朴な面積計算。

その延長線上に、待ち行列理論と信頼性工学の全体が広がっている。

ポイント

  • (マイナス)。
  • 面積

よくある間違い

  • 原始関数のマイナスを落として とする。 なので、積分には がつく
  • と読み違える。負の指数は逆数()で、符号のマイナスではない
  • としてしまう。 なので、