数学III / 積分法の応用
面積(放物線と x 軸)
問題
曲線 と 軸で囲まれた部分の面積を求めよ。
ヒントを見る
まず 軸との交点を求めて図をかく。曲線が軸の下にある区間なので、符号の扱いに注意 — 『上 − 下』の原則で考えれば迷わない。
解答・解説
方針
軸との交点は 。この区間で (曲線が 軸の下)なので、面積は「 軸 − 曲線」。偶関数なので 。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 まず、曲線と 軸の交点を求める。
積分区間は だ。
次に、符号を確認する。
曲線は、 軸の下にある。
このまま積分すると、答えが負になってしまう。
面積は「上 下」だった。 ここでは 軸(=)が上、放物線が下。
符号を反転させて積分する。
「 軸の下にある部分は、 を積分する」 — 数IIで学んだ原則そのものだ。
そして、この被積分関数 は偶関数。対称性が使える。
① 交点と上下を確かめる。 より 。 で ( 軸の下)。
② 「 軸 − 曲線」を積分する。 偶関数なので 。
まとめ:曲線が 軸の下にあるときは、 を積分して面積を正にする。偶関数の対称性で と計算が楽になる。 が求める面積だ。
発展 — 一歩先へ。 アルキメデスは、微積分なしで、どうやって「放物線の 」を証明したのか。
取り尽くし法という、天才的な方法を使った。
放物線の切片(弦と放物線で囲まれた部分)に、三角形を詰めていく。
まず、いちばん大きな三角形を つ入れる。 面積を とする。
次に、残った隙間( か所)に、それぞれ三角形を入れる。
アルキメデスは、この三角形の面積が、それぞれ になることを示した。
つで 。
さらに残った隙間( か所)に三角形を入れると、合計 。
この調子で、無限に詰めていく。
公比 の無限等比級数だ!
「放物線の切片は、内接三角形の 倍」
これが、アルキメデスの結論である。
( 年前に、無限等比級数の和を使っている!)
この問題で確かめよう。
弦は 軸()、放物線は 。
内接する最大の三角形は、頂点 、、。
アルキメデスの公式より
積分の答えと、ぴったり一致 ✓
年前の幾何学と、現代の積分が、同じ答えにたどり着いた。
アルキメデスの偉大さは、どこにあるのか。
彼は「無限に足し上げる」という操作を、恐れなかった。
当時のギリシャ数学は、無限を忌避していた(ゼノンのパラドックスの影響で)。
それでもアルキメデスは、無限等比級数を計算し、正しい答えを出した。
微積分が発明されるまで、 年。
その間、誰も彼を超えられなかった。
そして、 世紀。ニュートンとライプニッツが微積分を作り上げたとき、彼らは言った。
「私が遠くを見渡せたのは、巨人の肩に乗っていたからだ。」
その巨人の 人が、アルキメデスである。
という、いま我々が 分で解く計算。
それは、人類が 年かけて手に入れた道具の、恩恵なのだ。
別解
放物線の面積は、公式で一発。
公式を使う。
この形は、「 次関数が 軸と交わる 点のあいだの積分」を表す。
この問題の関数を、因数分解する。
、 だ。
負の値が出た。 曲線が 軸の下にあるからだ。
面積は、その絶対値。
本解と同じ答え ✓ 積分計算を 行もしていない。
公式の威力。
「 交点の距離 さえ分かれば、面積が即座に出る」
放物線と直線が囲む面積も、同じ公式で処理できる。
例: と の囲む面積。
交点は より 、つまり 。
交点さえ求めれば、あとは代入するだけ。
さて、この問題の答え には、もう つの顔がある。
放物線を囲む長方形と比べてみよう。
幅 ( から )、高さ ( での深さ)の長方形。
求めた面積は 。
放物線は、囲む長方形の を占めている。
この「」は、アルキメデスが発見した有名な事実だ。
「放物線の切片の面積は、外接する長方形の 」
放物線がどんな形でも、どこを切っても、必ず 。
この普遍性が、 年前の数学者を魅了した。
そして、その根っこにあるのは
という、たった 行の積分なのである。
ポイント
- なら面積 。
- 偶関数は 。
よくある間違い
- 符号を反転させずに を計算し、 という負の面積を答えてしまう
- 積分区間を求めずに、勝手に などで積分する。 軸との交点()が区間の端
- 偶関数の対称性を使うとき、 倍を忘れる。