数学III / 積分法の応用
面積(1/x と x 軸)
問題
曲線 と 軸、および 直線 、 で囲まれた部分の面積を求めよ。
ヒントを見る
区間内で は正なので、面積はそのまま定積分。原始関数は対数になる型。
解答・解説
方針
で 。面積は定積分 。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 まず符号を確認する。
曲線は 軸より上。だから面積 定積分だ。
原始関数は 。 積分区間は正なので、絶対値は外してよい。
面積は、ぴったり 。
なんとも気持ちのいい答えだ。
から という、一見中途半端な区間で、なぜ面積がきれいな になるのか。
逆なのだ。 「双曲線の下の面積が になる点」として、 が定められている。
という数の正体が、この面積なのである。
で 。
まとめ: と 軸が で囲む面積はちょうど 。 の積分は 、 を使う。 という数の定義()そのものだ。
発展 — 一歩先へ。 「区間を 倍にしても面積が同じ」という性質を、無限に続けてみよう。
面積 の区画が、無限に続く。
全部足すと?
発散する。
「同じ面積が無限に続くのだから、当然」だ。
この事実は、調和級数の発散と、まったく同じ構造をしている。
証明を思い出そう。 項をグループ分けして、各グループが より大きいことを示した。
「一定量の塊が、無限に続く」 — 積分の話と、そっくりだ。
これは偶然ではない。
積分判定法という定理がある。
「 が正で減少なら、 と は、同時に収束し、同時に発散する。」
級数と積分の運命が、一致するのだ。
なぜか。
級数は「幅 の長方形の和」、積分は「曲線の下の面積」。
関数が減少なら、この つは互いに挟み込む。
上下から挟まれているので、片方が発散すればもう片方も発散する。
この定理で、いろいろな級数の収束が判定できる。
つ目は、驚きだ。 は よりずっと小さいのに、それでも発散する。
( の増え方が、あまりに遅いからだ。)
発散と収束の境界線は、想像以上に微妙な場所にある。
そして、その微妙さを判定する道具が — 積分なのだ。
離散の世界(級数)の問題を、連続の世界(積分)に翻訳して解く。
という素朴な面積計算が、無限級数の深淵につながっている。
別解
この双曲線の面積には、驚くべき性質がある。
「区間を 倍に引き伸ばしても、面積は変わらない。」
確かめよう。
では、区間を にすると?
同じ !
なら?
やはり 。
区間はどんどん長くなっているのに(、、)、面積は変わらない。
なぜか。
区間が長くなるぶん、曲線の高さ()が低くなる。 その つが、ぴったり打ち消し合うのだ。
もっと一般に言える。
面積は、 に一切よらない。(倍率)だけで決まる。
具体例で確かめよう。
つとも、まったく同じ面積。
区間が と巨大でも、 と同じ面積しかない。
「 倍に伸ばす」という操作が同じなら、面積も同じ。
この性質を、スケール不変性という。
そして、これが「掛け算 → 足し算」の変換を生む。
対数の最重要性質が、面積の分割から出てきた。
この視点で、対数目盛りの意味も分かる。
対数グラフでは、 から までの距離と、 から までの距離が等しい。
どちらも「 倍」だから、 という同じ距離になる。
地震のマグニチュード、音のデシベル、pH、星の等級 — どれも対数目盛りだ。
「 倍のエネルギー」を「 段階の差」として表せるから、扱いやすい。
という、たった 行の面積計算。
その裏に、掛け算の世界を足し算の世界へ翻訳する、対数の本質がある。
ポイント
- 面積 = 。
- 、。
よくある間違い
- を のまま残す。自然対数では
- を としてしまう。
- の原始関数を (微分)や (公式の誤用)としてしまう。 の積分だけは対数