数学III / 積分法の計算

不定積分(1/cos²)

★ 基礎不定積分

問題

不定積分 を求めよ。

ヒントを見る

『微分すると になる関数』を、微分公式の表から逆引きしよう。

解答・解説

方針

の逆をたどる。 の積分は

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を見て、「これは何の微分だったか?」と考える。

微分公式を、思い出そう。

ぴったり一致する。

微分公式を逆に読むだけで、積分公式になる。

これが積分の学び方の基本だ。

微分公式の一覧表を、右から左に読む。

新しく覚えることは、 つもない。

「積分の公式」は、「微分の公式」の裏返しにすぎない。 そう思えば、暗記の負担は半分になる。

公式

なので、逆に

まとめ: の積分は 。微分公式 の逆。三角関数の微分公式を覚えていれば、その逆が積分公式になる。

発展 — 一歩先へ。 ここまでで、基本の積分公式が出そろった。全体を、 枚の地図にまとめよう。

つ。すべて、微分公式の裏返しだ。

そして、この つを組み合わせる技法が つある。

① 線形性 — 和・定数倍はバラせる

② 置換積分 とおいて、ものさしを変える

③ 部分積分 — 積の微分公式の裏返し

これで、高校で出会う積分の大半は処理できる。

だが、微分と積分の"非対称性"は、忘れてはならない。

微分は、必ずできる。 どんな複雑な式でも、 つの規則(和・積・合成)を機械的に適用すれば、有限回で終わる。

積分は、できないことがある。

どれも、初等関数では書けない。

この違いは、どこから来るのか。

微分は「分解」だ。 複雑な関数を、部品に分けて、それぞれ微分して、組み立てる。必ず終わる。

積分は「発見」だ。 「微分するとこれになる関数」を、探し出さなければならない。見つかる保証はない。

この非対称性を、日常のたとえで言えばこうだ。

ガラスのコップを割るのは簡単だ(微分)。割れた破片から、元のコップを復元するのは難しい(積分)。

それでも、我々は積分を学ぶ。

なぜか。 世界の法則は、微分方程式で書かれているからだ。

物理法則は「変化のルール」を語る。 だが、我々が知りたいのは「 時間後に、ロケットはどこにいるか」だ。

変化のルールから、実際の軌道を復元する。

それが積分である。

微分が「世界を記述する言語」なら、積分は「世界を予測する技術」なのだ。

次の単元(積分法の応用)では、この技術で、面積・体積・道のり・曲線の長さを計算していく。

つの公式と つの技法。

この道具箱を手に、いよいよ実戦へ向かおう。

別解

を使って、別の顔から見る。

三角関数の基本公式を、思い出そう。

両辺を で割る。

つまり、この問題の積分は、こうも書ける。

面白い形になった。

もし が答えなら、この式が成り立つはずだ。

検算しよう。右辺を微分する。

確かに、被積分関数に戻った。

この形から、 の積分も分かる。

の積分は、そのままでは手が出ない。 だが、 に化けさせれば、一瞬で解ける。

「積分できない形を、積分できる形に書き換える」 — これが積分計算の全体戦略だ。

定積分でも確かめてみよう。

きれいに になる。

この結果を、面積として味わおう。

は、 で高さ で高さ の、増加する曲線。

幅は

台形なら面積

実際は — それより少し小さい。 曲線が下に凸で、台形の斜辺より下を通るからだ。

答えが という整数になるのは、 という美しい事実のおかげである。

そして、被積分関数は常に正だ。

だから、 は定義域のどこでも増加する。

から まで、 から へ、 度も下がることなく駆け上がる。

「導関数が常に正 単調増加」

積分の式が、 という関数の性格を、そのまま語っている。

ポイント

  • の逆。

よくある間違い

  • の積分を、 の積分と混同する。 の積分ははるかに難しい別問題
  • と書き換えたあと、 の積分だと勘違いする。 の積分が
  • の定義域を忘れる。 となる点( など)をまたぐ積分はできない