数学III / 積分法の計算

定積分(1/x)

★ 基礎定積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

の原始関数(対数)に、上端・下端を代入する。 の値はすぐ出せる。

解答・解説

方針

原始関数 を求め、上端 ・下端 を代入して引く。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 定積分の手順は、 段階だ。

① 原始関数を求める② 上端と下端を代入して、引く

この問題では、原始関数は

積分区間 は、すべて正なので、絶対値は外してよい。

ここで、 の値を思い出す。

答えは、ぴったり

上端が に選ばれているのは、偶然ではない。 面積がちょうど になるように、 が定められているのだ。

その意味は、別解で明らかにする。

公式

① 原始関数を求める。 ( で正なので )。

② 代入して引く。

まとめ: の定積分は で計算する。 を使う。区間 の面積がちょうど になる、きれいな結果だ。

発展 — 一歩先へ。 の積分が対数になる — この事実から、素数の分布が見えてくる。

素数定理という、数論の金字塔がある。

以下の素数の個数 は、 に近い」

確かめよう。

  • : 実際の素数は 個。
  • : 実際は 個。

そこそこ合っている。

もっと精度の高い近似は、積分で書かれる。

対数積分と呼ばれる。

  • : (実際は — 誤差 )

驚くべき精度だ。

なぜ、素数の分布に が現れるのか。

直感的にはこうだ。

の近くの数が素数である確率は、およそ

が大きくなるほど、素数はまばらになる。 その"まばらさ"の度合いが、 で測られる。

だから、 から まで、 を"足し上げれば"(積分すれば)、素数の個数の見積もりになる。

素数という、離散的で気まぐれに見える対象。

その分布が、連続的な積分で、これほど正確に記述される。

これが、 世紀の数学者たちを驚愕させた事実である。

そして、この近似の"誤差"を精密に評価する問題が — リーマン予想だ。

年にリーマンが提出したこの予想は、 年以上、未解決のまま。 懸賞金 万ドルがかかっている。

の誤差は、 程度に収まるか?」

これが証明できれば、素数の分布が完全に理解できる。

という、教科書の定積分。

その の関係が、素数という数学最古の謎の、いちばん深いところまで通じている。

基本公式は、決して"基本"では終わらない。

別解

この定積分は、 の"定義"そのものである。

とは何か。 いくつかの答え方がある。

  • の極限
  • 微分しても変わらない指数関数の底
  • の和

そして、もう つ。

「双曲線 の下の面積が、ちょうど になるところ」

それが だ。

この定義が、いちばん幾何的で分かりやすい。

確かめよう。上端をいろいろ変えて、面積を測ってみる。

面積が になるのは、 の間。

その正確な値が

面積を測るだけで、 が現れる。

なぜ、これが自然な定義なのか。

歴史的に、対数はこの面積として発見された。

世紀の数学者たちは、 の下の面積を調べていて、それが不思議な性質をもつことに気づいた。

「掛け算が、足し算になる」 — これは対数の性質だ。

面積を測っていたら、対数が出てきてしまった。

そして、その対数の"底"が何かを調べると、 という謎の数が現れた。

この数に という名前をつけたのが、オイラーである。

つの定義が、すべて同じ数を指す。

極限、級数、微分、積分数学の つの入り口から入って、同じ つの部屋にたどり着く。

これほど多面的な数は、 のほかにない。

そういう数だけが、「自然」と呼ばれる資格をもつ。

この問題の答えが という、あまりにきれいな数になるのは、 がそう定義されているからなのだ。

ポイント

よくある間違い

  • のまま残してしまう。自然対数では
  • としてしまう。( 乗が )
  • 定積分で の引く順を逆にする。上端の値から下端の値を引く