数学III / 関数と極限

cos x = x の解の存在と一意性

最難関編中間値の定理単調性

問題

方程式 はただ1つの実数解をもつことを示せ。また、その解が の範囲にあることを示せ。

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解の存在は端点の符号で。ただ1つであることは、g(x)=x−cosx が「増える一方」だと言えれば十分 — cos の差は x の差よりも必ず小さい、という評価を、和積と |sin t|≤|t| から作れないか。

解答・解説

方針

g(x)=x−cos x とおく。存在は g(0)<0<g(π/2) と連続性(中間値の定理)。一意性は g が狭義増加であること — cos の差を和積でほどき、|sin t|≤|t| を使うと |cos x₂−cos x₁|<|x₂−x₁| が出て、差 g(x₂)−g(x₁) が正と言い切れる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 解の存在は中間値の定理(連続関数が両端で符号を変えれば間に解がある)で、 の端点の符号を見るだけ。

難所は一意性だ。 が狭義増加なら解は1つに限る。微分を使わずに単調性を出すには、 の差を和積でほどいて に落とす。

すると「 の値の差は の差より必ず小さい(縮む)」ことが分かり、 の増加分を打ち消せない、と言い切れる。

重要(等号は のみ)から、 なら 。中間値の定理: 連続関数が区間の両端で異符号なら、間に解がある

① 存在。 は連続で

よって中間値の定理から に解が存在する。

② cos の差の縮小。 とする。和積の公式で

絶対値をとると、( だから等号なし)より

③ 一意性。 ②より

よって は狭義増加で、 の解はただ1つ。①とあわせて、解はただ1つで にある。

xyO交点y=cos xy=x
y=cos x と y=x はただ1点で交わる(交点は 0 と π/2 の間、x≈0.74)。x−cos x が増える一方であることが「1点だけ」の理由

まとめ: 「存在=中間値、一意=単調」の役割分担。単調性を『差の縮小』 で示すのが本問の腕で、この解()は電卓で を押し続けると誰もが出会う「動かない点」だ。

発展 — 一歩先へ。 ②の縮小性 は、一意性だけでなく収束まで与える。どんな値から始めても、 を繰り返し押すと()、不動点との距離が毎回縮み、 に吸い込まれていく。電卓で を連打すると誰でも出会うあの数の正体は、「縮小写像の不動点」という由緒ある概念だ。

存在は中間値の定理、一意性は の狭義増加()による(証明)

別解

微分を学んだあとの視点( の3行)。 微分法(この先の単元)を使えるようになると、一意性の議論は劇的に縮む。

等号は 、すなわち 孤立した点だけで起きる。区間のどこでも で、恒等的に になる区間はないから、 は狭義増加。よって の解は高々1つで、存在(中間値の定理)とあわせてちょうど1つ。

本解の和積+ は、この の内容を「微分なしの言葉」で言い直したものにほかならない。実際、 の縮小率が 未満というのは、平均変化率の言葉で ということだ。学年が進んだら、証明を微分で書き直してみると両者の対応が腑に落ちる。

ポイント

  • で存在。
  • 和積+
  • が狭義増加 → 解は1つ。

よくある間違い

  • 存在(中間値の定理)だけ示して満足する。「ただ1つ」の要求は一意性の証明まで含む。
  • 中間値の定理を使うとき、 が連続であることと両端で異符号であることの2つの前提を明示しない。
  • の等号を放置する( なら中身が0でないので等号なし。この strict が一意性に効く)。