数学III / 関数と極限

調和級数の発散

最難関編級数の発散ブロック評価

問題

(1) すべての自然数 について、次の不等式が成り立つことを示せ。

(2) 無限級数 は発散することを示せ。

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各項は0に近づくのに、和が大きくなり続けることをどう示すか。和を「区切りのよいかたまり」に分けて、各かたまりを最小の項×個数で下から見積もると — どのかたまりも同じ量だけ稼いでいないか。

解答・解説

方針

和を 2 のべきで区切ったブロックに分け、各ブロックの項をいちばん小さい項で置き換えて下から見積もる: 2^{m−1}+1 から 2^m までの 2^{m−1} 個の項はどれも 1/2^m 以上なので、ブロック和は必ず 1/2 以上。ブロックが n 個で n/2 稼げる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 の和に公式はない。発散を示すには下からの評価があればよい。

定石は「ブロック分割+最小項×個数」だ。和を のべきで区切ると、区間 には 個の項があり、どれも 以上。だからブロック1つで必ず 稼げる。

項がいくら小さくなっても、ブロックの「個数×最小値」が一定に保たれる。これがこの級数の恐ろしさだ。

重要下からの評価: ブロック内の各項を最小の項で置き換える。区間 の項数は 、各項は

① ブロックの評価。 に対し

② 足し上げる((1)の証明)。 から までの和は、先頭の 個のブロックに分かれるから

③ 発散((2)の証明)。 部分和 は増加する。どんな数 に対しても、 ととれば

つまり部分和はどんな数をも超えるので、この級数は(一定の値に収束せず)発散する。

まとめ: 「各項 でも和は発散し得る」ことのいちばん重要な実例。倍々のブロックで切ると各ブロックが等しく を差し出す、という構造の発見が全て — 収束・発散の判定は、和を「評価できる形」に組み替える技術だ。

発展 — 一歩先へ。 ブロック評価は上からも使える: 各ブロックは(最大項)×(個数) 以下なので 。下界 とあわせて、部分和 の定数倍の速さで(そしてその速さでしか)育たないことが分かる。「発散するが、対数的にしか発散しない」— 調和級数の性格はこの両側評価で初めて全貌が見える。

(1) ブロックごとの下からの評価(証明) (2) 部分和がどんな数をも超えるので発散

別解

背理法で(収束すると仮定して自分より大きくなる)。 発散の証明には、鮮やかな背理法もある。

仮に が値 に収束したとする。項を偶数番目と奇数番目に分けると(すべて正の項なので、部分和で考えれば分割してよい)

偶数番目の和は

一方、奇数番目の和は、各項で だから偶数番目の和より真に大きい。すると

は矛盾。よって収束せず、正項級数だから発散する。

ブロック評価(本解)は「どれだけゆっくりか( 程度)」まで教えてくれる定量的な道、背理法は存在しないことを一撃で示す定性的な道。両方持っておくと級数の議論が立体的になる。

ポイント

  • ブロック
  • 部分和が任意の を超える → 発散。

よくある間違い

  • 「各項が0に近づくから収束する」と考える(最頻の誤り。本問はその反例そのもの)。
  • ブロック内の項数を 個と数える(区間 の項数は 個)。
  • (2)で「部分和がどんな をも超える」の論理を書かず、「どんどん大きくなるから発散」で済ませる。