数学III / 関数と極限
1に近づく底の累乗の極限
問題
極限 を求めよ。
ヒントを見る
1に近づくものの大きな累乗 — 直接は測れない形の定番の突破口は何か。対数を取ったあと、cos(1/n) を「1+(小さいもの)」と見ると、知っている極限が2つ連鎖しないか。
解答・解説
方針
底が1に近づき指数が発散する不定形。対数を取って n²log cos(1/n) の極限に翻訳し、「(1−cos u)/u²→1/2」と「log(1+t)/t→1」の2つの標準極限の積に分解する。最後に指数関数の連続性で値に戻す。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 底 、指数 の「1の無限乗」型不定形だ。この型は対数を取って積の形に翻訳するのが定石になる。
とおく。()と見ると、 の標準極限と の標準極限が連鎖する形に分解できる。
部品を2つつないで組み立てる、という設計図が最初に見えれば、あとは各部品の値を入れるだけだ。
① 対数を取り、分解する。 とおくと
② それぞれの因子の極限。 前の因子は として
後の因子は だから 。よって 。
③ 指数に戻す。 指数関数は連続だから
まとめ: 「1の無限乗」は対数化 → 標準極限の積に分解、が設計図。 と という2つの部品を、置き換え でつないで組み立てる — 極限の計算は部品の連鎖で書くと迷いがない。
発展 — 一歩先へ。 に変えると答えは 。これは という2次の近似がそのまま指数に乗る、と読める。この「関数を多項式で近似して極限を読む」視点は、数IIIの先(テイラー展開)で全面的に開花する — も も、その最初の2項の姿だ。
別解
の定義の形に直接寄せる(対数を経由しない)。 とおくと、与式は
と、 の定義の形 を無理やりくくり出せる。
中身は だから 。肩に乗った指数は
よって全体は 。
対数化(本解)と の定義くくり出し(本ルート)は、同じ計算の表と裏だ。「 に近づくものの大きな累乗を見たら、 を作って をくくり出す」— この反射は 系の問題すべてに通じる。
ポイント
- 対数化 で積に分解。
- 、。
- (指数関数の連続性)。
よくある間違い
- 「底が1より小さいものの無限乗だから0」と即断する。底が1に近づく速さと指数の伸びの競争で、答えは0でも1でもない値になる。
- の を落として とする。
- 対数の底を途中で混ぜる( は自然対数の性質。全編自然対数で通す)。