数学III / 関数と極限

√(n²+1) の正弦の極限

最難関編周期性有理化

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

角がどんどん大きくなる正弦は、そのままでは極限が見えない。sin の周期性を使って、角から「邪魔な大きな部分」を取り除けないか。残った小さな角はどんな形か。

解答・解説

方針

sin の中身は大きくなる一方に見えるが、周期 2π の整数倍 2πn を引いても値は変わらない。引いた後の 2π(√(n²+1)−n) は有理化すると0に近づく小さな角 — あとは sinθ/θ→1 の定番で仕留める。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は限りなく大きくなるので、一見激しく振動しそうだ。だが より「ほんの少し」大きいだけ。

そして は周期 だから、周期の整数倍 を引いても値は変わらない。引き算 は、有理化すれば

つまりこの正弦の正体は「0に近づく小さな角の正弦」だ。 倍とのバランスは で測れる。

公式

① 周期の整数倍をはがす。

② 有理化して小さな角にする。

倍とのバランスをとる。

ここで

とあわせて

まとめ: 「大きく回って見える角は、周期の整数倍をはがして小さくする」— 正弦の周期性を極限の道具として使うのが急所。はがした後は有理化 → の定番連携で、 の「差のかけら」だけが答えに生き残る。

発展 — 一歩先へ。 根号の中の に変えると、同じ計算で答えは になる(差のかけら が答えを運ぶ)。さらに にすると、半端 の周期の半分を食い、その先の補正 が主役になって答えは 。「根号を と読む」精度を1段ずつ上げる感覚が、この型の全部を支配している。

別解

先に見積もる( の目)。 答えの見当を、根号の近似でつけてしまう手がある。

(「( が小さいとき)」という平方根の1次近似。)すると角は

周期分 を除けば残りは だから、 倍すれば — 答えが3行で見える。

もちろんこのままでは答案にならない(「」は証明でない)。だが先に結論を知ってから本解の有理化・はさみで固めると、計算の目的地が明確になり道に迷わない。見積もりと厳密化の2段ロケットは、極限の実戦での基本装備だ。

ポイント

  • (周期性)。
  • 有理化で
  • で答えは

よくある間違い

  • 「角が発散する正弦は振動するから極限なし」と早合点する。周期の整数倍をはがすと、実は0に近づく角だった。
  • の周期を と混同して を引く( と符号が暴れる。はがしてよいのは の整数倍)。
  • を黙って に置き換える。 を掛ける形で明示する。