数学III / 関数と極限
関数の極限(分数・無限大)
問題
極限 を求めよ。
ヒントを見る
分子・分母を で割ると、 に向かう項とそうでない項が見分けられる。
解答・解説
方針
の形。分母の最高次 で分子・分母を割る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 で、分子も分母も無限大 — また の不定形だ。
数列でやったことと、まったく同じ手が使える。
分母の最高次()で、分子・分母を割る。
で 、。
数列()でも、関数()でも、手法は共通だ。
違いは、 が自然数だけを動くのに対し、 は実数として連続に動くことだけ。 無限大に飛ばすときの計算は、何も変わらない。
「 は最高次で割る」 — この 手を、あらゆる場面で使う。
分子・分母を で割る。
で 、 なので
まとめ:関数の も、数列と同じく分母の最高次で割る。 が効いて、最高次の係数比 が残る。
発展 — 一歩先へ。 この極限は、じつはグラフの"全体像"を語っている。
関数を、割り算で整理してみよう。
双曲線の形になった!
この関数の姿が、完全に見える。
- 縦の漸近線: 分母が になる
- 横の漸近線: で だから
この問題で計算した極限 は、横の漸近線の高さだったのである。
つの関数を、 つの角度から見てみよう。
① (右の彼方)
右へ行くと、 に上から近づく( だから)。
② (左の彼方)
左へ行っても、 に。 ただし今度は下から()。
③ (縦の漸近線)
の近くで、上下に吹き飛ぶ。
この つの極限で、グラフの全体像が決まった。
右上と左下に つの枝をもつ、 と を漸近線とする双曲線である。
極限は、グラフを描くための道具でもある。
関数の"果て"で何が起きているかを知ることが、その関数の性格を知ることなのだ。
数学IIIでグラフの概形を描くとき、必ず次の つを調べる。
- 無限の彼方での挙動(横・斜めの漸近線)→ 極限
- 分母が になる点での挙動(縦の漸近線)→ 極限
- 増減と凹凸 → 微分
極限は、微分と並ぶ「グラフを描く 本の柱」の 本である。
という 行の計算が、 本の漸近線を引いている。
別解
無限大を、 に引き寄せる — 置き換えの技法。
「」は扱いにくい。 無限は、代入できないからだ。
そこで、無限を有限に変換する。
この置き換えで、何が起こるか。
無限の彼方が、原点に引き寄せられた!
式を で書き直す。 を代入する。
分子・分母に を掛けて、分数を整理する。
きれいになった。
ここで の極限をとる。 この式は で分母が だから、そのまま代入できる。
本解と同じ答え ✓
この方法の本質。
不定形 が、代入可能な普通の式に化けた。
「無限大での挙動」を、「 の近くでの挙動」に翻訳したのだ。
の近くなら、代入して確かめられる。 これは大きな利点だ。
この置き換えは、いろいろな場面で活躍する。
たとえば、 を求めよ、と言われたら。
そのままでは の不定形で、手が出ない。
とおくと
だから
基本極限に化けた!
という手の出ない形が、 という既知の極限に翻訳された。
「見たことのない形を、見たことのある形に変換する」
置き換え(変数変換)は、そのための最も強力な道具である。 積分でも、微分方程式でも、同じ発想が繰り返し現れる。
無限が扱いにくいなら、有限に引き寄せればいい。 という 行が、それをやってのける。
ポイント
- は最高次で割る(数列と同じ)。
- 極限は最高次の係数比。
よくある間違い
- と を混同する。 なら分母が に近づき、 に発散する(別の話)
- 最高次で割ったあと、 で満足して極限をとらない。 を最後まで実行する
- と置き換えたとき、 とすべきところを としてしまう。 が大きくなるほど は小さくなる