数学III / 関数と極限

関数の極限(無限大)

★ 基礎関数の極限

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

を大きくしていくと はどこへ向かうか。それだけの問題。

解答・解説

方針

のとき 。だから に近づく。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 が限りなく大きくなると、 はどうなるか。

を、とてつもなく大きい数で割る。

限りなく に近づく。

だから

この問題に、難所はない。 を知っていれば、それで終わりだ。

ただし、 つ確認しておきたいことがある。

になるのではない。 どんなに を大きくしても で、 より少しだけ大きい。

だから は、 より少しだけ小さい。 下から に近づくのである。

公式 のとき

が限りなく大きくなると に近づく。

まとめ: は「 が大きいほど小さい」ので、。全体は に落ち着く。極限の基本感覚だ。

発展 — 一歩先へ。 極限には「バラしてよい計算」と「バラすと嘘になる計算」がある。その境目を、はっきりさせておこう。

バラしてよい場合(極限の性質)。

ともに有限の値として存在するなら

「極限が存在するなら、四則演算は自由にバラせる。」

この問題は、まさにこれだ。

両方の極限が有限なので、堂々とバラしてよい。

バラすと嘘になる場合(不定形)。

片方が になったり、分母が になったりすると、上の性質は使えない。

この つが、代表的な不定形である。

の恐ろしさを見ておこう。

」としたくなる。だが違う。

有理化する。

分子・分母を で割る。

答えは でも でもない。

同じ でも、 なら に発散する。

「形が同じでも、答えは違う」 — だから不定形と呼ばれる。

まとめると、極限の作法はこうだ。

① まず代入してみる → 有限の値なら、それが答え

② 不定形になったら → 式を変形する(因数分解・約分・有理化・最高次で割る・はさみうち)

③ 変形して不定形が解消したら → 代入する

「代入 → 不定形なら変形 → 再び代入」

この ステップが、極限計算のすべての骨格である。

別解

答えは簡単だ。だから、"似て非なる極限"と比べてみる。

この問題の関数は 。極限は だった。

では、これを 乗したら?

中身は に近づく。 そして「 を何乗しても 」だから、答えも — と言いたくなる。

確かめよう。数値を入れる。

ではない! に近づいている。

この数の正体は

なぜ、こんなことが起こるのか。

つの効果が、綱引きしているからだ。

  • に近づく に押し上げる力
  • 指数 に飛ぶ に押し下げる力( より小さい数を無限回掛けるから)

この綱引きが、 という中途半端な値で釣り合う。

」は不定形なのだ。

と同じく、形だけでは答えが決まらない。

兄弟の式も見ておこう。

符号が になっただけで、答えは ネイピア数の定義そのものである。

これは複利計算から生まれた。 年利 回に分けて複利で運用すると

年で 倍(年 回)、 倍(半年ごと)、 倍(月ごと) そして無限に細かく分けると 倍で頭打ちになる。

この問題からの教訓。

「中身の極限が だから、全体も 」という推論は、危険である。

極限は、部分ごとにバラして考えてよい場合と、そうでない場合がある。

  • 和・差・積・商(分母が でない)→ バラしてよい
  • 不定形。バラすと嘘になる

」という当たり前の極限のすぐ隣に、 という深い数が潜んでいる。

簡単な問題ほど、その"隣"を覗いてみる価値がある。

ポイント

  • 残るのは定数部分

よくある間違い

  • を「 になる」と考える。 に近づくだけで、 にはならない
  • と読み違え、 に飛ばしてしまう。矢印の向き先を必ず確認する
  • 中身の極限が だからと、 の極限も だと考える。これは の不定形で、答えは