数学III / 関数と極限

無限等比級数

★ 基礎無限級数等比級数

問題

無限等比級数 の和を求めよ。

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無限に足しても値が定まるのは、公比に条件があるとき。まず初項と公比を確認し、収束するなら和の公式へ。

解答・解説

方針

初項 、公比 の無限等比級数。 なので収束し、和は

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 無限個の数を足す。答えは無限大になりそうに思える。

ところが、そうならない。

足す数が、どんどん小さくなるからだ。 次に足す量が 倍ずつ縮んでいく。

部分和を計算してみよう。

に近づいて、そこで止まりそうだ。

この直感は正しい。 の等比級数は、必ず有限の値に収束する。

「無限に足しても、有限に収まることがある」 — これは驚くべき事実だ。まずこの感覚を掴んでほしい。

公式無限等比級数()の和 ( は初項、 は公比)

初項 、公比 なので収束する。

S₁S₂S₃3/2
部分和 1, 4/3, 13/9, … は 3/2 に近づく(初項1・公比1/3)

まとめ:無限に足しても有限の値に落ち着くのが等比級数( のとき)。和は 。ここでは 。分母の計算に注意。

発展 — 一歩先へ。 「足す数が に近づけば、和は収束する」— そう思っていないだろうか。

残念ながら、これは間違いだ。

反例が、 つある。

調和級数と呼ばれる。

足す数 は、確かに に近づく。 それでも、この和は無限大に発散する。

信じがたいので、証明を見てほしい。

項を、こうグループ分けする。

各グループを、下から評価する。

どのグループも、 より大きい。

そんなグループが、無限に続く。

和は、無限大に発散する。

ただし、発散のスピードは絶望的に遅い。

和が を超えるには、約 項。 和が を超えるには、約 — 宇宙の全原子を使っても足りない。

それでも、無限に足せば、どんな大きな数も超えていく。

この違いは、どこから来るのか。

に近づく」だけでは足りない。「十分速く に近づく」ことが要る。

ちなみに、 なら収束する。

なぜか が出てくる。 オイラーが 年に解いた、バーゼル問題である。

は発散し、 は収束する。 その境目のぎりぎりに、無限の深淵が口を開けている。

別解

「自分自身」を使って、方程式を立てる。

公式を忘れても、この手が使える — 級数の"自己相似性"を突く別解である。

和を とおく。

ここで、右辺の 項目以降をよく見る。

全体を でくくると

カッコの中は、 そのものだ!

無限に続く級数だからこそ、 項ずらしても同じ形が現れる。 これを自己相似という。

だから、こう書ける。

についての、ただの 次方程式になった。

解く。

本解と同じ答え ✓

公式 の正体が、これで分かる。

一般に とおけば

公式は、この 次方程式を解いた結果にすぎなかった。

ただし — 大事な注意がある。

この計算は、「 が有限の値として存在する」ことを前提にしている。

存在しない場合に使うと、嘘の答えが出る。

やってみよう。 (公比 )で、同じ操作をする。

正の数を無限に足したのに、答えが ?

もちろん、間違いだ。 この級数は に発散し、 という有限の値は存在しない。存在しないものを とおいて計算したから、無意味な答えが出た。

「収束を確かめてから、計算する」 — この順序を逆にすると、数学は簡単に嘘をつく。

便利な技法ほど、使ってよい条件を確認する習慣が要る。

ポイント

  • 無限等比級数の和 ()。
  • なら和は存在しない(発散)。

よくある間違い

  • 公式の分母を としてしまう。 で、公比は引く
  • 初項を (第 項)と取り違える。この級数の初項は
  • の確認をせずに公式を使う。公比が 以上なら和は発散し、公式は成り立たない