数学III / 関数と極限
無限等比数列の極限
問題
極限 を求めよ。
ヒントを見る
公比の絶対値と の大小関係で、 の行き先は パターンに分かれる。この公比はどのパターンか。
解答・解説
方針
無限等比数列 は、公比 の大きさで運命が決まる。 なら に収束する。 は 。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を、実際に書き出してみよう。
毎回、半分になる。 どんどん小さくなり、 に近づいていく。
の運命は、公比 の大きさだけで決まる。
- (小数を掛け続ける)→ に収束
- (大きくなる数を掛ける)→ 発散
- → ずっと
「 を見たら、まず と の大小を比べる。」
今回は で、。 だから に収束する。
ただし、 になるのではない。 も、極めて小さいが、確かに正の数だ。 に「近づく」だけである。
は を満たす。かけるほど小さくなるので に近づく。
まとめ: は「 より小さい数を何回もかけると 」というイメージ。 は とどんどん小さくなる。 が収束の条件だ。
発展 — 一歩先へ。 公比 の値によって、 の運命は 通りに分かれる。境界がどこにあるかを、正確に押さえよう。
注意すべきは、 の場合だ。
と を、永遠に行き来する。 大きくもならず、 つの値にも落ち着かない。
これを「振動」といい、極限は存在しない。 発散の一種として扱われる。
という境界線上で、(収束)と (振動)が分かれる。 ぎりぎりの差が、運命を分ける。
さて、この という条件が、思わぬところで顔を出す。
カオスの入り口である。
漸化式 を思い出そう。 これは 、まさに等比数列だ。
- → に収束(安定)
- → 発散(不安定)
もっと一般に、 という漸化式で、 の不動点 の近くでは
ズレが、 倍ずつ変化する。 これは等比数列だ。
「 より小さいか、大きいか」 — この 本の境界線が、安定と不安定を分ける。
天気予報が長期的に当たらないのも、この を超えているからだ。 大気の運動では、わずかな初期のズレが で拡大し続ける。 週間先には、初期の 度の誤差が、天気を変えてしまう。
「バタフライ効果」の数学的な正体は、 の等比数列である。
という素朴な事実の裏側に、「予測できる世界」と「できない世界」の境界線が引かれている。
別解
「 に近づく」を、はさみうちできっちり示す。
公式を使わずに、 に収束する理由を証明する別解である。
まず、 と を比べよう。
いつでも である。
なぜか。 は が 増えるたびに 倍になるが、 は 増えるだけ。倍々で増えるほうが、必ず勝つ。
この不等式を、逆数にする。
( つとも正の数なので、逆数をとると不等号が反転する。)
そして、 は必ず正である。
この つを合わせると、はさみうちの形になる。
両端の極限を見る。
左も右も に行く。 間に挟まれたものは、 に行くしかない。
はさみうちの原理で、証明できた ✓
この原理の使いどころ。
「直接は計算できないが、上と下から評価できる」 ときに強い。
例。 を求めよ、と言われたら。
は とともに振動して、極限をもたない。 直接は手が出ない。
だが、 は必ず成り立つ。
両端は に行く。
振動する部分を、絶対値の上限で押さえ込んだ。
「値そのものは追えなくても、大きさなら押さえられる」 — はさみうちは、そういう場面で効く。
もう つ、対数を使う見方もある。
指数が に飛ぶ → 値は へ。
「掛け算の世界(等比)を、足し算の世界(等差)に翻訳する」 — 対数の得意技である。
ポイント
- → 。
- → 、 や → 発散。
よくある間違い
- 「 に収束する」を「どこかで になる」と考える。 はどんな でも正で、 にはならない
- 公比が負のとき( など)、負だから発散すると早合点する。判定に使うのは で、 なら収束する
- を「 だから収束」としてしまう。 は と振動し、収束しない