数学III / 関数と極限

無限等比数列の極限

★ 基礎無限等比数列

問題

極限 を求めよ。

ヒントを見る

公比の絶対値と の大小関係で、 の行き先は パターンに分かれる。この公比はどのパターンか。

解答・解説

方針

無限等比数列 は、公比 の大きさで運命が決まる。 なら に収束する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を、実際に書き出してみよう。

毎回、半分になる。 どんどん小さくなり、 に近づいていく。

の運命は、公比 の大きさだけで決まる。

  • (小数を掛け続ける)→ に収束
  • (大きくなる数を掛ける)→ 発散
  • ずっと

を見たら、まず の大小を比べる。」

今回は で、 だから に収束する。

ただし、 になるのではない。 も、極めて小さいが、確かに正の数だ。 に「近づく」だけである。

公式無限等比数列 : なら に収束、 なら 、それ以外は発散

を満たす。かけるほど小さくなるので に近づく。

1/21/41/81/160
(1/2)^n の値 1/2, 1/4, 1/8, … は 0 に近づく

まとめ: は「 より小さい数を何回もかけると 」というイメージ。 とどんどん小さくなる。 が収束の条件だ。

発展 — 一歩先へ。 公比 の値によって、 の運命は 通りに分かれる。境界がどこにあるかを、正確に押さえよう。

注意すべきは、 の場合だ。

を、永遠に行き来する。 大きくもならず、 つの値にも落ち着かない。

これを「振動」といい、極限は存在しない。 発散の一種として扱われる。

という境界線上で、(収束)と (振動)が分かれる。 ぎりぎりの差が、運命を分ける。

さて、この という条件が、思わぬところで顔を出す。

カオスの入り口である。

漸化式 を思い出そう。 これは 、まさに等比数列だ。

  • に収束(安定)
  • 発散(不安定)

もっと一般に、 という漸化式で、 の不動点 の近くでは

ズレが、 倍ずつ変化する。 これは等比数列だ。

より小さいか、大きいか」 — この 本の境界線が、安定と不安定を分ける。

天気予報が長期的に当たらないのも、この を超えているからだ。 大気の運動では、わずかな初期のズレが で拡大し続ける。 週間先には、初期の 度の誤差が、天気を変えてしまう。

「バタフライ効果」の数学的な正体は、 の等比数列である。

という素朴な事実の裏側に、「予測できる世界」と「できない世界」の境界線が引かれている。

別解

に近づく」を、はさみうちできっちり示す。

公式を使わずに、 に収束する理由を証明する別解である。

まず、 を比べよう。

いつでも である。

なぜか。 増えるたびに になるが、 増えるだけ。倍々で増えるほうが、必ず勝つ。

この不等式を、逆数にする。

( つとも正の数なので、逆数をとると不等号が反転する。)

そして、 は必ず正である。

この つを合わせると、はさみうちの形になる。

両端の極限を見る。

左も右も に行く。 間に挟まれたものは、 に行くしかない。

はさみうちの原理で、証明できた ✓

この原理の使いどころ。

「直接は計算できないが、上と下から評価できる」 ときに強い。

例。 を求めよ、と言われたら。

とともに振動して、極限をもたない。 直接は手が出ない。

だが、 は必ず成り立つ。

両端は に行く。

振動する部分を、絶対値の上限で押さえ込んだ。

「値そのものは追えなくても、大きさなら押さえられる」 — はさみうちは、そういう場面で効く。

もう つ、対数を使う見方もある。

指数が に飛ぶ → 値は へ。

「掛け算の世界(等比)を、足し算の世界(等差)に翻訳する」 — 対数の得意技である。

ポイント

  • → 発散。

よくある間違い

  • に収束する」を「どこかで になる」と考える。 はどんな でも正で、 にはならない
  • 公比が負のとき( など)、負だから発散すると早合点する。判定に使うのは で、 なら収束する
  • を「 だから収束」としてしまう。 と振動し、収束しない