数学III / 関数と極限
数列の極限(2次)
問題
極限 を求めよ。
ヒントを見る
今度は 次。分子・分母を最高次の項で割るのが鉄則。割ったあと、 に向かう項を見きわめよう。
解答・解説
方針
の形。分母の最高次 で分子・分母を割る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 また だ。手順は前と同じ。分母の最高次で割る。
今度の最高次は である。
次数が上がっても、やることは変わらない。
割ったあとは、 と で、余計な項がすべて消える。
残るのは、最高次の係数どうしの比だけ。
そう、答えは最初から見えている。 がとてつもなく大きいとき、 や は に比べて無視できるほど小さい。
「 の勝負は、最高次の項だけで決まる」 — 割り算は、その事実をきちんと示すための手続きなのだ。
分子・分母を で割る。
で 、 なので
まとめ:分母の最高次で割るのは 次でも同じ。 や はすべて に。最高次の係数の比 が答えだ。
発展 — 一歩先へ。 「最高次だけが効く」という考え方は、数学を超えて広く使われている。
その名を、オーダー(次数)という。
コンピュータの世界では、こう書く。
「 が大きいとき、本質的に のスケールで増える」という意味だ。 係数の も、定数の も、まとめて無視する。
なぜ無視してよいのか。
が 倍になったとき、何倍になるかを見よう。
係数 は約分で消える。 どんな係数でも、「 が 倍で、時間は 倍」という性質は変わらない。
これがオーダーの考え方だ。細かい係数より、「どのスケールで増えるか」を見る。
実際の例で、その威力を確かめよう。
アルゴリズム : 回の計算() アルゴリズム : 回の計算()
なら は 回、 は 回。 のほうが 倍速い。
だが なら は 万回、 は 万回。 が 倍速い。
万なら は 億回、 は 兆回。 が 万倍速い。
係数 という巨大なハンデがあっても、 が大きくなれば、次数の低いほうが必ず勝つ。
「大きな では、次数がすべてを決める。」
この原理があるから、ソートのアルゴリズムは から への改良に、あれほど価値がある。
万件のデータで
万倍の差。 日かかる処理が、 秒で終わる。
極限の考え方 — 「 を大きくしたとき、何が支配的か」— は、こうして現代の技術を支えている。
細部を捨て、本質だけを見る。 それが極限の眼差しである。
別解
手を動かして、実際に数を入れてみる。
極限が"信じられない"ときは、数値実験がいちばんの薬だ。
を大きくしながら、値を計算する。
に向かって、じりじりと近づいている。
しかも、常に より小さい。 下から に迫っている。
「本当に に近づくんだな」と、目で納得できる。
では、なぜ なのか。数の大きさを比べてみよう。
のとき、それぞれの項の大きさは
分子では、 が 万に対し、 はたった 。 ほとんど何もしていない。
分母でも、 が 万に対し、 は — の影響しかない。
を大きくすればするほど、この差は開いていく。
だから、実質的にはこうだ。
「最高次の係数の比」が答えになる理由が、これで見える。
この直感を、一般化しておこう。
分子と分母の次数が同じなら、極限は最高次の係数の比。
さらに、次数が違う場合は?
- 分子の次数 分母の次数 → (分母が圧勝)
- 分子の次数 分母の次数 → (分子が圧勝)
- 同じ次数 → 係数の比
この パターンを頭に入れておけば、 の分数式は、一瞬で答えが分かる。
ただし、答えを"当てる"のと、"示す"のは別だ。 記述では、必ず最高次で割る計算を書く。直感は方向を示し、計算がそれを証明する。
ポイント
- 分母の最高次 で割る。
- 極限は最高次の係数比 。
よくある間違い
- 分母の最高次でなく、分子の最高次で割ろうとして混乱する。基準は分母の最高次
- で割るとき、 を のままにしてしまう。各項をていねいに割る
- 答えを と当てたところで満足し、割る計算を書かずに済ませる。当てるのと示すのは別で、記述では最高次で割る過程が要る