数学III / 関数と極限
無理関数のグラフ
問題
無理関数 の定義域と値域を求めよ。
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根号の中身が満たすべき条件が定義域を決める。値域は、 の値がどんな範囲に限られるかを考えれば分かる。
解答・解説
方針
根号の中は 以上でなければならない()。これが定義域。 の値は 以上なので、値域は 。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 関数を見たら、まず「入れられない 」がないかを確認する。
危険なのは か所だけだ。
- 分母 — にしてはいけない
- 根号の中 — 負にしてはいけない
この関数は根号があるから、中身に条件がつく。
これが定義域を決める。
値域は、 の性質から出る。
根号は、負の値を返さない。 が最小で、あとは上へ伸びていくだけだ。
「入れられる範囲(定義域)」と「出てくる範囲(値域)」を分けて考える。 この つの区別が、関数を扱う出発点である。
① 定義域を求める。 根号の中は 以上。
② 値域を求める。 はつねに 以上。
まとめ:無理関数は「根号の中 」が定義域の絶対条件。グラフは から始まって右上へ伸びる曲線(放物線を横に寝かせた半分)。値は から増える。
発展 — 一歩先へ。 「定義域」という概念は、地味に見えて、数学の落とし穴のほとんどをカバーしている。
有名な" の証明"を見てみよう。
どこがおかしいか。
なのだから、。 で割ったのが誤りだ。
「 では割れない」という定義域の制約を破った瞬間、数学は崩壊する。
同じ罠が、根号にもある。
を入れてみよう。
正しくは
根号は「正のほうを返す」約束だったから、絶対値がつく。
乗と根号は、互いに逆の操作に見えて、完全な逆ではない。
符号の情報が、 乗の時点で失われている。 も も、 乗すれば同じ になる。失われた情報は、根号では取り戻せない。
この非対称性が、方程式で「 乗したら必ず検算」というルールを生む。
両辺を 乗すると 、つまり 、。
を代入すると 左辺 、右辺 — 成り立たない。
乗したときに、「右辺が負」という不可能な解まで混ざり込んだ。 偽の解、と呼ばれる。
定義域を意識しない計算は、しばしば嘘の答えを生む。
「その式は、どこで意味をもつのか」 — この問いを忘れないことが、正しい数学の第一歩である。
定義域 、値域
別解
逆関数を作ると、定義域と値域が"見える"。
を、 について解いてみよう。
両辺を 乗する。
が の 次式で書けた。
ここで大事な但し書きがある。 もとの式で だから
この式は、何のグラフか。
と の役割を入れかえて読むと、 という放物線である。頂点は に相当する。
つまり、もとの無理関数のグラフは、放物線を横倒しにしたものの"上半分"だ。
横倒しの放物線 の頂点は 。そこから右へ、上下に開いていく。
その上半分()だけを切り取ったものが、 のグラフである。
この見方で、定義域と値域が一目で分かる。
- の動く範囲: 頂点 から右へ、いくらでも → ✓
- の動く範囲: 上半分だから から上へ → ✓
なぜ「上半分だけ」なのか。
であって、 ではない。 根号は「 乗して になる数」のうち、正のほうだけを返す約束になっている。
もし下半分も含めたら、 つの に つの が対応してしまい、関数でなくなる。
逆関数の視点が教えてくれること。
もとの関数の「定義域」は、逆関数の「値域」。 もとの関数の「値域」は、逆関数の「定義域」。
つが、きれいに入れかわる。
根号を見て「定義域は?」と身構えるより、 乗して放物線に直すほうが、絵として理解しやすい。 乗するのは、根号を外すいちばん素直な方法でもある。
ポイント
- 定義域は根号の中 。
- 値域は ( は非負)。
よくある間違い
- 根号の中の条件を としてしまう。中身は なので、 から
- 値域に負の値を含めてしまう。 は必ず 以上を返すので、 が負になることはない
- 乗して と直したとき、 の条件を落とす。 乗すると下半分(捨てたはずの枝)まで復活してしまう