数学III / 関数と極限

無理関数のグラフ

★ 基礎無理関数

問題

無理関数 の定義域と値域を求めよ。

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根号の中身が満たすべき条件が定義域を決める。値域は、 の値がどんな範囲に限られるかを考えれば分かる。

解答・解説

方針

根号の中は 以上でなければならない()。これが定義域。 の値は 以上なので、値域は

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 関数を見たら、まず「入れられない 」がないかを確認する。

危険なのは か所だけだ。

  • 分母 にしてはいけない
  • 根号の中 — 負にしてはいけない

この関数は根号があるから、中身に条件がつく。

これが定義域を決める。

値域は、 の性質から出る。

根号は、負の値を返さない。 が最小で、あとは上へ伸びていくだけだ。

「入れられる範囲(定義域)」と「出てくる範囲(値域)」を分けて考える。 この つの区別が、関数を扱う出発点である。

重要無理関数 は、根号の中 が定義域。値は 以上

① 定義域を求める。 根号の中は 以上。

② 値域を求める。 はつねに 以上。

xyO(-1,0)
y=√(x+1)。定義域 x≧-1、値域 y≧0、点(-1,0)から始まる

まとめ:無理関数は「根号の中 」が定義域の絶対条件。グラフは から始まって右上へ伸びる曲線(放物線を横に寝かせた半分)。値は から増える。

発展 — 一歩先へ。 「定義域」という概念は、地味に見えて、数学の落とし穴のほとんどをカバーしている。

有名な" の証明"を見てみよう。

どこがおかしいか。

なのだから、 で割ったのが誤りだ。

では割れない」という定義域の制約を破った瞬間、数学は崩壊する。

同じ罠が、根号にもある。

を入れてみよう。

正しくは

根号は「正のほうを返す」約束だったから、絶対値がつく。

乗と根号は、互いに逆の操作に見えて、完全な逆ではない。

符号の情報が、 乗の時点で失われている。 も、 乗すれば同じ になる。失われた情報は、根号では取り戻せない。

この非対称性が、方程式で「 乗したら必ず検算」というルールを生む。

両辺を 乗すると 、つまり

を代入すると 左辺 、右辺 成り立たない。

乗したときに、「右辺が負」という不可能な解まで混ざり込んだ。 偽の解、と呼ばれる。

定義域を意識しない計算は、しばしば嘘の答えを生む。

「その式は、どこで意味をもつのか」 — この問いを忘れないことが、正しい数学の第一歩である。

定義域 、値域

別解

逆関数を作ると、定義域と値域が"見える"。

を、 について解いてみよう。

両辺を 乗する。

次式で書けた。

ここで大事な但し書きがある。 もとの式で だから

この式は、何のグラフか。

の役割を入れかえて読むと、 という放物線である。頂点は に相当する。

つまり、もとの無理関数のグラフは、放物線を横倒しにしたものの"上半分"だ。

横倒しの放物線 の頂点は 。そこから右へ、上下に開いていく。

その上半分()だけを切り取ったものが、 のグラフである。

この見方で、定義域と値域が一目で分かる。

  • の動く範囲: 頂点 から右へ、いくらでも →
  • の動く範囲: 上半分だから から上へ →

なぜ「上半分だけ」なのか。

であって、 ではない。 根号は「 乗して になる数」のうち、正のほうだけを返す約束になっている。

もし下半分も含めたら、 つの つの が対応してしまい、関数でなくなる。

逆関数の視点が教えてくれること。

もとの関数の「定義域」は、逆関数の「値域」。 もとの関数の「値域」は、逆関数の「定義域」。

つが、きれいに入れかわる。

根号を見て「定義域は?」と身構えるより、 乗して放物線に直すほうが、絵として理解しやすい。 乗するのは、根号を外すいちばん素直な方法でもある。

ポイント

  • 定義域は根号の中
  • 値域は ( は非負)。

よくある間違い

  • 根号の中の条件を としてしまう。中身は なので、 から
  • 値域に負の値を含めてしまう。 は必ず 以上を返すので、 が負になることはない
  • 乗して と直したとき、 の条件を落とす。 乗すると下半分(捨てたはずの枝)まで復活してしまう