数学III / 微分法の応用
sinx/x の単調性とジョルダンの不等式
問題
(1) のとき、関数 は減少することを示せ。
(2) のとき、不等式 が成り立つことを示せ。
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商の微分の符号は分子で決まる — その分子の符号がまた読めないときはどうするか。(2)は新しい計算を始めるのではなく、(1)の「減少」をそのまま最小値の言葉に言い換えるだけで届く。
解答・解説
方針
(1)は商の微分の分子 g(x)=x cosx−sinx の符号が全て — g(0)=0 と g'=−x sinx<0 の「端が0でそこから減る」2段の微分で g<0 を出す。(2)は(1)の系: 減少関数 sinx/x の [0,π/2] での最小は右端の値 2/π。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 。符号は分子 が握る。だが の符号も一目では読めない。
そこでもう一段微分する。 かつ なら、 は0から出発して減る一方、つまり負だ。「端の値が0+導関数の符号」で、1つ下の階から符号を持ち上げる型になる。
(2)は(1)ができれば一瞬。減少関数の最小は右端だから 。
① 分子の符号((1))。 とおくと 、
よって は減少し、。したがって
で は で減少する。
② 右端の値で押さえる((2))。 では、(1)より
では両辺とも0で等号。よって 全体で成り立つ(等号は )。
まとめ: 「分子を切り出す → 端が0+もう一段の微分で符号を決める」が(1)、「単調性を最小値の言葉に翻訳する」が(2)。正弦の弧が弦 の上に乗る、という図の事実の解析的な証明で、積分の評価などあちこちで部品として使われる不等式だ。
発展 — 一歩先へ。 この不等式()はジョルダンの不等式と呼ばれ、のちに積分の評価で主役になる。たとえば — 「 を弦で置き換えると指数の積分が計算できる形になる」という使い方だ。弧と弦の隙間を評価に変える、幾何発の解析の道具である。
(1) 分子 が で負(証明) (2) 減少関数の最小は右端:
別解
「弦の傾き」と読む(凸性の幾何で全部見える)。 は、原点と点 を結ぶ弦の傾きにほかならない。
は で上に凸()。上に凸な曲線では、原点から曲線上の点へ引いた弦は、点が右へ進むほど寝ていく(傾きが減る)— これが(1)の「減少」の図形的な正体だ。
(2)も同じ絵で読める。上に凸な弧は、両端を結ぶ弦の上側にある。 と を結ぶ弦が だから、 で
等号は両端のみ。
答案では凸性の根拠()と「凸なら弦の上」の言い換えを添える必要があるが、2階微分1回で(1)(2)が同時に見えるのがこの視点の強みだ。本解の「2段の微分」が代数の道、凸性が幾何の道 — 同じ山の2つの登山口になっている。
ポイント
- : 、 → 。
- は で減少。
- 右端の値 で押さえて 。
よくある間違い
- (1)で商の微分の分子 の符号を「明らかに負」で済ませる(もう一段の微分 が要る)。
- (2)を独立に微分し始める((1)の減少を「最小は右端」と言い換えるだけで届く)。
- の扱いを放置する( は で未定義。(2)は で両辺0の等号として別に確認)。