数学III / 微分法の応用
対数平均と幾何平均の比較
問題
のとき、次の不等式を示せ。
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と の2文字が邪魔 — 両辺を何かで割って「比だけの式」にできないか。うまく置き換えると、根号も分数も消えた1変数の不等式が現れる。差の微分がきれいな平方になることも見どころ。
解答・解説
方針
2変数のままでは微分できない。両辺とも a, b を同じ倍率で拡大すると同じ倍率で変わる(同次)ことに注目し、比 t=√(b/a) だけの不等式 log t < (t−1/t)/2 に1変数化する。あとは差を微分して t=1 からの立ち上がりを見る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 右辺(対数平均)と左辺(幾何平均)は、どちらも を 倍すると 倍になる同次式だ。つまり本質は比 だけで決まる。
そこで とおいて1変数化するのが急所。整理すると、示すべきは
という素朴な形になる。差を微分すればぴったり平方 が現れて単調増加。 の等号から立ち上がる。
① 1変数化する。 とおくと で
だから、示すべき不等式は
(途中、 と で割った。)
② 差を微分する。 とおくと で
③ 結論。 は で増加し だから、 で — すなわち①の不等式が成り立ち、もとの不等式が示された。
まとめ: 「同次式は比に落とす」で2変数の壁が消え、「差の微分が完全平方」で単調性が一撃で出る。この右辺の量(対数平均)は と のあいだに挟まることが知られていて、もう半分()も同じ骨格で示せる — 良い練習になる。
発展 — 一歩先へ。 対数平均 は と、幾何平均と相加平均のあいだに挟まる(上側も同じ骨格: 帰着先は 型)。この量は「温度差の平均」として熱交換器の設計(対数平均温度差)に現れる実務の主役でもある。
証明( とおいて に帰着)
別解
対称に置いて双曲線関数の芽を見る(種明かしの置換)。 とおくと、 は と幾何平均を中心に対称に書ける。すると
だから、示すべき不等式は
という、原点対称のきれいな形に化ける。差 は で
(相加相乗!)等号は のみだから は増加し、 で 。
本解の と同じ1変数化だが、指数で書くと「差の微分が相加相乗で片づく」美しさが加わる。 と の組は数IIIの終盤で双曲線関数として再会する部品だ。
ポイント
- で1変数化(同次性)。
- 帰着先 。
- 、 から立ち上げる。
よくある間違い
- 2変数のまま偏微分的な操作を始めて迷子になる(同次性→比で1変数化、が入り口)。
- への変形で、()を確認せずに割る。
- の通分を誤り、完全平方 に気づかず符号判定で立ち往生する。