数学III / 微分法の計算
累乗の微分(分数・根号)
問題
関数 を微分せよ。
ヒントを見る
根号を分数の指数に書き直すと、いつもの累乗の微分規則が使える。答えを根号の形に戻すところまでやろう。
解答・解説
方針
と指数に直す。( は実数でよい)を使い、最後に根号に戻す。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 根号のままでは、微分の公式が当てはまらない。
そこで、指数に直す。
これで、べきの微分公式が使える。
大事なのは、この公式が が分数でも負の数でも成り立つことだ。
を入れる。
最後に、根号の形に戻す。
「根号 → 分数指数 → 公式 → 根号に戻す」
この ステップが、根号を含む微分の定型である。 でも でも、手順は同じだ。
① 指数に直す。 。
② 公式で微分する。
③ 根号に戻す。 。
まとめ: や は、まず指数(、)に直すと が使える。この公式は が分数や負でも成り立つのが数IIIの強み。答えは根号に戻して書く。
発展 — 一歩先へ。 の微分は、電卓のない時代に平方根を計算する方法を与えた。
ニュートン法という。
を求めたいとしよう。 つまり、 の解を探す。
アイデアは単純だ。
適当な出発点 をとり、そこでの接線を引く。 接線が 軸と交わる点を、次の近似値 とする。
これを繰り返す。
接線の式は、微分から出る。
とおいて、 を求める。
、 を入れる。
この漸化式で、 が計算できる。
から始めよう。
たった 回で、小数点以下 桁が合った。
恐ろしい速さだ。 ニュートン法は、 回の反復で正しい桁数が約 倍になる( 次収束)。
- : 桁
- : 桁
- : 桁
- : 桁
- : 桁
回も回せば、小数点以下 桁を超える。
コンピュータが平方根を計算するとき、内部でやっているのがこれである。
なぜ、これほど速いのか。
接線は、その点で関数を"最もよく近似する直線"だからだ。
曲線を直線で置き換えて、答えを近似する — その近似がとてもよいので、繰り返すたびに精度が跳ね上がる。
微分が「接線の傾き」を教えてくれるからこそ、この方法が成立する。
方程式が解けなくても、微分できれば、解に近づける。
という 行が、 を 桁計算する力を秘めている。
別解
微分の定義に戻って、極限から導く。
公式を使わずに、定義だけで計算する別解である。
微分の定義。
を にすると、分子も分母も — の不定形だ。
根号の引き算は、有理化で処理する。
分子・分母に を掛ける。
分子は、和と差の積の公式で
分子が、ただの になった!
が約分で消えた。 これで が解消した。
あとは とするだけ。
公式と同じ答え ✓
この計算が示すこと。
の「」は、 が 回足されたことから来ている。
公式の が、有理化の中から自然に出てきた。
この導関数を、じっくり眺めてみよう。
が大きくなると、 は に近づく — の増え方は、どんどん緩やかになる。
が 倍になっても、 は 倍にしかならない。
逆に、 では
傾きが無限大に発散する。
グラフは原点で、垂直に立ち上がる。
この事実には、意味がある。
は で連続だが、微分できない。
「連続だが微分できない点」 — グラフが尖っていたり、垂直になっていたりする点だ。
も、 で連続だが微分できない(左からの傾き 、右からの傾き で一致しない)。
「連続 微分可能」は、成り立たない。
逆に「微分可能 連続」は、正しい。
微分可能のほうが、強い条件なのだ。
そして驚くべきことに、「すべての点で連続だが、すべての点で微分できない関数」も存在する(ワイエルシュトラス関数)。どこまで拡大しても、ギザギザが続く。 数学の世界は、直感より遥かに広い。
ポイント
- ・ は指数に直す。
- ( 実数でOK)。
よくある間違い
- の指数計算で、 を のままにしてしまう。指数は必ず 減る
- を と読み違える。負の指数は逆数()であって、符号のマイナスではない
- の微分を とし、 を落とす。係数の は、指数から降りてきたもの