数学III / 微分法の計算

三角関数の微分(tan)

★ 基礎三角関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

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の微分公式を思い出そう。うろ覚えなら、 とみて商の規則から自力で導ける — 導出も良い練習になる。

解答・解説

方針

を商の微分で計算しても導ける公式。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 の微分は、公式として与えられる。

だが、これは丸暗記する必要がない公式だ。

の定義を思い出そう。

分数の形をしている。 ならば、商の微分公式が使える。

と当てはめれば、 の微分公式が自分の手で作れる。

公式は つの顔をもつ。

どれも同じもの。 場面によって使いやすい形が違う。

まずは公式を使い、そのうえで導出を追ってみよう。 由来を知ると、忘れない。

公式

(確認: を商の微分すると 。)

まとめ: の微分は を使うと、 の商の微分からきれいに出る。 でもある。

発展 — 一歩先へ。 の微分から、(逆正接)の微分が出る。そして、そこから が出てくる。

逆関数の微分を使おう。

で微分すると

逆数をとって

驚くほどきれいな式だ。 三角関数の逆関数を微分したら、 もない、ただの有理式になった。

この式を、逆から読む。

そして、 から まで積分すると

が現れた!

なぜこれが重要か。

左辺は、代数的な関数( しかない)の積分だ。 そこに が出てくる。

この式が、 を計算する道を開く。

を、等比級数として展開してみよう()。

( 項ずつ確かめると、公比 の無限等比級数だ。)

両辺を から まで積分する。

ライプニッツの公式。

奇数の逆数を、符号を交互に変えて足すと、 になる。

円周率が、奇数の足し算から出てくる。

円とも三角形とも無関係な式から、 が生まれる。

この式は 年にライプニッツが発見し、当時のヨーロッパを驚かせた。(実はインドのマーダヴァが 年前に発見していた。)

ただし、収束はとてつもなく遅い。 を小数点以下 桁求めるだけで、数百項が要る。実用にはならない。

それでも、この式の価値は計算にはない。

「代数と幾何が、微積分を通してつながっている」 — その事実を、これ以上なく鮮やかに示しているからだ。

の微分という、教科書の 行から、 の無限級数まで、道は 本につながっている。

別解

商の微分公式で、 の微分公式を自分で作る。

に、商の微分を当てはめる。

公式に入れる。

分子を整理する。 マイナス マイナスで、プラスになる。

ここで、三角関数の最重要公式が使える。

公式が導けた ✓

分子が になる瞬間が、この導出のクライマックスだ。

さて、分子を別の形で整理してみよう。

分子・分母を で割る。

つの表現が手に入った。

どちらを使うか。

の形が便利なのは、「 の値だけで導関数が書ける」ときだ。

たとえば、 となる点での傾きは?

の値を知らなくても、 と即答できる。

この形は、微分方程式でも活躍する。

「変化率が、 に自分の 乗を足したもの」という方程式。 解は である。

もう つ、大事な観察。

導関数は、常に正( だから)。

だから は、定義されているどの区間でも、必ず増加している。

グラフを思い出そう。 から まで、 から へ一直線に駆け上がる。下がる場面が 度もない。

「導関数が常に正 単調増加」 — 微分の値が、グラフの形を語っている。

この単調性のおかげで、 には逆関数()が存在する。 だからだ。

ポイント

  • 商の微分 + から導ける。

よくある間違い

  • と、分母を にしてしまう。分母は
  • 商の微分で導くとき、分子の の符号処理を誤り、 としてしまう。マイナス マイナスはプラス
  • の定義域を忘れる。( など)では 自体が定義されない