数学III / 微分法の計算

対数関数の微分

★ 基礎対数関数の微分

問題

関数 を微分せよ。( は自然対数)

ヒントを見る

自然対数の微分の基本公式そのもの。即答できるようにしたい 問。

解答・解説

方針

自然対数の微分は 。これは基本公式として覚える。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (自然対数)の微分は、覚えるべき基本公式だ。

この式の"意外さ"を、味わっておこう。

対数という、いかにも複雑な関数を微分したら、 という素朴な分数が出てきた。

まったく別世界の関数が、微分でつながっている。

グラフでも確かめられる。

  • のとき、傾きは の傾き
  • が大きくなると、傾きは に近づく の増え方はどんどん緩やかに
  • に近づくと、傾きは無限大 軸に沿って急降下

「対数はゆっくり増える」という感覚が、 という導関数にそのまま表れている。

まずは公式として使い、そのうえで「なぜ なのか」を考えてみよう。

公式(自然対数の微分)

まとめ:自然対数 (底 )の微分は 。とてもシンプルな結果。 の積分が になる(逆の関係)ことにもつながる、重要な公式だ。

発展 — 一歩先へ。 という式には、深い意味が隠れている。

逆から読んでみよう。

の原始関数は

この事実が、なぜ重要か。

べきの積分公式を思い出そう。

この公式は、 のときだけ使えない。 分母が になってしまう。

という、たった つの例外。

この穴を埋めるために、対数が要る。

の積分は、いつも の累乗。ただし のときだけ、対数という異質な関数が現れる。」

この特異点が、対数という関数の存在理由なのだ。

実は、歴史的には順序が逆だった。

世紀、数学者たちは「双曲線 の下の面積」を計算しようとしていた。

この面積が、奇妙な性質をもつことに気づいた。

「掛け算が、足し算になる」

これは、まさに対数の性質だ!

つまり、この面積そのものが対数だった。

そして、この関数の逆関数として現れる数が である。

から までの双曲線の下の面積が、ちょうど

これが の、もう つの定義だ。

という値は、この面積が になる点として決まっている。

なぜ が「自然」なのか。

  • 微分の視点: 微分しても変わらない関数の底
  • 積分の視点: の面積が になる点
  • 極限の視点: の行き着く先
  • 級数の視点:

まったく違う つの道が、同じ に集まる。

そういう数だけが、「自然」と呼ばれる資格をもつ。

別解

なぜ になるのか。逆関数の関係から導く。

の微分公式を、 の微分から作り出す別解である。

出発点は、 が互いに逆関数だという事実だ。

この つは、同じ関係を、違う向きから書いたものにすぎない。

そこで、 のほうを、 で微分する。

ここで、 だった(上の関係式)。

知りたいのは である。

逆関数の微分は、逆数になる。

導けた ✓

なぜ「逆数」でよいのか。

グラフで見ると明快だ。 逆関数のグラフは、 に関して折り返した形になる。

折り返すと、傾きは逆数になる。

もとのグラフで「右に 、上に 」なら、折り返したグラフでは「右に 、上に — 傾きは から へ。

ライプニッツの記法だと、これは「分数の逆数」に見える。 記号のうまさが、ここでも効いている。

具体的な数で確かめよう。

での傾きは?

公式では

逆関数で見ると: での傾きは 。その逆数は

一致した。

この導出の教訓。

は、天下り式の公式ではない。

という つの事実から、逆関数の関係だけで自動的に出てくる。

覚える公式は つでいい。 の微分さえ知っていれば、 の微分はその"裏返し"として、いつでも復元できる。

同じ技法で、 の微分も導ける。 「逆関数の微分は逆数」— この 行が、多くの公式を生む親になっている。

ポイント

  • の積分が (逆の関係)。

よくある間違い

  • の何か、と考えて としてしまう。導関数は で、対数は消える
  • 底が でない対数( など)にも、そのまま を使う。正しくは で、底の対数で割る
  • 定義域を忘れる。 でしか定義されないので、導関数 の話