数学III / 微分法の計算
指数関数の微分
問題
関数 を微分せよ。
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の累乗の微分は形が変わらないのが持ち味。ただし中身が なので、その微分を掛ける。
解答・解説
方針
(微分しても変わらない)。 は合成なので、 に内側 の微分 をかける。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 には、他のどんな関数にもない特別な性質がある。
微分しても、自分自身。
これは驚くべきことだ。 を微分すれば になり、 は に化ける。形が変わる。
だが だけは、微分しても のまま。 姿が変わらない。
という数()は、この性質をもつように選ばれた底なのである。
さて、 は合成関数だ。
- 外側:
- 内側:
外側は変わらず、内側の微分 が前に出る。
「 は不変、合成なら中身の微分を掛ける」 — この 点で、指数の微分はすべて処理できる。
、。
まとめ: は微分しても のまま(この性質が指数関数の特別なところ)。中身が なら連鎖律で 。 はそのまま残り、中身の微分が前に出る。
発展 — 一歩先へ。 「微分しても変わらない関数」は、 のほかにあるだろうか。
方程式で書くと、こうだ。
「変化率が、自分自身に等しい」
この方程式を満たす関数を、すべて求めてみよう。
左辺は だ。 両辺を積分すると
答えは — の定数倍だけ。
を満たす関数は、本質的に しかない。
そして、この方程式は自然界のいたるところに現れる。
の意味は「増える速さが、今の量に比例する」。
- 細菌の増殖: 菌が多いほど、分裂して増える数も多い
- 複利: 元本が多いほど、利息も多い
- 放射性崩壊: 原子が多いほど、崩壊する数も多い(こちらは で減少)
- ムーアの法則: 技術が進むほど、次の進歩も速い
すべて の形で、解は 。
「指数関数的」という言葉が、これほど使われる理由がここにある。
「自分自身に比例して変化する」システムは、必ず指数関数になる。
そして、 の符号で運命が分かれる。
- → 爆発(細菌・複利・パンデミック)
- → 消滅(放射性崩壊・薬の代謝・冷却)
という数は、この方程式のために存在する。
もし底が なら
余計な係数 がつく。
底が なら が。
底が のときだけ、係数が になる。
は「微分の係数が になる、ただ つの底」なのだ。
この つの性質のために、微積分の世界では が王座に座っている。 自然対数の「自然」とは、この意味である。
別解
を「 の 乗」と見て、積の微分で解く。
指数法則を思い出そう。
合成関数ではなく、 つの の積だと見るのだ。
積の微分公式を使う。 とする。
本解と同じ答え ✓
連鎖律を使わずに、積の微分だけで解けた。
この計算が示すこと。
の は、「 が 個ある」ことから来ている。
片方を微分するときに、もう片方はそのまま残る。 通りの微分の仕方があるから、 倍になる。
この見方を、 に広げてみよう。
つの積の微分は
すべて だから、 項とも になる。
連鎖律の答えと一致する ✓
「 個の積だから、 通りの微分がある。だから 倍」
係数 の意味が、はっきり見えた。
もう つ、対数微分法という道もある。
両辺の対数をとる。
両辺を で微分する。 左辺は合成関数( の が の関数)だから
つ目の道でも、同じ答え ✓
対数微分法の威力は、 のような"手も足も出ない"関数で発揮される。
指数の肩に がある関数は、普通の公式では微分できない。 対数をとって、掛け算を足し算に変えるのだ。
つの関数に、 つの道。 どれも同じ答えに着く。数学の一貫性を、自分の手で確かめられる。
ポイント
- (不変)。
- 。中身の微分を前に。
よくある間違い
- 内側の微分()を忘れて とする。 の微分が なのは、肩がちょうど のときだけ
- のように、内側そのもの()を掛けてしまう。掛けるのは内側の"微分"()
- を の肩を下ろして とする(べき関数と混同)。 の微分と の微分は別物