数学III / 微分法の計算

三角関数の微分(cos)

★ 基礎三角関数の微分

問題

関数 を微分せよ。また も微分せよ。

ヒントを見る

の微分は符号に注意。 のほうは、さらに中身の微分も掛かる。

解答・解説

方針

(マイナスがつく)。 は合成なので、 に内側 の微分 をかける。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 の微分には、マイナスがつく。

の微分()には符号が変わらないのに、 は変わる。 ここが混乱のもとだ。

グラフで納得しておこう。

の近くで、 から下がり始める。 つまり傾きは負である。

そして が少し増えると — 確かに負だ。

は「山の頂上」から始まるので、最初は下り坂。だからマイナス。

後半の は、いつもの合成関数だ。

マイナスと、内側の微分。 つとも落とさないことである。

公式(マイナスがつく)。合成なら

の微分。

の微分。

まとめ: の微分は (マイナスが出る)。 の微分()との符号のちがいを押さえる。中身が なら連鎖律で

発展 — 一歩先へ。 が、微分で 周期の循環をなすこと。この構造は、意外な場所で再会する。

虚数単位 の累乗を見てほしい。

回掛けると、元に戻る。

微分の循環と、まったく同じ周期だ。

「微分する」ことと「 を掛ける」ことが、同じ構造をもっている。

これは偶然ではない。

オイラーの公式が、その理由を明かす。

両辺を で微分してみよう。

左辺: (合成関数。内側 の微分が )

右辺:

右辺を、 でくくり直す。

( だから ✓)

両辺が一致した。

「微分する」ことが、そのまま「 を掛ける」ことになっている!

三角関数の微分の循環は、複素数平面での 回転だったのだ。

を掛けることは、複素数平面で 回転させること( の回転)。

微分すると位相が 進む — この つは、同じことを言っている。

オイラーの公式に を代入すると

世界でもっとも美しいとされる式。 — 数学の つの基本定数が、 行に収まっている。

その根っこには、「 を微分すると 」という、この問題の 行がある。

符号のマイナス つが、 の回転を、そして数学最高の等式を支えているのだ。

別解

に翻訳して、公式を つに減らす。

三角関数には、こんな関係がある。

確かめよう。 なら、左辺 、右辺

なら、左辺 、右辺

この式を使えば、 の微分公式を覚えなくても済む。

の微分公式と、連鎖律だけで計算する。

外側: の微分は

内側: の微分は

ここで、 を使う。

本解と同じ ✓

マイナスの正体が分かった。

内側 の微分が だったのだ。

のマイナスは、「 の中で が逆向きに動いている」ことの現れだった。

このアイデアは、もっと広く使える。

は、 ずらしただけの、同じ波である。

この式でも、微分してみよう。

( だから。)

同じ答え。

そして、この見方は美しい法則を教えてくれる。

「微分すると、位相が 進む」

回微分すると、元に戻る。

波を微分するとは、波を だけずらすこと。 回ずらせば で、 周して元に戻る。

の微分はマイナス 」を丸暗記する代わりに、この円環を思い浮かべればいい。

符号を間違えたら、 つの循環を書いて確かめる。 暗記より、構造で覚えるほうが強い。

ポイント

  • (マイナス)。
  • 。符号に注意。

よくある間違い

  • と、マイナスを落とす。 の微分には必ず負号がつく
  • で、マイナスは書けても内側の微分 を掛け忘れる。符号と係数の両方が要る
  • と、 のほうにマイナスをつけてしまう。負号がつくのは の微分だけ