入試過去問 / 東京大学 2026年度 数学(理科)
第4問 3次関数の3本の接線がどれも同じ角で交わる条件
出典東京大学 令和8年度 第2次学力試験 前期日程 数学(理科) 第4問
問題文は東京大学が公表した試験問題からの引用です。解答・解説はtelvia演習ラボが作成したもので、東京大学が公表したものではありません。
問題
を実数とし,座標平面上の曲線 を で定める。 上の 点 に対する以下の条件 を考える。
条件 原点 ,点 ,点 は相異なり, の における接線のうち,どの 本も交わり,そのなす角はすべて となる。
ただし, 直線のなす角は 以上 以下の範囲で考えるものとする。
(1) 条件 を満たす が存在するような の範囲を求めよ。
(2) が (1) で定まる範囲にあるとする。 が条件 を満たすように動くとき, の における接線によって囲まれる三角形の面積 の最大値を ,最小値を とおく。ただし, 本の接線が 点で交わるときは とする。 となる の値を求めよ。
ヒントを見る
どの2本も同じ角で交わる3本の直線は、向きがどう並んでいるか。 での接線の傾きと での接線の傾きは、どちらが大きいか。3本で囲まれる三角形はどんな形か。
解答・解説
方針
での接線の傾きの角を とすると、残り2本の向きは 。その傾きが より大きいことから (1) を求める。(2) は囲まれる三角形が正三角形なので、 での接線の上の1辺の長さで面積を表し、 の 座標の符号の選び方で最大と最小を比べる。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 3本の直線がどの2本も で交わるなら、直線の向きは ずつ回った3方向になる。 での接線の傾き を決めれば、残り2本の傾きは加法定理で決まる。
一方、 での接線の傾きは の形で、 での傾き より大きい。この大小の条件が (1) の答えを決める。(2) は、3本の直線がどれも で交わるので、囲まれる三角形は正三角形になる。面積は1辺の長さだけで決まる。
① 接線の式。 なので、 での接線は
での接線は で、傾きは 。 の 座標を とすると、 が相異なるので である。
② 3本の傾きの関係。 での接線が 軸の正の向きとなす角を (、)とする。ほかの2本はどちらも での接線と で交わるので、向きは か のどちらかだ。2本が同じ向きだと平行になって交わらないので、1本ずつになる。このとき2本の向きの差は で、直線どうしのなす角は になり、条件に合う。
を代入すると、2本の傾きは
分母が になるときは直線が 軸に平行になり、接線にはならない。
③ (1) 傾きが より大きい条件。 での傾きは で、 も同じだ。逆に、2つの傾き がどちらも より大きければ、、 を満たす でない がとれる。 なので となり、 も成り立つ。
そこで2つの傾きに を足すと
どちらも正になるのは かつ のとき、すなわち
これが (1) の答えである。
④ (2) 三角形は正三角形。 三角形の各内角はそこで交わる2本の直線のなす角 か、その補角 のどちらかだ。内角の和が になるのは、3つとも のときだけなので、正三角形である。
1辺を での接線の上にとる。 での接線と の交点は、 より 。したがって での接線と での接線の交点は
で、そのあいだの長さ(1辺の長さ)は 。面積は
なので で、3本が1点で交わることはない。
⑤ の動き方。 傾きが決まっているので は決まり、選べるのは符号だけだ。③ より は か なので
とおくと、 は の一方ずつで、 である。 は、 が同じ符号なら 、異なる符号なら になる。よって
⑥ となる 。 より 、つまり なので
これは を満たす。
まとめ:どの2本も で交わる3本の直線は、向きが ずつ回った3方向で、囲む三角形は正三角形になる。接線の傾きが より大きいことから (1) の範囲が出て、(2) は の符号の選び方で1辺の長さが と に比例して変わることから決まる。
発展。 のとき、2つの正三角形の1辺の比は で、面積の比が になる。 を に固定して を から に移すと、 での接線の上の頂点が原点をはさんで反対側に移り、1辺が から に変わる。
(1) (2)
別解
別解:正三角形であることを使わずに、3つの頂点から面積を出す。 と での接線の交点は から ()となる。これで での接線の交点を求め、 での接線の上の辺を底辺として高さを計算すると
となる。 だと2本の傾きが等しく平行になるので、条件のもとでは である。
は決まっているので、符号の選び方で変わるのは だけだ。同じ符号なら 、異なる符号ならその逆数なので
となり、本解と同じ式が得られる。計算は長くなるが、正三角形であることに気づかなくても同じ結論にたどり着ける。
ポイント
- どの2本も で交わる3直線の向きは 。
- での傾き は での傾き より大きい。これが の範囲を決める。
- 囲む三角形は正三角形で、1辺は 。 の符号で長さが変わる。
よくある間違い
- 向き と を別の方向だと思い、4本目の候補を探して迷う。直線の向きは ずれても同じである。
- での傾きが より大きいという条件を使わず、 の範囲を広く答えてしまう。
- の符号の組合せを1通りしか考えず、面積が1つの値しかとらないと思い込む。