入試過去問 / 東京大学 2026年度 数学(理科)

第5問 3乗した複素数の軌跡が実軸と交わる条件

複素数平面偏角軌跡

出典東京大学 令和8年度 第2次学力試験 前期日程 数学(理科) 第5問

問題文は東京大学が公表した試験問題からの引用です。解答・解説はtelvia演習ラボが作成したもので、東京大学が公表したものではありません。

問題

複素数平面上の原点を中心とする半径 の円を とする。複素数 と 上の点 に対し, とおく。 が 上を動くときの点 の軌跡を とする。

(1) とし, の偏角を とおく。 が 上を動くとき, がとりうる値の範囲を求めよ。

(2) が次の条件を満たすように動く。

条件: は実軸の正の部分および負の部分の両方と共有点を持つ。

複素数平面上の点 が動きうる範囲の面積を求めよ。

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の偏角は の偏角の何倍か。 が動く円を原点から見ると、偏角はどんな範囲を動くか。(2) では、正の実軸と負の実軸に対応する の偏角がどう並ぶかを書き出せるか。

解答・解説

方針

(1) は が中心 、半径 の円を動くことから偏角の範囲を出し、 倍して の範囲を求める。(2) は の偏角の範囲に の倍数が隣り合って2つ入る条件を、円の中心 の位置で表す。対称性で 個に分けて面積を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の偏角は、 の偏角の 倍だ。そこで がどんな偏角をとるかを調べる。 は単位円上を動くので、 は中心 、半径 の円の上を動く。原点からこの円を見込む角の範囲が、偏角の範囲になる。

(2) の「 が正の実数」は の偏角が のどれかであること、「 が負の実数」は のどれかであることだ。原点から おきに出る6本の半直線を考え、円がどの半直線と交わるかを調べればよい。

① (1) の動く範囲。 なので 。 だから、点 は中心 、半径 の円の上を動く。

② 偏角の範囲。 原点からこの円に接線を引き、接線と実軸のなす角を とする。中心までの距離が 、半径が なので ()。 の偏角は 以上 以下のすべての値をとる。

xyO3β
z+3 は中心 3、半径 1 の円の上を動く。原点から引いた2本の接線にはさまれた角が偏角の範囲で、sinβ=1/3

③ の範囲と 。 は なので、 以上 以下を動く。 より なので 。この範囲で は増加するから、とりうる値は 以上 以下だ。

公式3倍角の公式

よって である。

④ (2) 条件を偏角で言い換える。 とおくと、 は中心 、半径 の円 の上を動く。 について

  • が正の実数 で、 が のどれか
  • が負の実数 で、 が のどれか

の倍数を順に見ると、正の実数になる角と負の実数になる角が交互に並ぶ。 上の点の偏角の範囲はひと続きなので、両方の種類の角を含むことは、隣り合う2つの角を含むことと同じだ。

⑤ のとき。 なら原点は の内側にあり、偏角はすべての値をとる。 なら は原点を通り、原点以外の点の偏角は を中心とする幅 の範囲(両端は含まない)をとる。幅 の範囲には、隣り合う2つの角が必ず入る。どちらも条件を満たす。

⑥ のとき。 ()とする。(1) と同じように、 上の点の偏角は 以上 以下を動く。ここで 、。

6本の半直線の配置は 回転しても、各半直線について折り返しても変わらない。条件もこれらの移動で変わらないので、 の場合を調べれば十分だ。この範囲では、 に最も近い隣り合う2つの角は と で、ほかの組はもっと遠い。 と が入る条件は かつ で、 なので後者が成り立てば前者も成り立つ:

⑦ 図形として読む。 は、点 から、原点を通り偏角 の向きの直線までの距離である。よって の部分では、条件を満たす は、偏角 と の2本の半直線と、その直線に平行で距離 の直線 で囲まれた三角形になる。この直線は 軸と で、半直線 と で交わるので、三角形の面積は

⑤ で調べた の部分も、この三角形に含まれている。

⑧ 全体の面積。 同じ三角形が 個あるので、 の動く範囲の面積は 。この範囲は、外側の頂点が原点から距離 にある六芒星(正三角形2つを重ねた形)で、原点について対称だから、 の動く範囲も同じ形になる。求める面積は である。

O
ζ=z−α の平面。青の半直線上で w>0、赤の半直線上で w<0 になる。円 |ζ−(−α)|=1 の中心 −α が塗った六芒星(境界を含む)の中にあるとき、円は青と赤の両方に届く。破線の円は頂点 (√3,1) を中心とする例

まとめ:(1) は が動く円を原点から見込む角を 倍した。(2) は、正の実軸と負の実軸に対応する偏角が おきに交互に並ぶことから、「偏角の範囲に隣り合う2つの角が入る」条件に言い換えた。対称性で 個に分けると、1つの三角形の面積を求めるだけで済む。

発展。 六芒星を「1辺 の正三角形2枚の和」とみると、面積は から、重なった正六角形の面積 を引いて と確かめられる。

答

(1) (2)

別解

別解:円が半直線と交わる条件を距離で表す。 円 (中心 、半径 )が、原点から出る半直線 と原点以外で交わる条件を考える。 の向きの単位ベクトルを 、中心 を表す点を とすると、 上の点 ()が 上にある条件は

なら解の積が負なので、正の解が必ずある。 なら、正の解があるのは で、判別式が 以上、つまり から を延ばした直線までの距離が 以下のときだ。

つまり が と交わるのは、 が単位円の内部にあるか、 に沿った幅 の帯のうち原点より先の部分にあるときである。正の実数に対応する3本の半直線の帯と、負の実数に対応する3本の半直線の帯を描くと、両方に入るのは隣り合う2本の帯が重なる6か所で、それらと単位円の内部を合わせると本解と同じ六芒星になる。

ポイント

  • は中心 、半径 の円を動く。原点からの見込む角が偏角の範囲。
  • と に対応する偏角は、 おきに交互に並ぶ。
  • 条件を満たす の範囲は、外側の頂点が原点から の六芒星で、面積は 。

よくある間違い

  • (1) で の偏角の範囲を 倍し忘れ、 と答える。
  • (2) で が正の実数になるのを のときだけと考え、 を落とす。
  • (円が原点を囲むか通る)の場合を別に確かめず、原点の近くを範囲から外してしまう。