入試過去問 / 東京大学 2026年度 数学(理科)
第3問 重心を固定した球面上の三角形と、弦の通過範囲
出典東京大学 令和8年度 第2次学力試験 前期日程 数学(理科) 第3問
問題文は東京大学が公表した試験問題からの引用です。解答・解説はtelvia演習ラボが作成したもので、東京大学が公表したものではありません。
問題
座標空間内の原点を中心とする半径 の球面を とする。 上の相異なる 点 が次の条件を満たすように動く。
条件: は 平面上にあり,三角形 の重心は である。
以下の問いに答えよ。
(1) 線分 の中点 の軌跡を 平面上に図示せよ。
(2) 線分 が通過する範囲を 平面上に図示せよ。
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は と の座標の和で決まる。その和は中点 を使うとどう書けるか。(2) は弦をたくさん描くより、1つの点を固定して、その点を通る弦がとれるかどうかを考えられるか。
解答・解説
方針
(1) は の座標を で表して球面の式に入れ、 となる点を除く。(2) は を媒介変数 で表して弦の直線の式を作り、点 を固定して、式を満たす が存在する条件を求める。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 重心の条件は、 の座標の和が の座標の 倍になることだ。 と の座標の和は中点 の座標の 倍なので、 は だけで決まる。 が球面上にあるという条件が、そのまま の条件になる。
(2) は、 を1つ決めると弦 が1本決まる。弦がたくさん動くので、弦の上の点 のほうを固定し、「 を通る弦がとれるか」を、 の位置を表す媒介変数の方程式が解をもつかどうかで調べる。
① (1) を で表す。 とおく。 の座標の和は で、重心が なので
② が球面上にある条件。 原点からの距離が なので
③ 逆に、この円上の で がとれるか。 は 平面上の円 の上にある。 を中点とする弦 がとれるのは、 がこの円の内部にあるときだ( が原点でなければ、弦は に垂直な1本に決まる)。
円 上の点の原点からの距離は 以上 以下で、 になるのは点 だけだ。 では になってしまうので除く。それ以外の点では弦 がとれて、 は 座標が なので と異なり、三角形 ができる。
よって の軌跡は円 から点 を除いたものである。
④ (2) 弦の直線の式。 を ()と表す。弦 は を通って に垂直なので、その直線上の点 は 、すなわち を満たす。
なので、直線の式は
弦 はこの直線のうち、円板 に入る部分である。
⑤ 点 を固定して、 がとれる条件を調べる。 が通過範囲に入るのは、 で、かつ上の式を満たす ()があるときだ。 について整理すると
左辺は合成すると の形になり、 以上 以下のすべての値をとるからだ。したがって条件は
展開して整理すると
⑥ の確認。 でしか式を満たさない点は除く必要がある。 のとき直線は で、円板 と共有するのは点 だけだ。点 を代入すると となり、解は しかない。よって点 は除く。ほかの点では は解にならないので、解があれば である。
⑦ 図示する。 は中心 、頂点 の双曲線で、⑤ の不等式は2本の枝のあいだの部分を表す。円 との交点は、 を代入して
のとき で、これが左の枝との交点だ。 は右の枝の頂点で、右の枝は点 以外では円の外にある。
よって求める範囲は、円板 のうち双曲線の左の枝より右側の部分(境界を含む)から、点 を除いたものである。
まとめ:(1) は重心の条件から を で表し、球面の式に入れた。(2) は弦の上の点を固定し、「その点を通る弦を与える があるか」を合成の考え方で判定した。 となる点 を除くことを忘れない。
発展。 得られた双曲線の焦点は と である。 とおくと、⑤ の条件は と書き直せる。2点からの距離の差が一定という双曲線の定義が、そのまま範囲の境界として現れている。
(1) 円 から点 を除いたもの (2) 円板 と不等式 の表す部分の共通部分から、点 を除いた範囲(それ以外の境界は含む)
別解
別解:直角を見込む点の円で考える。 点 が弦 の直線上にあるのは、(または )のときで、これは が を直径とする円 の上にあることと同じだ。したがって、 が通過範囲に入る条件は、 で、 と (1) の円 が点 以外で共有点をもつことである。
の中心は の中点、半径は ()。2円が共有点をもつのは、中心間の距離 が半径の差以上、和以下のとき:
は と の距離に等しいので、。それぞれ2乗して整理すると と になり、合わせて 、つまり本解と同じ が得られる。
媒介変数を使わずに、2つの円の位置関係だけで範囲が決まる。左の枝は2円が外側で接する位置、点 は内側で接する位置にあたる。
ポイント
- 重心の条件から 。球面の式に入れると 。
- 中点が の弦の直線は 。
- が解をもつ 。これで範囲が双曲線の2本の枝のあいだに決まる。
よくある間違い
- (1) で点 を除き忘れる。そこでは となり、三角形ができない。
- (2) で弦を直線全体と考え、円板 の外まで範囲に入れてしまう。
- が解をもつ条件を の片側だけで書き、 が負で絶対値が大きい場合を落とす。2乗した で両側をまとめて扱う。