回路の解き方 — 描き直し・直列並列・キルヒホッフ・2状態・交点
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日
回路の問題は、物理基礎のオームの法則から始まり、物理の直流回路(キルヒホッフ・内部抵抗・コンデンサー・非直線抵抗)、交流回路(リアクタンス・インピーダンス)まで、段階を踏んで広がります。どの段階でも、解き方の手順は共通しています。この記事では、回路の問題を解く手順を固定し、段階ごとに加わる考え方と、つまずきの場所を説明します。
手順1: 回路図を自分で描き直す
問題の図をそのまま使わず、JIS記号(抵抗は箱形、電池は長い線が正極)で描き直します。描き直すことで、直列と並列の判断、ループの取り方、コンデンサーの位置が自分の頭に入ります。このサイトの回路図はすべてJIS記号で描いてあるので、手本にしてください。
手順2: 直列と並列を判断する
直列は電流が共通で、電圧が抵抗に比例して分かれます。並列は電圧が共通で、電流が抵抗に反比例して分かれます。混合回路は、内側の並列を先に1つの抵抗にまとめ、外側の直列で電流を求め、それを内側に戻して配分します。電気とエネルギーの利用の基礎「直列」「並列」、標準「電圧配分」「電流配分」「混合回路」で固めてください。
「直列か並列か」の判断で迷う回路は、電流の道筋を指でたどります。分かれ道があれば並列、なければ直列です。
手順3: 直列・並列に分解できないならキルヒホッフ
電池が2つある回路や、ブリッジ回路は、直列・並列に分解できません。このときはキルヒホッフの法則です。各枝の電流に名前と向きを仮定し、接続点で「流入 = 流出」(第1法則)、独立なループごとに「起電力の和 = 電圧降下の和」(第2法則)を書いて連立します。向きの仮定が逆でも、答えが負になるだけです。直流回路の基礎「第1法則」「第2法則」、標準「2電池の回路」で立て方を確認してください。
節点の電位を未知数にする方法(節点電位法)は、未知数が減るので、このサイトの別解で扱っています。
手順4: 電池の内部抵抗を「直列の抵抗」として入れる
実際の電池は、起電力 と内部抵抗 の直列です。端子電圧は で、電流が大きいほど下がります。回路図に を描き込んで、他の抵抗と同じように扱えば、特別な公式は要りません。直流回路の基礎「電池の起電力と内部抵抗」と標準「端子電圧のグラフから E と r を求める」で確認してください。
手順5: コンデンサーは「直後」と「十分後」の2つの回路
コンデンサーを含む回路は、スイッチを入れた直後と十分時間がたった後で、コンデンサーの振る舞いが変わります。直後は電荷が0なので電圧0(導線と同じ)、十分後は電流が流れなくなる(断線と同じ)です。この2つの状態を別々の回路として描き直して解きます。
定常状態では、コンデンサーの枝を消して回路の電流を求め、コンデンサーと並列になっている部分の電圧を写します。「電圧は抵抗が決め、電荷はコンデンサーが決める」と覚えると迷いません。直流回路の基礎「コンデンサーを含む回路(定常状態)」「直後と十分後」、応用「コンデンサー2個」「切り替え回路」で練習してください。コイルを含む回路は逆で、直後は断線・十分後は導線です。
手順6: 非直線抵抗は「交点」で決める
電球のように電流と電圧が比例しない素子は、抵抗値を1つの数で表せません。素子の特性曲線と、回路の条件から出る直線(負荷線)を同じグラフに描き、交点で電流と電圧を決めます。直流回路の標準「非直線抵抗を含む回路」と応用「電球2個の直列」で、この読み取りを練習してください。
交流回路で加わるもの
交流では、コイルとコンデンサーが「抵抗のようなもの」(リアクタンス)として振る舞います。コイルは 、コンデンサーは です。ただし、電流と電圧の位相が ずれるので、抵抗と合成するときは直角三角形で です。電力を消費するのは抵抗だけで、平均電力は です。電磁誘導と交流の標準「リアクタンス」「RL直列回路」、応用「RLC直列回路」で確認してください。
電力とエネルギーの帳簿
回路のエネルギーは、「電池がした仕事 = 各抵抗のジュール熱 + コンデンサーに蓄えられたエネルギー + (モーターなら)力学的な仕事」という帳簿で追えます。電池の仕事は 、ジュール熱は 、コンデンサーのエネルギーは です。充電の熱が「電池の仕事の半分」になること(抵抗値によらない)は、この帳簿から出る有名な結果です。直流回路の応用「電池を充電する回路」と、電場と電位の標準「充電で電池がする仕事と発生する熱」で確認してください。
つまずきやすいところ
最も多い誤りは、並列回路で「電流が共通」としてしまうことです。並列は電圧が共通です。次に、コンデンサーの定常状態で「コンデンサーの枝に電流が流れる」としてしまうことです。定常状態では流れません。3つ目は、電流計・電圧計の内部抵抗を無視して「理想」と決めつけることです。問題文に内部抵抗が与えられていたら、それは系統誤差の計算に使う合図です(直流回路の応用「計器の内部抵抗による系統誤差」)。
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