物理 / 波の伝わり方と音
クインケ管で波長を測る
問題
音を つの経路に分け、再び合流させて聞く装置(クインケ管)がある。一方の管は 字形で、引き出すことで経路の長さを変えられる。
引き出す長さを とすると、 字部分は往復するので、 つの経路の差は になる。
スピーカーから一定の振動数の音を出し、 を から少しずつ大きくしていくと、音が小さくなる位置がくり返し現れた。連続する つの「音が小さくなる位置」の間隔は であった。音速を とする。
(1) 音が小さくなる条件を、 と波長 で表せ。
(2) 連続する つの位置の間隔が になることを示し、波長と振動数を求めよ。
(3) から数えて最初に音が小さくなる位置を求めよ。
(4) 振動数を に変えると、位置の間隔はどうなるか。
ヒントを見る
引き出した長さと経路差の関係はどうなるか。「連続する つ」の差をとると何が消えるか。
解答・解説
方針
経路差が であることを押さえれば、あとはふつうの干渉の条件である。連続する位置の差をとると、整数 が消えて だけが残る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 装置の見た目は複雑だが、干渉の条件は「経路差が波長の何倍か」だけである。
この装置の特徴は、経路差が引き出す長さの 倍になることである。 字部分を引き出すと、行きと帰りの両方が伸びるからである。
そして測定では「連続する つの位置の差」を使う。差をとれば整数 が消えるので、 が何番目かを知らなくても波長が求まる。これが測定を確実にする工夫である。
① 弱め合いの条件。 つの経路を通った音が逆位相で重なると弱め合う。
経路差は だから
② 間隔と波長。 番目と 番目の位置を引き算する。
間隔がちょうど である。測定値が だったから
③ 最初の位置。 とすると
④ 振動数を変えると。
間隔は で、もとの半分になる。高い音ほど、細かく音の大小がくり返される。
まとめ 経路差が であることと、連続する位置の差をとると が消えることの 点が要点である。 を特定しなくてよいので、測定が確実になる。
発展 — 一歩先へ。 「差をとって未知の整数を消す」という手は、測定の定石である。
気柱の共鳴で開口端補正を消すときも、 つの共鳴位置の差をとって を求めた。光のマイケルソン干渉計でも、鏡の移動距離と縞の本数から波長を出す。どれも「何番目か」を知らずに済ませている。
逆に、 が本当に経路差 なのかは、装置の作りに依存して信用しにくい。 点の絶対値ではなく、 点の差で測る——測定を設計するときの基本姿勢である。
、間隔は で ・、最初は 、 では間隔が半分の
別解
グラフを描いて読み取るルート。 を連続的に変えながら音の大きさを記録すると、周期的なグラフが得られる。
合成波の振幅は、経路差 に対して
と書ける。 について周期 の変化である。
このグラフを描いて、山と山(または谷と谷)の間隔を測れば が求まる。 組の谷だけを使うより、いくつもの谷を使って直線あてはめをするほうが、読み取り誤差が平均化されて精度が上がる。
具体的には、 番目の谷の位置 を縦軸、 を横軸にとると、傾き の直線になる。 点、 点と測って直線を引けば、 組の測定より確かな値が得られる。
また、直線が原点を通らない(切片がある)場合は、 の位置がずれていることを意味する。装置の系統誤差が、グラフの切片として見える形になる。
ポイント
- U 字部分を引き出すと経路差は 2d(往復するため)
- 弱め合いは 2d=(m+1/2)λ
- 連続する位置の差をとると m が消え、間隔は λ/2
- 「何番目か」を知らずに測れるのが、この方法の強み
よくある間違い
- 経路差を d としてしまう(往復で 2d)
- 間隔を λ としてしまう(λ/2)
- 最初の弱め合いを d=0 と考える(d=λ/4)