数学C / 平面上の曲線
サイクロイドの法線と接地点
問題
サイクロイド ()上の点 における法線は、そのときの転がる円と 軸の接点 を通ることを示せ。
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「法線が通る」は「その点へのベクトルが接ベクトルと垂直」で判定できる。接ベクトルと、P から接地点へ向かうベクトルを媒介変数で書いて、内積を取ってみると。
解答・解説
方針
接ベクトルは (dx/dt, dy/dt)=(1−cost, sint)。P から接地点 (t,0) へのベクトルは (sint, cost−1)。内積を計算すると (1−cost)sint+sint(cost−1)=0 — 恒等的に垂直で、法線が接地点を通る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「法線が接地点を通る」⟺「 から接地点へのベクトルが、接ベクトルと垂直」— 垂直の主張は内積に翻訳するのが一番早い。
接ベクトルは 。 から接地点 へのベクトルは 。
内積を計算すると、恒等的に 。たった1行の計算に、サイクロイドの幾何の核心が入っている。
① 接ベクトル。
( では で接ベクトルが定まる。)
② 接地点へのベクトル。 から接地点 へ:
③ 内積を計算する。
— 恒等的に垂直。よって における法線は接地点 を通る。
まとめ: 内積1発の計算だが、意味は深い — 転がる円はその瞬間、接地点を軸に回転しており、円上の各点の速度は接地点へ向かう半径と垂直になる(瞬間中心)。「法線が接地点を通る」はその力学の言い換えで、サイクロイドの接線の向き( と円の最高点を結ぶ)もここから読める。
発展 — 一歩先へ。 サイクロイドは性質の宝庫で、「最速降下線」(重力だけで2点間を最短時間で滑る形)であり、「等時曲線」(どこから放しても最下点までの時間が同じ)でもある。振り子時計のホイヘンスはこの等時性を利用した。本問の「法線が接地点を通る」は、これらの証明で繰り返し使われる基本部品だ。
証明( から接地点へのベクトルと接ベクトルの内積が恒等的に0)
別解
瞬間回転の中心として読む(物理の1行)。 転がる円の運動は、各瞬間には「接地点を中心とする回転」とみなせる(接地点は滑らないので、その瞬間だけ速度0=回転の軸)。
回転運動では、各点の速度はつねに「回転中心からその点へのベクトル」と垂直。点 の速度ベクトルは接線方向だから、「接線 ⊥(接地点から )」— すなわち法線が接地点を通る。計算の内積 は、この力学の言い換えだった。
おまけに速さまで分かる。回転の角速度は (単位時間に角 が 進む)なので、速さ 接地点までの距離。実際 が恒等的に成り立つ。サイクロイドの頂上()で速さが最大 (=直径)になるのも、この見方なら一目だ。
ポイント
- 接ベクトル 。
- との内積が恒等的に0。
- 背景は瞬間中心(接地点を軸に回る)。
よくある間違い
- 接ベクトルの微分 の符号を誤る。
- 「法線が を通る」ことを、法線の方程式を立てて代入する重い道で確かめる(垂直の内積1行で足りる)。
- (尖点。接ベクトルが零になり法線が定義できない)を除く断りを落とす。