数学C / 平面上の曲線
楕円の反射性質
問題
楕円 の焦点を とする。楕円上の点 (長軸の端を除く)における接線 について、 と直線 のなす角と、 と直線 のなす角が等しいことを示せ。
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角度の計算に入る前に、鏡(接線)に映した焦点を考える。F₂ から F₁′ までの折れ線の長さと、楕円の定義(距離の和)を見比べると — 接線上で和を最小にする点はどこか。
解答・解説
方針
角の等しさを直接計算せず、F₁ の接線に関する対称点 F₁′ をとる: 対称性から「ℓ と PF₁ の角」=「ℓ と PF₁′ の角」なので、F₂, P, F₁′ が一直線に並ぶことを言えばよい。鍵は楕円の定義 PF₁+PF₂=2a と、接線の外側では距離の和が 2a を超えること。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「2つの角が等しい」を、角の計算で示すのは茨の道だ。鏡像で言い換える。
の、接線 に関する対称点 をとる。対称性から「 と のなす角」=「 と のなす角」。だから示すべきことは、 が一直線に並ぶこと、に変わる。
一直線を言う鍵は、楕円の定義 と、「接線上の他の点はすべて楕円の外側にある(=距離の和が を超える)」という接線の性質。折れ線の最短が直線、という原理で結ばれる。
① 対称点をとる。 の に関する対称点を とする。 上の任意の点 で だから
(折れ線は直線より長い。等号は が線分 上のとき。)
② 最小が で起きることを使う。 接点 以外の 上の点 は楕円の外側にあるから 、一方 では 。つまり①の左辺は で最小 — 等号成立点は に限られ、 は線分 上にある。すなわち は一直線に並ぶ(このとき も従う)。
③ 角を結論する。 は の鏡映だから、 と のなす角 と のなす角。②より は の延長そのものなので、この角は と直線 のなす角(対頂角)に等しい。よって2つの角は等しい。
まとめ: 「等角は鏡映+共線」に翻訳し、共線は「定義の最小性」から引き出す — 計算のない、定義だけで進む証明。この性質が『一方の焦点から出た光が楕円面で反射してもう一方の焦点に集まる』という反射望遠鏡・ささやきの回廊の原理そのものだ。
発展 — 一歩先へ。 この反射性質は実用の塊だ。楕円形の部屋では一方の焦点のささやきが他方の焦点で聞こえ(ささやきの回廊)、医療では楕円面鏡で衝撃波を焦点の結石に集める(結石破砕術)。双曲線・放物線にもそれぞれ反射性質があり(放物線は「焦点から出た光が軸に平行に」=パラボラアンテナ)、円錐曲線の一家はみな「光の設計図」として現役で働いている。
証明( の に関する対称点が線分 の延長上に乗る)
別解
法線が角を二等分することを、単位ベクトルで示す(解析ルート)。 ひし形の対角線の原理 — 「長さの等しい2本のベクトルの和は、なす角を二等分する」を使う。
から各焦点へ向かう単位ベクトル の和 は、角 の二等分方向を向く。
一方、楕円 の点 での法線方向は (接線の公式 の係数)。焦点距離の公式 を使って を成分計算すると、ちょうど の定数倍になることが確かめられる。
法線が内角を二等分する ⟺ 接線と2本の焦点半径のなす角が等しい — 反射の性質の言い換えだ。鏡像(本解)は補助点1つの美しい総合幾何、単位ベクトルの和は座標で押し切る解析幾何。二等分を「和のベクトル」で作るこの手筋は、内心の位置ベクトルなどでも使った、平面図形の汎用部品である。
ポイント
- の鏡映 で等角を共線に翻訳。
- 接線上では が でだけ (最小)。
- 共線 → 2角が等しい。
よくある間違い
- 角の等しさを接線の傾きと の加法定理で直接計算しようとして、式の海で遭難する(鏡像か単位ベクトルの和で構造化する)。
- 「接線上の 以外の点は楕円の外側()」という接線の特徴づけを、証明なしに暗黙で使う(答案では一言根拠を)。
- 長軸の端(法線が対称軸と一致し、角の議論が退化する点)の除外に触れない。