数学C / 平面上の曲線

楕円の媒介変数表示

★ 基礎媒介変数表示

問題

媒介変数 を用いて と表される曲線を、 の方程式で表せ。

ヒントを見る

円の媒介変数表示と同じ発想で を消す。ただし係数が で違うので、先に の式で表してから、いつもの関係に入れよう。

解答・解説

方針

と表し、 に代入して を消す。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 前問と同じ手順だ。 で、 を消す。

まず、 について解く。

係数が違う()ことに注意。

乗して足す。

楕円の標準形だ!

(横方向)、(縦方向)の、横長の楕円。

円のときは、 の係数が同じ()だった。

係数が違うと、円がつぶれて楕円になる。

の係数が、そのまま楕円の になる」

この対応を掴んでおこう。

重要 で表し、 に代入して を消す

で表す。

② 相互関係に代入する。

xyO
(3cos t, 2sin t) は楕円 x²/9+y²/4=1

まとめ: は楕円 で表してから に代入するのが手順。 の係数が (半軸の長さ)になる。

発展 — 一歩先へ。 「円を引き伸ばすと楕円になる」

この変換を、 次変換(線形変換)という。

行列で書ける。

この行列は、「横に 倍、縦に 倍」を意味する。

そして、行列式は

この が、「面積が 倍になる」ことを表している。

これは、空間ベクトルで学んだ「行列式 平行四辺形の面積」と、同じ原理だ。

単位正方形()が、変換後に の長方形になる。 面積は 倍。

そして、どんな図形でも、面積は 倍される。

円()→ 楕円()✓

この「行列式 面積の拡大率」という事実は、積分の変数変換で使われる。

( はヤコビ行列。多変数の置換積分で、この行列式が"補正係数"になる。)

極座標変換なら

この が、行列式から出てくる。

さて、 次変換で「保たれるもの」と「保たれないもの」を、もう一度整理しよう。

保たれる(不変量)。

  • 面積の比
  • 中点、内分比
  • 平行性
  • 直線は直線のまま

保たれない。

  • 長さ、角度
  • 円が楕円になる

「直線が直線のまま」という性質は、決定的に重要だ。

だから、 次変換は"線形"変換と呼ばれる。

そして、この性質が、コンピュータグラフィックスの基礎になっている。

D モデルは、三角形(ポリゴン)の集まりだ。

回転、拡大、平行移動 — すべて 次変換(と平行移動)で表せる。

三角形の 頂点だけを変換すれば、辺は自動的に正しい位置に来る。(直線が直線に写るから!)

もし変換が線形でなければ、辺が曲がってしまい、計算が爆発的に複雑になる。

「線形性」という制約が、 D グラフィックスを実用的な速度で計算可能にしている。

円を引き伸ばして楕円にする、という素朴な操作。

そこに、行列式と面積の関係があり、線形代数があり、 D の世界を描く技術がある。

(楕円)

別解

楕円は、「円を引き伸ばしたもの」である。

単位円の媒介変数表示を、思い出そう。

この円を、 方向に 倍、 方向に 倍に引き伸ばす。

これは、この問題の式そのものだ!

つまり、この楕円は「単位円を、横に 倍、縦に 倍したもの」である。

この見方の御利益。

① 楕円の面積が、一瞬で出る。

単位円の面積は

横に 倍すれば面積は 倍、縦に 倍すればさらに 倍。

公式 の意味が、これで分かる。

② 楕円の性質が、円から翻訳できる。

円で成り立つ性質を、引き伸ばしても保たれるものと、保たれないものに分ける。

保たれるもの( 次変換で不変)。

  • 中点は中点のまま
  • 面積の"比"は変わらない
  • 平行な線は平行のまま
  • 接するものは接したまま

保たれないもの。

  • 長さ(方向によって伸び方が違う)
  • 角度(直角が直角でなくなる)
  • 円は円でなくなる(楕円になる)

「面積比が保たれる」という性質は、強力だ。

例: 楕円に内接する最大の長方形の面積は?

円で考える。 単位円に内接する最大の長方形は、正方形。面積は

引き伸ばすと、面積は 倍。

楕円に内接する最大の長方形の面積は

楕円で直接考えると面倒な問題が、円に戻せば一瞬で解ける。

この「 次変換で円に戻す」という手法は、入試の難問でも使われる。

③ 媒介変数の は、角度ではない。

ここが重要な注意点だ。

円では、 は点の偏角(中心から見た角度)だった。

楕円では?

の偏角は

!

のとき、点の偏角は

は「離心角」と呼ばれ、円に戻したときの角度を表す。

楕円上の点の"本当の角度"ではない。

この違いを混同すると、極方程式などで間違える。

「媒介変数は、ただのパラメータ。幾何的な意味は、 つ確認する。」

ポイント

  • で代入。
  • は楕円。

よくある間違い

  • と、係数を 乗し忘れる。分母は
  • の係数を取り違え、 としてしまう。 なので、 の分母が
  • 媒介変数 を、楕円上の点の偏角だと思ってしまう。 は円に戻したときの角(離心角)で、実際の偏角とは違う