数学C / 平面上の曲線
楕円の媒介変数表示
問題
媒介変数 を用いて 、 と表される曲線を、、 の方程式で表せ。
ヒントを見る
円の媒介変数表示と同じ発想で を消す。ただし係数が と で違うので、先に と を 、 の式で表してから、いつもの関係に入れよう。
解答・解説
方針
、 と表し、 に代入して を消す。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 前問と同じ手順だ。 で、 を消す。
まず、 と について解く。
係数が違う( と )ことに注意。
乗して足す。
楕円の標準形だ!
(横方向)、(縦方向)の、横長の楕円。
円のときは、 と の係数が同じ( と )だった。
係数が違うと、円がつぶれて楕円になる。
「 の係数が、そのまま楕円の 、 になる」
この対応を掴んでおこう。
① 、 を で表す。 、。
② 相互関係に代入する。
まとめ: は楕円 。 を で表してから に代入するのが手順。 の係数が (半軸の長さ)になる。
発展 — 一歩先へ。 「円を引き伸ばすと楕円になる」
この変換を、 次変換(線形変換)という。
行列で書ける。
この行列は、「横に 倍、縦に 倍」を意味する。
そして、行列式は
この が、「面積が 倍になる」ことを表している。
これは、空間ベクトルで学んだ「行列式 平行四辺形の面積」と、同じ原理だ。
単位正方形()が、変換後に の長方形になる。 面積は 倍。
そして、どんな図形でも、面積は 倍される。
円()→ 楕円()✓
この「行列式 面積の拡大率」という事実は、積分の変数変換で使われる。
( はヤコビ行列。多変数の置換積分で、この行列式が"補正係数"になる。)
極座標変換なら
この が、行列式から出てくる。
さて、 次変換で「保たれるもの」と「保たれないもの」を、もう一度整理しよう。
保たれる(不変量)。
- 面積の比
- 中点、内分比
- 平行性
- 直線は直線のまま
保たれない。
- 長さ、角度
- 円が楕円になる
「直線が直線のまま」という性質は、決定的に重要だ。
だから、 次変換は"線形"変換と呼ばれる。
そして、この性質が、コンピュータグラフィックスの基礎になっている。
D モデルは、三角形(ポリゴン)の集まりだ。
回転、拡大、平行移動 — すべて 次変換(と平行移動)で表せる。
三角形の 頂点だけを変換すれば、辺は自動的に正しい位置に来る。(直線が直線に写るから!)
もし変換が線形でなければ、辺が曲がってしまい、計算が爆発的に複雑になる。
「線形性」という制約が、 D グラフィックスを実用的な速度で計算可能にしている。
、
円を引き伸ばして楕円にする、という素朴な操作。
そこに、行列式と面積の関係があり、線形代数があり、 D の世界を描く技術がある。
(楕円)
別解
楕円は、「円を引き伸ばしたもの」である。
単位円の媒介変数表示を、思い出そう。
この円を、 方向に 倍、 方向に 倍に引き伸ばす。
これは、この問題の式そのものだ!
つまり、この楕円は「単位円を、横に 倍、縦に 倍したもの」である。
この見方の御利益。
① 楕円の面積が、一瞬で出る。
単位円の面積は 。
横に 倍すれば面積は 倍、縦に 倍すればさらに 倍。
公式 の意味が、これで分かる。
② 楕円の性質が、円から翻訳できる。
円で成り立つ性質を、引き伸ばしても保たれるものと、保たれないものに分ける。
保たれるもの( 次変換で不変)。
- 中点は中点のまま
- 面積の"比"は変わらない
- 平行な線は平行のまま
- 接するものは接したまま
保たれないもの。
- 長さ(方向によって伸び方が違う)
- 角度(直角が直角でなくなる)
- 円は円でなくなる(楕円になる)
「面積比が保たれる」という性質は、強力だ。
例: 楕円に内接する最大の長方形の面積は?
円で考える。 単位円に内接する最大の長方形は、正方形。面積は 。
引き伸ばすと、面積は 倍。
楕円に内接する最大の長方形の面積は 。
楕円で直接考えると面倒な問題が、円に戻せば一瞬で解ける。
この「 次変換で円に戻す」という手法は、入試の難問でも使われる。
③ 媒介変数の は、角度ではない。
ここが重要な注意点だ。
円では、 は点の偏角(中心から見た角度)だった。
楕円では?
点 の偏角は
!
のとき、点の偏角は 。
は「離心角」と呼ばれ、円に戻したときの角度を表す。
楕円上の点の"本当の角度"ではない。
この違いを混同すると、極方程式などで間違える。
「媒介変数は、ただのパラメータ。幾何的な意味は、 つ つ確認する。」
ポイント
- 、 で代入。
- は楕円。
よくある間違い
- と、係数を 乗し忘れる。分母は 、
- と の係数を取り違え、 としてしまう。 なので、 の分母が
- 媒介変数 を、楕円上の点の偏角だと思ってしまう。 は円に戻したときの角(離心角)で、実際の偏角とは違う