数学C / 平面上の曲線
円の媒介変数表示
問題
媒介変数 を用いて 、 と表される曲線は、どのような図形か。
ヒントを見る
ゴールは を消すこと。 と の間にはいつでも成り立つ関係が つある。 と をそれぞれ 乗してみると、その関係が使える形になる。
解答・解説
方針
を計算する。 を使うと、 が消えて直交座標の方程式になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 媒介変数 で書かれた曲線。「 を消す」のが基本方針だ。
が消えれば、 と だけの関係式(曲線の方程式)が得られる。
どうやって消すか。
三角関数の最重要公式を使う。
この形を作りたい。
と の式を、 と について解く。
乗して足す。
原点中心、半径 の円だ。
「 で を消す」 — 三角関数の媒介変数表示は、この一手で片づく。
① を計算する。
② 図形を読む。 は原点中心・半径 の円。
まとめ: は半径 の円。媒介変数から図形を知るには「 を消す」。 を使うのが定番。 は円周上の点の角度(回転角)を表している。
発展 — 一歩先へ。 媒介変数表示の真価は、「方程式で書けない曲線」を描けることだ。
サイクロイド。
円を、直線の上で滑らずに転がす。 円周上の 点が描く軌跡。
この曲線を、 と の方程式で書けるだろうか。
書けない。 を消去できないのだ( から を取り出せない)。
媒介変数でしか書けない曲線がある。
そして、このサイクロイドには、驚くべき性質がある。
最速降下曲線。
「 点 、 を結ぶ坂を作る。ボールが最も速く から へ転がり落ちる形は?」
直線ではない。
答えは、サイクロイド(を逆さにした形)だ。
年、ヨハン・ベルヌーイがこの問題を出題した。
ニュートン、ライプニッツ、ロピタルら、当時の一流数学者が挑み、全員が正解にたどり着いた。
(ニュートンは、 晩で解いたという。)
なぜ、曲がった道のほうが速いのか。
最初に急降下することで、速度を稼ぐ。 その分、後半で距離を取り戻せる。
「急がば回れ」を、数学が証明した形だ。
さらに、サイクロイドには等時性という性質もある。
「サイクロイドの坂では、どの高さから落としても、底に着くまでの時間が同じ。」
ホイヘンスは、この性質を使って、正確な振り子時計を作ろうとした( 年)。
普通の振り子は、振れ幅が大きいと周期がずれる。
だがサイクロイド振り子なら、振れ幅によらず周期が一定になる。
媒介変数表示は、こうした「複雑だが美しい曲線」を扱う言語だ。
他にも、たくさんある。
- カージオイド(心臓形): — マイクの指向性パターン
- アステロイド(星芒形): 、
- リサージュ曲線: 、 — オシロスコープの画面
そして、 次元では、螺旋(らせん)。
円運動しながら、まっすぐ上昇する。
DNA の二重らせんも、この形だ。
「、」という、いちばん簡単な媒介変数表示。
そこから、運動が、時間が、そして方程式では書けない美しい曲線たちが、姿を現す。
原点を中心とする半径 の円()
別解
媒介変数を「時間」と読んで、点の動きを追いかける。
方程式に直すだけでは、"消えてしまう情報"がある。
それは、「点がどう動くか」だ。
を時刻だと思って、点の位置を追ってみよう。
右端からスタート。
上へ。
左へ。
下へ。
右端に戻った。 周した。
点は、半径 の円周上を、反時計回りに動いている。
そして、 が 進むごとに、 周する。
これは、等速円運動だ。
「方程式 」では分からないこと。
- どちら回りか(反時計回り)
- どこから始まるか( で )
- どれくらいの速さか(周期 )
媒介変数表示は、この"運動の情報"を保持している。
方程式は、点の軌跡(通った跡)しか教えてくれない。
「軌跡」と「運動」は、違う。
同じ円を描くのでも、こんな媒介変数表示もある。
すべて、方程式は で同じ。
だが、動きはまったく違う。
この違いが、物理では決定的に重要だ。
速度を計算してみよう。
速さ(速度の大きさ)は
常に で一定! 等速だ。
そして、位置ベクトル と速度ベクトル の内積は
内積 — 垂直だ!
「速度は、常に半径に垂直」
円運動の基本性質が、計算から出てきた。
さらに、加速度は
「加速度は、常に中心を向いている」
これが向心加速度だ。
円運動を続けるには、常に中心向きの力(向心力)が必要 — 物理で習うこの事実が、媒介変数表示を微分するだけで導ける。
媒介変数は、単なる計算の道具ではない。
「時間とともに動く点」を記述する、運動の言語なのだ。
ポイント
- で を消す。
- は半径 の円。
よくある間違い
- の で割るのを忘れ、 としてしまう。半径は なので
- と、 乗を忘れた公式を使ってしまう。正しくは
- 半径を としてしまう。 なので、半径は