数学C / 平面上の曲線

双曲線の漸近線

★ 基礎双曲線

問題

双曲線 の漸近線を求めよ。

ヒントを見る

漸近線の傾きは の比で決まる。どちらが分子だったか自信がなければ、 を大きくしたとき曲線がどんな直線に近づくかを式からイメージして確かめよう。

解答・解説

方針

漸近線は より

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 漸近線の公式。

与式から、 を読む。

(。分母の平方根であることに注意。)

傾きは

であって、 ではない。

この分数の"向き"が、いちばん間違えやすい。

覚え方: 「 の分母の ÷ の分母の

分子には 側()、分母には 側()が来る。

丸暗記が不安なら、別解の「 とおく」方法を使えばよい。 そちらなら、迷いようがない。

公式双曲線 の漸近線

より

xyO
双曲線 x²/16−y²/9=1 の漸近線 y=±(3/4)x

まとめ:双曲線の漸近線は ( の分母のルートが分母、 の分母のルートが分子)。曲線は遠くでこの 直線に限りなく近づく。 とおくと漸近線の式が出る、と覚えてもよい。

発展 — 一歩先へ。 双曲線は、 次元では双曲面になる。

そして、この形は、意外な場所で使われている。

原子力発電所の冷却塔。

あの、くびれた独特の形。 あれは一葉双曲面という曲面だ。

双曲線を、 軸のまわりに回転させた形である。

なぜ、この形なのか。

理由 : 上昇気流を効率よく作れる。

下が広く、真ん中がくびれ、上が広がる。 この形が、空気の流れを加速し、自然対流を生む。

煙突効果を最大化する形なのだ。

理由 : 直線で作れる!

これが、驚くべき性質だ。

双曲面は、曲面なのに、まっすぐな直線だけで作れる

線織面という。

確かめてみよう。 双曲面の方程式を変形する。

この式は、こんな 本の直線の族で満たされる。

を動かすと、直線が動いて、双曲面全体を覆う。

曲がった面が、まっすぐな棒の集まりでできている。

この性質が、建築に革命をもたらした。

まっすぐな鉄骨だけで、優雅な曲面が作れる。

曲げた鉄骨より、はるかに安く、強い。

冷却塔、電波塔、東京の一部の建築物すべて、この原理で建っている。

ロシアの技術者シューホフが、 年に初めてこの構造を実用化した。

そして、双曲面のもう つの応用。

歯車。

軸が交わらず、平行でもない 本の回転軸を、なめらかに噛み合わせたい。

その解が、双曲面歯車(ハイポイドギア)だ。

車のデファレンシャルギア(左右の車輪の回転差を吸収する装置)に使われている。

あなたの車の下で、いま双曲面が回っている。

という、 本の漸近線。

その双曲線を回転させた曲面が、原発を冷やし、電波を飛ばし、車を走らせている。

「曲がった面が、まっすぐな線でできる」

この逆説的な事実が、 次曲線の隠された贈り物である。

別解

公式を忘れても大丈夫 — 「右辺を とおいて、因数分解する」。

漸近線の求め方で、いちばん確実な方法だ。

双曲線の式で、右辺の に変える。

この式を因数分解する。

の形だ。

それぞれを とおく。

本解と同じ ✓ 公式を 度も使っていない。

なぜ、この方法でよいのか。

が非常に大きい世界を想像してほしい。

なら、左辺の各項は 万を超える。

その世界で、右辺の は、あってもなくても同じだ。

「無限遠では、 と区別がつかない」

この割り切りが、漸近線を生む。

そして、この方法の利点。

① 公式を覚えなくていい。

かで迷わない。 因数分解すれば、自動的に正しい傾きが出る。

② 一般の双曲線でも使える。

平行移動した双曲線の漸近線は?

とおいて因数分解する。

中心 を通る、傾き の直線 ✓

公式を覚えていたら、平行移動のぶんを足すのを忘れがちだ。

この方法なら、自動的に処理される。

軸方向の双曲線でも使える。

とおくと、同じ因数分解になる。

漸近線は、横向きの双曲線とまったく同じだ!

( つの双曲線は、同じ漸近線を共有する。共役双曲線という。)

この事実も、 の方法なら一瞬で分かる。

「公式を覚える」より、「原理を使う」ほうが、応用が効く。

そして、間違えない。

ポイント

  • 漸近線
  • からも出る。

よくある間違い

  • 傾きを としてしまう。漸近線の傾きは
  • 分母の をそのまま使って としてしまう。平方根をとって
  • 漸近線が双曲線と交わると考える。近づくだけで、決して交わらない