数学C / 平面上の曲線

放物線の焦点と準線(縦)

★ 基礎放物線

問題

放物線 の焦点と準線を求めよ。

ヒントを見る

今度は の形。開く向きが縦になる。標準形と見比べて を読み取るところまでは横向きのときと同じ。焦点がどちらの軸に乗るかだけ注意しよう。

解答・解説

方針

の形は、焦点 、準線 と比べて 。上向きに開く放物線。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 前問は (横向き)。今度は (縦向き)だ。

の役割が、入れかわっている。

標準形。

  • 焦点: 軸上
  • 準線: 横線

与式と見比べる。

、つまり

焦点が上()、準線が下()。

放物線は、上に開いている。

の形なら縦向き、 の形なら横向き」

乗されているほうの文字が、対称軸を教えてくれる。 なら 軸対称(縦向き)だ。

公式放物線 :焦点 、準線 、頂点 原点

を求める。 と比べて

② 焦点と準線を書く。

xyO準線 y=-2焦点(0,2)
x²=8y。焦点(0,2)、準線 y=-2

まとめ: は上下に開く放物線(頂点原点)。焦点は 軸上 、準線は横線 (左右に開く)と向きが ちがう。 かで軸の向きが決まる。

発展 — 一歩先へ。 「軸に平行な光線が、焦点に集まる」

この反射性を、証明してみよう。

放物線 上の点 を考える。

この点での接線の傾きは、微分して

ここで、 つの角度を比べる。

① 入射光(軸に平行な、真上から来る光線)と、接線のなす角

② 反射光( から焦点 へ向かう線)と、接線のなす角

この つが等しければ、「入射角 反射角」となり、光は焦点へ向かうことになる。

焦点への方向ベクトルは

を代入して整理すると、 と接線のなす角の が、入射光と接線のなす角の と等しくなる。

(計算は少し煩雑だが、必ず一致する。)

この性質は、放物線だけのものではない。

楕円の反射性。

「一方の焦点から出た光は、楕円で反射して、必ずもう一方の焦点に集まる。」

この性質を使った建築が、ささやきの回廊だ。

楕円形の部屋の、一方の焦点でささやくと、反対側の焦点にいる人には、はっきり聞こえる。

間の人には、何も聞こえない。

ロンドンのセント・ポール大聖堂、ワシントンの国会議事堂に、実際にある。

そして、この性質は医療にも使われている。

結石破砕装置(体外衝撃波結石破砕術)。

楕円面の一方の焦点で衝撃波を発生させ、もう一方の焦点に、患者の腎臓結石を置く。

衝撃波がすべて結石に集中し、手術せずに結石を砕く。

双曲線の反射性。

「一方の焦点へ向かう光線は、双曲線で反射して、もう一方の焦点から出たように進む。」

この性質は、カセグレン式望遠鏡で使われている。

主鏡(放物面)で集めた光を、副鏡(双曲面)で反射させ、望遠鏡の後ろへ導く。

ハッブル宇宙望遠鏡も、この方式だ。

つの 次曲線が、それぞれ違う反射性をもち、それぞれ違う技術を支えている。

の焦点

その 点に、電波が、光が、衝撃波が集まる。

幾何学の定理が、そのまま技術になる。 年前のアポロニウスが研究した曲線が、いま宇宙を見つめ、病を治している。

焦点 、準線

別解

縦向きの放物線は、横向きを で折り返したもの。

つの標準形を、並べてみよう。

を入れかえただけだ。

そして、 を入れかえるとは、直線 で折り返すこと。

だから、焦点や準線も、そのまま入れかわる。

公式を つ覚える必要はない。 つ覚えて、入れかえればいい。

定義でも確かめよう。

曲線 上の点 を取る。

焦点 までの距離。

準線 までの距離。

等しい ✓ 放物線の定義を満たしている。

さて、縦向きの放物線には、身近な応用がある。

パラボラアンテナ。

衛星から来る電波は、遠くから来るので、ほぼ平行に入ってくる。

この平行な電波が、放物面で反射すると — すべて焦点に集まる

なぜか。放物線の反射性という性質がある。

「軸に平行な光線は、反射後、必ず焦点を通る」

だから、焦点に受信機を置けば、弱い電波を強く集められる。

逆向きにも使える。

焦点に光源を置くと、反射光は軸に平行な平行光線になる。

  • 車のヘッドライト: 電球を焦点に置き、光をまっすぐ前へ
  • 懐中電灯: 同じ原理
  • 太陽炉: 太陽光を焦点に集めて、 度の高温を作る

アルキメデスが、放物面の鏡でローマの軍船を焼いた、という伝説もある(真偽は不明だが)。

そして、この「焦点に集まる」という性質は、望遠鏡にも使われている。

反射望遠鏡(ニュートン式)は、放物面鏡で星の光を焦点に集める。

レンズより大きく作れるので、現代の巨大望遠鏡は、すべて反射式だ。

すばる望遠鏡の主鏡は、直径 m の放物面。

億光年彼方の銀河からの、かすかな光を、この 枚の放物面が焦点に集めている。

の焦点は

この計算の意味は、「ここに受信機を置けば、宇宙が見える」ということなのだ。

ポイント

  • :焦点 、準線
  • 型は縦(上下)に開く。

よくある間違い

  • から としてしまう。
  • 横向きの公式を使い、焦点を としてしまう。 の形なので、焦点は 軸上の
  • 準線を縦線()としてしまう。縦向きの放物線の準線は、横線