数学C / 空間ベクトル

平行六面体の対角線の平方和

最難関編内積の展開恒等式

問題

平行六面体の1つの頂点から出る3辺のベクトルを とする。

(1) 4本の対角線の長さの平方の和が に等しいことを示せ。

(2) のとき、その値を求めよ。

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対角線をベクトルで書き並べると、符号のパターンに対称性がある。平方和を展開したとき、 の係数は4本分でどうなるか — 全部足す前に、符号だけ数えてみると。

解答・解説

方針

4本の対角線は a+b+c, a+b−c, a−b+c, −a+b+c と符号違いで書ける。平方和を展開すると、内積の交差項(a·b など)は符号が2勝2敗でちょうど打ち消され、2乗の項だけが4回ずつ生き残る。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 平行六面体の4本の対角線は、1つの頂点から出る3辺 を使うと

と、符号違いの4通りで一斉に書ける(すべての の組8通りのうち、逆向きを同一視して4本)。

平方和を展開すると、交差項 などは符号が2勝2敗でちょうど打ち消される。2乗の項だけが4回ずつ生き残り、答えの形 が見えてくる。

重要対称な符号パターンの平方和では、交差項の符号の勝敗を数える: の符号は で2勝2敗 → 消える

① 展開する((1))。 各対角線の平方は

(複号は各対角線の符号の積で決まる。)4本分を足すと、2乗の項は 。交差項 の係数は、 の符号の積が で正、 で負 — が2回、 が2回で和は0 も同様に消える。よって

② 値を出す((2))。

③ 吟味。 この和はなす角(内積)によらない — 平行六面体をどれだけ傾けても、辺の長さが同じなら対角線の平方和は不変。長方形の箱でない場合も含めて成り立つのが恒等式の力だ。

まとめ: 「対称な符号の平方和 → 交差項の勝敗を数える」— 展開を全部書かずに、係数の符号だけ集計するのが賢い計算。平行四辺形の法則(2本・係数2)→ 平行六面体(4本・係数4)と、次元とともに規則正しく拡張される。

発展 — 一歩先へ。 平方和の 、つまり「対角線の2乗の平均」が になる、と読み替えると面白い。符号 を無作為に選んだ和 の2乗の平均、という確率の言葉になり、「独立な誤差は分散(2乗)で足し合わさる」という統計の基本原理と同じ式が現れている。

(1) 展開すると交差項がすべて相殺(証明) (2)

別解

平行四辺形の恒等式を2段重ねにする(展開しない)。 平面で学んだ恒等式 を、部品として使い回す。

4本の対角線を「 の符号」でペアにする( 本目は と読み替えて に):

( として適用。)2式を足すと

もう一度同じ恒等式が入れ子で効いた。全展開(本解)は腕力、恒等式の2段重ねは「2次元の定理を積み木にして3次元を組む」設計 — 次元を上げる証明の楽しさが詰まっている。

ポイント

  • 対角線は の対称な4本。
  • 交差項は2勝2敗で相殺、2乗項が4回ずつ。
  • (なす角によらない)。

よくある間違い

  • 対角線を8本と数える( 全8通りは逆向きどうしで同一視して4本)。
  • 展開で交差項の係数2を落とす、または「2勝2敗で消える」の数え上げを雑にする(表にすると確実)。
  • (2)で とする(長さの2乗の和: )。