数学C / 空間ベクトル
四面体の対辺の垂直(直辺四面体)
問題
四面体 において、 かつ ならば、 であることを示せ。
ヒントを見る
「2つ成り立てば3つ目も」という形は、3つの量の和が常に0である予感。 などとおいて、3組の対辺の内積を全部書き出して足してみると。
解答・解説
方針
3組の対辺の内積の和が恒等的に0になることを、A を始点とする位置ベクトルで展開して示す。恒等式が立てば、2項が0のとき残る1項も自動的に0 — 個別の計算なしで結論が落ちる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「2組の垂直から3組目の垂直を出す」問題は、個別に座標を置くより、3組の内積をまとめて1本の恒等式にするのが鮮やかだ。
A を始点に とおいて、3組の対辺の内積の和 を展開してみる。すると、すべての項がちょうど打ち消し合ってどんな4点でも和は になる。
仮定より最初の2項が なら、残る1項も自動的に 。恒等式が、証明を肩代わりしてくれる。
① 3つの内積を展開する。 だから
— 6項が3組の相殺で消え、恒等的に0である。
② 仮定を代入する。 より 、 より 。①の恒等式からただちに
③ 吟味。 3組の対辺がすべて垂直な四面体(直辺四面体)は実在する — たとえば正四面体では3組とも垂直で、この定理はその「2つ確かめれば十分」という省力化を与えている。
まとめ: 「2つで3つ目が従う」は和が0の恒等式のサイン。位置ベクトルで書き出して足すだけで6項が消える — 平面の垂心の存在証明(2本の高さが交われば3本目も通る)とまったく同じ骨格が、空間の対辺にも通っている。
発展 — 一歩先へ。 同じ展開から、直辺四面体では対辺の平方和がすべて等しいことも出る: 。また射影の視点から、直辺四面体には「4本の高さが1点で交わる」(垂心をもつ四面体)という特別な性質もある — 一般の四面体では高さは交わらない。
証明(恒等式 による)
別解
射影して平面の垂心に帰着させる(3次元を2次元へ)。 D から平面 ABC に垂線を下ろし、足を H とする。 は平面に垂直だから、平面内のどのベクトルとも内積 。すると
つまり ⟺ (空間の垂直が、影の垂直に化ける)。同様に ⟺ 。
2つの仮定は「H から C への線が AB に垂直、B への線が AC に垂直」— これは H が三角形 ABC の垂心だと言っている。垂心なら3本目の垂直 も成り立ち、逆翻訳して 。
恒等式(本解)は無駄のない代数、射影は「この四面体の真上から見ると、垂心の絵が現れる」という幾何の種明かし。直辺四面体とは、垂心の真上に頂点を持ち上げた四面体のことだったのだ。
ポイント
- 3組の対辺の内積の和は恒等的に0(展開で相殺)。
- 2組が垂直(内積0)なら残る1つも0。
- 平面の垂心の存在証明と同じ骨格。
よくある間違い
- 恒等式の3項の向き( と )を混ぜ、和が0にならない(巡回 の並びで統一)。
- 始点をそろえずに展開して項が氾濫する(全ベクトルを A 始点の で書く)。
- 「2組が垂直なら残りも垂直なのは当たり前」と根拠なしに書く(恒等式または射影の議論が根拠)。