数学C / 空間ベクトル

四面体の4本の中線の共点

最難関編位置ベクトル共点の証明

問題

四面体 において、各頂点とその向かい合う面の重心を結ぶ4本の線分を考える。

(1) この4本の線分は1点で交わることを示せ。

(2) その交点は、各線分を頂点の側からどのような比に内分するか。

ヒントを見る

三角形の重心が中線を 2:1 に内分したことの空間版を疑う。線分 A–G_A 上の点を でパラメータ表示し、「どの頂点から作っても同じ式になる 」を探すと — 対称な形が現れる比はどこか。

解答・解説

方針

頂点 A と対面の重心 G_A=(b+c+d)/3 を結ぶ線分を 3:1 に内分する点を位置ベクトルで計算すると (a+b+c+d)/4 — 頂点の選び方によらない対称な式になる。つまり4本すべてがこの1点を通る。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「4本が1点で交わる」を、2本ずつの交点計算で示すのは煩雑だ。候補の点を先に対称な式で言い当てるのがうまい。

頂点 A と向かいの面の重心 を結ぶ線分を、A の側から に内分してみると、位置ベクトルは

この式は A, B, C, D について完全に対称 — つまり、どの頂点から出発しても同じ点に着く。4本すべてがこの1点を通り、比も で確定する。

重要共点の証明: 対称な候補点を先に立て、各線分の内分点として表せることを確かめる。 の内分点

① 内分点を計算する。 頂点 の対面 の重心は 。線分 の側から に内分する点は

② 対称性で共点((1))。 右辺は について完全に対称 — どの頂点から出発して同じ計算をしても、 の内分点は同じ点 になる。よって4本の線分はすべて を通り、1点で交わる。

③ 比((2))。 ①の計算がそのまま答え: は各線分を頂点の側から

に内分する(三角形の の空間版 — 次元が1つ上がると比も1つ進む)。

ABCDG
四面体の頂点と対面の重心を結ぶ線分(破線)。すべてが重心 G = (a+b+c+d)/4 を通り、頂点側から 3:1 に内分される(図は3本を表示)

まとめ: 「対称な候補を先に言い当てる」— 共点・共線の証明では、探すのではなく当てて確かめる方が速い。(中点)、(三角形)、(四面体)— 平均の点の系譜として覚えておくと、比 の進み方まで見通せる。

発展 — 一歩先へ。 次元を下げると三角形の中線の (質量2対1のてこ)、上げると 次元単体で 。「頂点1個 vs 残り 個」という質量比が、そのまま内分比になる。重心という1点が、次元をまたいで同じ設計図で決まっている。

(1) 位置ベクトル の点をすべてが通る(証明) (2)

別解

質点をつり合わせる(てこの原理で見える化)。 4頂点に質量1の質点を置く。系全体の重心が、求める共有点だ。

まず B, C, D の3質点だけを合成すると、「面 BCD の重心 に置いた質量3の質点」と等価になる。

すると系全体は「 に質量3、A に質量1」の2質点。その重心は、てこの釣り合いから線分 A 側から (重い側に寄る)に内分した点

どの頂点を「1人」に選んでも、全体の重心は同じ1点。だから4本の線分はすべてこの点を通り、比はいつも だ。

位置ベクトルの対称式(本解)と、質点の合成(本ルート)は同じ計算の2つの顔。だが「重い側に で寄る」という理由が体感できるのは、てこの言葉のほうだ。三角形の重心の も同じ絵(質量2対1)で説明がつく。

ポイント

  • 対面の重心
  • 内分点が (名前が消える)。
  • 対称性から4本すべてが同じ点を通る。

よくある間違い

  • の向きを逆にする(交点は重い側=面の重心寄り。頂点から測って )。
  • 面の重心を と書く(3点の重心は3で割る)。
  • 2本の線分の交点を連立で求めてから残り2本を検証する長い道に入る(対称式 を先に当てるのが本筋)。